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脱税貴族 その4


「グレイとリズ とケリーの活躍で一件落着してよかった。助かったよ」


「そりゃいいけどよ。エニスが来るたびに貸し切りだぜ?こっちは商売あがったりだよ」


 全てが終わった数日後、エニスとマリアはグレイの酒場に来ている。今回もまた貸し切りだ。


「だから別に貸し切りにしなくてもいいって言ってるだろ?」


 カウンターの中央に座って美味しそうにグラスの酒を飲みながらエニスが言う。


「んな訳にいくかよ。領主様だぜ、領主様」


「グレイて大雑把に見えるけど、結構金銭感覚が細かいのね」


 珍しく薄めのお酒を注文したグレイの左に座っているマリアが言うと、


「おいマリア、そりゃないぜ。こっちだって商売だからな」


 マリアの言葉にグレイが反応する。


「グレイは結構細かいのよね。これは性分ね。パーティの時も魔物の素材や魔石を売った代金の分配とかも自分から仕切ってキチンと公平に皆に分けてたし」


 エニスの隣、マリアの反対に座っているケリーがジュースを口に運んで言う。彼女は今日もジュースだ。


「そうそう、端数なんて分けるのが面倒くさいしいいじゃんって言ってもさ、ダメだ。あとで揉めたくないとか言ってさ」


 リズもケリーの言葉に続ける。


「まぁ、そういうグレイだから皆も安心して任せてたんだけどね」


「そう言うエニスはパーティの時は全くしなかったよな」


「僕はそう、パーティメンバーを信用してたからね」


 とぼけて言うエニス。


「調子のいい野郎だぜ」


「ところで今回国王様が告知されたでしょ?王国内の他の貴族の反応はどうなの?」


 リズ が話題を変えてエニスに聞くと、代わりにマリアが口を開けて、


「皆ビビってるわよ。テムズ家の取り壊しは相当インパンクトがあったみたい。今までにもこういう査察はあったけど、全て事前に通知してから行っていたのね。今回の様な抜き打ちが今後もあるとわかっただけで相当な抑止力になるみたいよ」


「それはよかった」


 ホッとした表情をするリズ。


 王国内の他の貴族は今回の辺境領での一件を知りほとんどの貴族が青ざめたという。一方で国王からは今後も査察は続けるが正しい納税が行われ、国家にきちんと税金が集まれば徴収する税率を下げることを検討すると発表したので、貴族にとっても

不正をするくらいなら正しい申告をした方がずっと良いという判断になった様だ。


 その後も貸し切りの店の中で5人で話をしていると、エニスが


「ノリッジの件も終わったし、グレイ、そろそろダンジョンに行かないかい?」


「俺もリズ もいつでも行けるっちゃ行けるけど、エニスとマリアは大丈夫なのかい?」


 グレイが逆に2人に聞くと、


「そうだね。毎日は無理だけど週末なら時間が取れるかな?」


「そうね。週末ならエニスも私も自由になる時間があるし」


 エニスとマリアが言うと、横から、


「週末は授業もないし、私も行けるよ」


 ケリーも乗り気の様だ。


「じゃあ5人で行ってみるか。じゃあその前にマリアを冒険者登録しないとな」


 グレイの言葉に訳がわからないという顔をするマリア。


「それって必要なの?」


「ああ。ダンジョンは各層の階段を下りたところに石板があってな。そこにギルドカードをかざすと一気に地上に戻れるし、次もそのカードに記録してある階層ならどこでも自由に飛んでいけるんだよ。ギルドカードには記録できる機能がついているのさ」


「そうなってるんだ」


 グレイの説明に納得するマリア。


「マリアの冒険者登録はこっちでやっておくよ」


 エニス。


「頼む。そっちが一番忙しいんだから。都合の良い日が決まったら連絡してくれ。

ケリーには俺たちから連絡入れる」


 

 そうしてグレイとリズ はいつもの日常の生活に戻った。朝鍛錬をし、森の奥に飛んでランクAを乱獲し、昼過ぎにギルドに戻って素材と魔石を売り、そのまま夕方のエイラートの街をブラブラと散歩がてら買い物をし、夕方からBARの準備をして夜遅くまで店を開ける。たまにケリーが一緒になって昼間に森の奥で3人でスキル上げをする日々。


 この日も普通の生活をし、夜遅くに店を閉め、風呂に入ってベッドで並んで寝ていると寄り添ってきたリズ が、


「グレイ、スローライフしたかったのになかなか出来ないね」


「全くだ。でもさ、こうやってリズと一緒にいられるだけで十分にスローライフだけどな。勇者パーティの時の様に毎日夜襲を警戒して交代で起きていなくてもよくてさ、二人でこうやってゆっくり寝られるだけで十分じゃないかと最近思ってきてるよ」


「うん、そうだね」


 そう言うとリズ がグレイにギュッと抱きついてきた。



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