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僕、婚約破棄されちゃったよ〜!(仮)  作者: 撫羽


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20/35

20.報告会だよ〜!

 僕が錬金術に興味を持ったきっかけなんだけど。

 ばーちゃんのいる領地の邸には古い書庫があった。入り口の鍵も、ボロボロになっているような古い書庫があったんだ。

 そこに、ばーちゃんと整理する為に初めて入った時に見つけた古い書物、錬金術入門編、応用編、実用編の3冊。

 僕は夢中になっちゃったんだ。

 それから錬金術が使える様になるまでは直ぐだった。

 錬金術を使うと、ポーションの作成も個人により適したものが作れたりする。

 対象者に合ったパーソナルなポーションが作成できるんだよ。

 こんなの、夢中にならない訳がないよね。


「でも、ばーちゃん。どうしてこんな書物がうちにあるの?」

「多分だけどね、爺さんの祖父さんが集めたんじゃないかと思うわ。あの人は魔術も錬金術も使えた筈だから」


 ばーちゃんの言う『爺さん』とはばーちゃんの旦那さんの事だよ。僕の祖父だね。


「へえ〜、凄いね。この書物だってきっと国宝級なんじゃない?」

「そうだろうね。でも、今はもう錬金術は廃れているもの」


 勿体ないなぁ。どうしても、手軽に使える魔法の方がメジャーになっちゃうよね〜。


 そんな訳で、僕は錬金術も使えるようになった。生きていたら、祖父の祖父……僕からみれば高祖父て言うんだっけ? の話を聞いてみたかったなぁ。精神干渉を見破ったばーちゃんのお祖父さんと、錬金術が使えたばーちゃんの旦那さんのお祖父さん、2人の高祖父、何気にハイスペックじゃない? 会ってみたかったなぁ。

 きっと、とっても良い勉強になっただろうなぁ。それに、何より楽しそうだよね。



 さて、父と兄が帰ってきたから報告会だよ。今日は姉もずっとうちにいる。多分、お泊まりコースだろうね。


「テティスが分析したのか?」

「父上、僕は成分を分離して抽出しただけです。実際に成分を鑑定したのは姉上ですよ」

「そうか」

「お父様、複数の成分が入っていると詳細な鑑定は分かりにくいのです。それで、テテが錬金術で全ての成分を分解抽出してくれました。全成分を鑑定したものが、こちらです」


 姉が父に数枚の書類を手渡した。


「なるほど」


 父が姉の作った報告書を見る。


 僕が飲まされたのは、一般的な毒だった。毒に一般的もなにもないけど。

 少量なら、薬になるけど量に依っては毒になる。そんな成分だった。


「ある意味、誰でも簡単に手に入ると言う事か」

「お父様、そうなります。ブランが直ぐに吐かせてくれて良かったですわ」

「本当だな。ブラン、ありがとう」

「いや、俺がもっと早く気付けば良かったのに。すまなかった」

「ブラン、そんな事ないわ」

「ばーちゃん、ごめん」

「だから、そんな事ないわよ。テテを助けてくれてありがとう」

「ばーちゃん……」


 ブランは申し訳なさそうにしているが、ばーちゃんの言う通りなんだ。本当にブランがいてくれて、早く対処してくれて良かったよ。だから、ブラン。気にする事なんかないんだよ。

 さて、次だ。問題は聖水だよ。


「これは……どう言う事だ?」

「お父様、簡単に言うと気分を良くする麻薬ですわ。とても薄い麻薬です。

 1度飲んだ位でしたから、今日はなんだか気分も身体も軽いと言った程度の効果のものです」


 聖水の成分は少しの回復薬に、少量の興奮剤と思考と感覚を鈍化させる効果のある麻薬を薄めたものだった。

 姉の説明を受けて、ばーちゃんが続ける。


「でも、同時に聖女候補が言葉に魔力を乗せる。それを繰り返すうちに中毒性と、聖女候補への依存が強くなる。そんな感じでしょうね」


 そうなんだよ。なんとなく気分や調子が良いなぁ〜、て状態を何度か体験する。すると、そう言えばあの日は大聖堂で聖女候補の話を聞いて聖水を貰ったぞ。て、関連付けるんだ。

 そう思う様になってしまうと、もう立派な精神干渉の出来上がりだ。

 今日も聖女候補に会いたい。今日も聖水が欲しい。そんな感じで中毒性が出てくる。


「どうしてそんな回りくどい事をしたのかしら?」

「お母様、そこなんです」

「そうね。しかも聖水を使うと証拠を残す事にもなるわ」

「ばーちゃん、もしかしたら聖女候補一人の力では誘導できないんじゃないか?」

「ブラン、そう思う?」

「うん。一人や二人なら未だしも、これだけの人数だと無理だろ?」

「そうね。人数が多すぎるわね」


 なるほど。そうなのか。確かに聖女候補一人の力では無理があるよね。


「ばーちゃん、古代魔法かも知れない。て、言ってたけど、もしかしたら種族も考慮する方が良いかも」

「ブラン、種族? 人間とか、そう言う意味の種族なの?」

「テテ、そうだよ。今は魔族や妖魔なんて人間の住む範囲にはいないけど、一昔前には普通にいたからね。人間との間に子を儲けた者もいるだろう」

「え、ブラン。実際に見た事あるの?」

「ああ。あるよ。ほんの千年程前だよ。魔族と人間、妖魔と人間。ああ、そうだ。ヴァンパイアと人間とかね」

「ブラン、その子は能力を引き継ぐの?」

「ばーちゃん、もちろんだよ。この能力から推測すると、妖魔系や、淫魔か、ヴァンパイア辺りかな?」

「ブラン、それはどうして?」

「テテ、それらの種族は人間を操る能力があるんだ」


 マジなの!? 何それ! 超怖いじゃん!


「だからね、何代も前だよ。だから、こんな回りくどい事をしなきゃならないんだよ。能力を引き継いでいても、血が薄くなっているからそんなに力もないんだ」


 やだよぉ。そんな人種がいるなんて思いもしなかったよ。


「イデス、聖女候補の家系を調べたろ?」

「はい、父上。例の村に聖女候補の家族がやってきたのは、お祖母様が言ってらした事件の少し前でした。その頃の事を身内から話を聞いていた者がおりました」


 兄の調査によると、ばーちゃんが言っていた村長の横領事件が発覚する少し前に聖女候補の家族が村に住む様になったらしい。その時はまだ普通の一家と言う印象だったそうだ。 

 その家族が、いつの間にか今の聖女候補の実家である家に住んでいた。

 何が何だか分からないうちに村長になっていたそうだ。


「兄上、待って下さい。それって、昔捕らえられた村長一家が聖女候補の家系と言う事ですか?」

「テテ、そうなる」

「だって、逃げたんでしたよね? どこに行ったのかも分からなかったんですよね?」

「そうだ。」


 おかしいじゃん。なら、やっぱ捕らえられた村長一家は村に戻っていたんだ。前に言ってた兄上の想像通りじゃん。



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