第70話 魔法革命
キノコの死体から、まるで噴水のように放射状にスキルブックが噴出される。
「うおおおおおおおお! これはすごいぞ……!」
俺たちはそれを、必死にかき集めた。
そういえば、カナンの腕の傷も、キノコとともに消え去っていた。
どうやら傷自体、幻覚だったようだ。
「えーっと……おお、魔法だけじゃなく、スキルもあるぞ……!」
「これ……選ぶのに苦労しそうね……」
「そうだな、そこはまあ、ホテルに帰ってからゆっくりと吟味しよう」
まさに多種多様なスキルブックの図書館といった感じだった。
「よし、今日はもう遅いし、スキルブックも手に入ったことだし……帰ろうか」
「そうね……」
500冊ほどのスキルブックを拾い終え、俺たちはホテルに転移した。
◇
さあて、これだけあると、どんな種類があるのかを確認するだけでも一苦労だ……。
とりあえず、俺たちは目に付いた本をそれぞれ選んでいった。
すべてのスキルが使えるわけでは、もちろんなかった。
被っているものもあったし、そもそも使いどころがないようなものも……。
だが、結果として、それぞれ10冊ずつくらいのスキルブックを使用した。
あまりに多いと、自分でも使いこなせなくなるから、これが限界だ。
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ロインの覚えた新スキル・魔法
・魔力全放射
・闇の右手
・従魔召喚
・運試しの賽子
・魔物契約Lv1
・極小黒球
・火炎龍剣
・追いチャージ
・空間転移の剣
・剣撃分身
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クラリスの覚えた新スキル・魔法
・巨大盾
・魔法反射空間
・盾ブーメラン
・範囲回復魔法
・上級回復魔法
・地震
・氷の盾
・メテオ
・ジャストガード
・パリィ
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カナンの覚えた新スキル・魔法
・毒の刃
・麻痺刃
・砂塵演舞
・ファイアボール
・電光石火
・竜神の舞
・アイスボール
・氷の舞
・瞬間動作
・リコール
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「まあざっと……こんなもんだな……」
「えーっと……これだけでも自分で何を使えるのか、覚えきれないよ……」
「だな、今度から新しいスキルを覚えるときは慎重にならないと」
余ったスキルブックは、持ち帰って商品にでもしようか。
あと、サリナさんとドロシーの分も残しておくか。
一応、護身用というか、俺がいつでも守れるとも限らないしな……。
「うう……本当にこのスキルでよかったのかなぁ……私、使いこなせるか不安だぞ」
カナンが珍しく弱音を吐く。
「大丈夫さ。カナンならすぐに慣れる」
今から、スキルを試してみるのが楽しみだ……!
魔法以外にもいろんなスキルが手に入ったしな……。
「さっそく試しに戦ってみたいわね……」
とクラリス。
「そうだな、だったら……もう一度死の森に行くのはどうだ……?」
「え? もう一度……?」
「ああ、俺の【確定大量レアドロップ】を使ってみたくないか……?」
「あ、確かに……! 今なら、前みたいに何体も倒さなくても、いいかも!」
「だろ……?」
そう、今となっては、一体のデスフラワーを倒すだけで、かなりの種が手に入る。
前は乱獲の危険もあって、控えめにしていたが、今度こそ、ステータスを大幅に上げることができる。
「よし、じゃあ行こう!」
俺たちは、死の森へと転移した。
そして、その日のうちに、5体ほどのデスフラワーを狩り……。
大量のステータスの種を手に入れた……!
そしてホテルに戻って――。
◇
種のおかげで、俺たちのステータスはそれぞれ、10倍となった。
もっと食べてもよかったが、なぜかそこで打ち止めとなってしまった。
もしかすると、個人によって成長限界が決められているのかもしれない。
それか、種の効果に限界があるのだろうか……。
とにかく、現状ではこうなった。
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ロイン・キャンベラス(装備)
17歳 男
攻撃力 4600(+4500)
防御力 0710(+800)
魔力 1600(+150)
知能 2100
敏捷 0750
魅力 3850
運 9999
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クラリス・キャンディラス(装備)
17歳 女
攻撃力 1200(+180)
防御力 2700(+2800)
魔力 1600
知能 1950
敏捷 0530
魅力 7960
運 1320
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カナン・ルブレージュ(装備)
18歳 女
攻撃力 3450(+750)
防御力 1210(+340)
魔力 1600
知能 1100
敏捷 7850
魅力 9230
運 1120
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「おおおおお! なんだか自分でも、身体に力がみなぎっているのがわかるぞ……!」
「ほんとね……! っていうか、ロイン……ちょっと見た目もかっこよくなってない……!?」
「え、そうか……?」
そう言えば魅力値が上がって、クラリスもカナンもさらに色っぽく見える。
まさに、絶世の美女だ。
具体的には、胸のサイズが上がり、お尻もさらに柔らかくなり……くびれもすごい。
さらに、顔も肌艶がよくなって、髪も前にもましてサラサラ。
媚薬のような臭いが、いたるところからしている。
近くにいるだけで、脳が焼き切れそうだ。
「ステータスってのは……こんなにすごいのか……」
改めて、その問答無用の効力には驚かされる。
いくら筋肉を鍛えようが、ステータスこそがすべてを決定するのだった。
「で、問題はこれだよな……」
俺の運の値は、9999――カンストしていた。
「これ……どうなるんだろう……?」
1000になったときは、【確定レアドロ】が【確定大量レアドロ】に変化した。
ということは、次はどうなるんだ……?
「それはまあ、試してみるしかないでしょ……?」
クラリスも、期待に目をときめかせている。
「ま、そうだな……」
ではさっそく、次の目的地へと転移しよう。
だがその前に――。
「くそおお! もう我慢できない! 二人とも、可愛すぎる……!」
俺は二人を抱き寄せ、そのままベッドへ押し倒した。
「あ、もうロイン! こっちから仕掛けようと思ってたのにぃ!」
どうやらクラリスも、カナンも同じ気持ちらしかった。
俺の魅力値も、相当に上がっているようだ。
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