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僕、婚約破棄されちゃったよ〜!(仮)  作者: 撫羽


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21.早く言ってよ~!

「ですが、聖女候補は養女らしいです。

 村の外れに捨てられていた赤ん坊を引き取って育てた様です」

「イデス、捨て子と言う事か」

「はい、父上」

「だから、能力が低いんだ。いや、違うな。血縁関係にはないんだ。なのに、能力があるのか? これは、益々普通じゃないよ?」

「ブラン、そうね。血縁関係がないのに、多少でも能力があると言う事は……」

「ばーちゃん、決まりだ。眷属化だ」

 

 眷属化! 何それ! なんか偉そうだよ?


「テテ、妖魔や淫魔、ヴァンパイアがよく使う手だよ。自分の眷属にして仲間を増やすんだ。悪魔もそうだ」

 

 悪魔!! そんな怖そうなワードは止めてほしいよ。唯でさえ怖そうな感じになってるのにさ!


「ブラン、眷属化されているとしたら、解呪じゃ駄目よね?」

「ああ。ばーちゃん。ディスペルだと駄目だ。眷属化されている場合は違う。元を断たないと駄目だ」


 元を断つなんてどーすんの? ばーちゃん!


「そりゃあ、テテ。決まってるじゃない。聖女候補に命令している奴を潰すのよ」


 聖女候補に命令している奴……捨てられていた聖女候補を育てた奴か!?


「それでも……万が一ヴァンパイアで血を吸われて眷属化されているなら……」

「ばーちゃん、何なの?」

「テテ、救えないわ。ヴァンパイアだけは眷属化する時に対象者の血を吸うのよ。吸血するの。主のヴァンパイアを倒したら一緒に灰になるわ」


 そんな……! そんな事!!


「レウス、第2王子に協力を願えないかしら?」

「義母上、何をするのです?」

「前にラティアに鑑定してもらった時は何も判定できなかった。それは、元がラティアより上位だったからだわ。イデスの話から推測すると、人間じゃないでしょう。少なくとも聖女候補は眷属化されているってことだわ。なら、ラティアの鑑定では見れないわ」

「ばーちゃんちょっと待って。さっき、もしもヴァンパイアに血を吸われて眷属化されているなら救えない。て、言ったよね?」

「テテ、そうよ」


 なんだよ……じゃあ聖女候補はもしかしたら……


「テテ、まだヴァンパイアと決まった訳じゃないわ」


 そうだけど……


「とにかく、今出来ることをしましょう。

 第2王子に協力してもらって、テテの錬金術で解呪薬を作れないか試したいのよ。テテ! しっかりしなさい!」


 だって……ばーちゃん……


「まだ決まった訳じゃないと言ったわよ」

「うん。ばーちゃん……」


 そうだ。まだ決まった訳じゃない。今は僕が出来ることをしよう。


「何にせよ、王子殿下の解呪は最優先だ。協力を願い出よう」

「あなた、どうします? どう話しますか?」

「隠し立てする必要はない。そのままご報告しよう」


 待って、待って。僕まだ解呪できるか分かんないんだよ。

 皆、出来て当然みたいに話してるけどさ。分かんないよ?


「テテ、解呪薬を作れるに越したことはない」


 父上……


「まず、テティスの錬金術でどうにかならないかだ。錬金術で解読できて、今回の精神干渉の解呪に特化したポーションなりが作れるのならばそれが1番だ。何故なら、それさえあれば私達でも解呪に当たれる」


 そうか。複数の人間で解呪できるからだよね。


「ああ、それとさぁ。テテ、俺が加護を授けただろう。その繋がりでテテはドラゴンアイが使えるはずだよ」


 なにそれ。ちょっと厨二病的なネーミング。眼からブレスかビームでも出るの? て、感じだよねー。やだ怖い。


「テテ、冗談じゃなくてな」


 はい、ごめんなさい。


「ドラゴンアイは人間の鑑定眼の上位クラスだ」

「「「えぇぇーーー!!!!」」」

「えっ? なに? なに?」

「ブラン……」


 もっと早く言おうよ。それさぁ、超大事な事だよ?


「えっ!? なに? 俺、なんかミスった?」


 いや、ミスってはないよ。ないけどもさぁ。


「ブラン。もっと早く言って欲しかったわ」


 そうだよ。ばーちゃんよく言ってくれたよ!


「えっ? そう? ごめん。すっかり忘れててさあ。アハハハ」


 アハハハじゃねーよ!!


「ブラン、そのドラゴンアイだとどこまで見れるの?」

「ばーちゃん、鑑定眼の上位だと言ったろう? 妖魔だろうが、淫魔だろうが、ヴァンパイアだろうが全部見れるさ!」

「ブラン、私の立場がないわ」

 

 姉上、ごもっとも。


「本当に早く言って欲しかったわね、ブラン」


 母上、本当そうだよね。


「どんどんテテがとんでもない事になっていくじゃない! ズルイわ! テテばかり本当にズルイ!」


 何を言ってんだよぉ。姉上程のハイスペックはそういないよ?


「テテ、私も姉上と同じ意見だ」


 えぇー!! 兄上まで! 何故に!?


「そうね。気持ちは分かるわね。」


 ばーちゃん!!


「とにかく。明日1日かけてテテは見れるだけ見てきて欲しい」

「はい、父上」

「テテ、分かってるか? 王都の中もだよ」


 えっ? 兄上、そうなの? 学園だけじゃなくて?


「テテ、王都民が大聖堂に列を作っていると言っていたでしょう?」


 あー、はいはい。分かりました。


「テテ、学園が終わるころに私が迎えに行くわ」

「お祖母様、私も行きますわ」


 えぇー、マジでー……


「じゃあテテ。学園の門のところで待ってるわね。私の鑑定眼との違いも知りたいのよ」


 はいはい、分かりましたよ。言う通りにしますよ。


 それから、ブランにドラゴンアイの使い方を教わって、と、言ってもそう意識して見るだけだったんだけどね。

 姉上が言うには、鑑定眼も同じらしい。

 意識する。ただそれだけだ。だから、もしかしたら……


「テテは鑑定眼を使えたかもしれないわね」


 と、ばーちゃんが言ってた。

 何故なら、僕の魔力量で鑑定眼が使えない方が不自然なんだって。

 そんなこと言われても、知らなかったんだもん。仕方ないよねー。



 翌日、父上と兄上は王城へ。

 僕は学園へ。

 僕は1日中、ドラゴンアイで生徒も先生も見まくったんだ。

 それこそ、ずっとドラゴンアイを使いっぱなしだよ。

 お陰で、ちょっと疲れちゃった。早く帰って父上の作ったスイーツを食べたい。

 脳が疲れると甘いものが欲しくなる。て、本当なんだね。



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