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新しい領主 その3


 その後もしばらく雑談をしてから新しく領主となったエニスの屋敷を出て貴族街から自宅に戻ってきた二人はリビングのソファにドスンと座ると、


「まさかあのエニスが領主として来るとはな」


 ソファに座って顔を天井に向け、今の会話を思い出して言うグレイ。


「本当ね。でも彼、貴族になっても全然変わってなくて安心したわ」


 グレイに寄りかかってリズが言う。


「そうだな。エニスはエニスだった。それにあの奥方もなかなかの人物だ。

あの二人ならこの辺境領もうまく管理してくれるだろう」


 そう言ってから独り言の様に、


「それにしても対のオーブか…」


 グレイはアイテムボックスから出したオーブをリビングのテーブルの上に置いてじっと見る。


 オーブを見つめるグレイに寄り添っているリズもその視線をオーブに送り、二人で対のオーブを見つめながら、


「本当はこれが光らないのが一番いいのよね」


 リズの言葉に頷く代わりにリズをグッと抱き寄せるグレイ。



 グレイとリズ が領主の屋敷を訪れた翌日、新しく来た領主が元勇者のエニスだということをグレイはギルマスのリチャードに報告した。


 ギルマスも彼らがエイラートに来た時は別件でその姿を見ることができなかったらしい。グレイの話を聞くと心底びっくりして、


「新しい領主はフランクリン家としか聞いてなかったからな。まさかそれが元勇者のエニスとは。それにしても勇者までこの街に来ちまったのかよ。一体どうなってるんだよ?」


 そう言ってから続けて、


「いずれにしても元勇者パーティのが3人もエイラートに揃ったってことは、こりゃこの街も当分安泰じゃないか。俺も仕事がずっとやりやすくなる」


 びっくりした後ニヤリとして喜んでいるギルマスのリチャードに、


「なんで皆この街に集まってきてるのかなんて俺に分る訳がないだろう? それにエニスは領主だからな。そう簡単にはギルドの依頼で討伐に出られないぜ」


 グレイがそう言うとリチャードは違う違うそう言うことじゃないと顔の前で手を左右に振り、


「それくらい俺も分かってるって。俺が言いたいのは領主になった元勇者のエニスは冒険者の事をよく知ってるってことだよ。領主が冒険者を理解している。それだけでギルドとしたらずっと仕事がやり易くなるって事さ」


 なるほどなとグレイは思った。

ギルマスのリチャードの言う事ももっともだ。領主が冒険者の仕事を理解しているだけで冒険者を街やその周辺の治安維持等に利用する機会が増えるだろう。また領主として冒険者を毛嫌いしないのはギルドの運営にとっても大いにプラスになる。領主からの依頼=クエストが多くなるということだ。


 グレイの納得している顔を見ながら、


「これからはこちらから何か領主に何か頼むときはグレイ経由にするか。

その方が早く連絡が着くし、こっちの無理も色々と聞いてもらえそうだな」


 半分冗談、半分本気で言うギルマスのリチャード。


「勘弁してくれよ」


グレイは苦笑するしかなかった。



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