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第6話 ドロップ率が下がる呪い!?【side:グフトック】


「はっはっは! 無能を追い出して、気分がいいぜ!」

「そうですねグフトックさま!」


 俺ことグフトック・ラインベールの言葉に、女どもが同意する。

 俺のパーティーは、俺以外ほぼ女で構成されていた。

 そのなかでひときわ目ざわりだったスライム野郎を追放して、俺は最高の気分を感じていた。


「あいつは使えなかったからなぁ。金食い虫の詐欺師だよ」

「そうですそうです!」


 俺のお気に入りの女、プラム・マドレーヌが相槌をうつ。


「さあ、あんなクズのことは忘れて、冒険を続けよう!」

「はいです!」







 その日も俺たちは、普段とかわらずに、納品クエストを受けていただけだった。

 それなのに……。


「っく……なぜだ!? おかしい……!」


 目標のアイテムを、モンスターが一向にドロップしないのだ。


「どういうことなんだよ……!」


 俺たちはもう何体もそのモンスターを倒しているのに……!


「おい、これって通常のドロップアイテムだよなぁ……?」

「そのはずです……」


 プラムは《アイテム師》という、アイテムをメインに扱う職業だから、アイテムのドロップ率なんかには詳しい。


「クソ……! おい、もっと倒すぞ!」


 仕方がないので、狩を続けるしかない。

 なぜなら目標のアイテムは、モンスターからのドロップでないと入手できないからだ。


「がああああああああ! クソ……!」


 長い間狩を続けているせいで、だんだん集中力もなくなってくる。

 そのせいで、傷を受ける回数も多くなってしまう。

 つまり、ポーションを使う量が増え、どんどん財布にダメージが入る。


「クソ! こんなんじゃクエスト達成しても、赤字だぞ!? もうやめだやめ!」

「ですね……、もうあきらめましょう……」


 俺としたことが……いったいどうしてしまったんだろうか。

 もしかして今日は厄日か?

 呪われてるとしか思えない運の悪さだ。


「クエストが終わったのであれば、私は自由行動をするぞ?」

「ああ、好きにしてくれ」


 そう言って俺たちから離れていったのは、《傭兵》職のカルティナ・ルグィンという女だ。

 あいつは金で動くことを絶対としていて、決して馴れ合わない。

 まあそんな女を自分のものにするのが俺の趣味だから、そのために雇っているのだ。

 なかなか仲良くなれそうにないが、まあそこは俺の魅力で気長にオトすさ。


「クソ! むしゃくしゃするぜ! おいプラム! カジノにいくぞ!」

「はい、グフトックさま!」


「ナターリア! お前もだ!」

「はい! もちろんです!」


 ナターリア・ブランドー、こいつもプラムと同じく、俺の取り巻きだ。

 気の弱い女だが、なんでもいうことを聞くやつだ。


 俺は今日のクエストでのストレスを癒すために、2人を両脇に従えて、カジノへ向かった。

 こんな日は、思いっきり遊んで忘れるのが一番だ!

 それなのに――!


「くそおおおおおおおお! なんでだよおおおおお!」


 なぜか俺はその日、信じられないくらいに負けまくった。


「まあまあグフトックさん、落ち着いて。これは運の勝負なんですから、そういう日もあります」


 カジノのディーラーがそう言うが、俺は落ち着いてなどいられない。


「うるせえええ! イカサマだろこんなの!」


 俺は思わず、机の上のカードをぐしゃぐしゃにしてしまう。


「おや……? 当店の賭け事をイカサマだと疑いで? それでしたら、奥で詳しいお話をしましょうか……?」


 カジノのディーラーがそういうと、奥から屈強な男たちが顔をのぞかせた。

 これは……マズイことを言ってしまったのか……?


「い、いや……そういうつもりではない……。取り乱してすまなかった……」

「でしたらいいのですが。こちらとしても、賭け事は楽しくやりたいですからね」


 だが、次のラウンドで巻き返さないと、赤字ばっかでヤバいことになるぞ!?

 どうにかならないか……!?


 俺はプラムに目で合図して、イカサマの手伝いをさせることにした。

 カードの番号を、瞬きの回数で教えてもらうのだ。


「では……参りましょう。次のラウンドです」


 俺はなんとしてでもここで、今日の負けを取り返したかった。

 負けたまんまで終われるかよ……!


 そして……。


 すべての賭けが終わった。


「ふっふっふ! やはり最後には俺が勝つのだ!」


 イカサマが功を奏し、俺はなんとか赤字ギリギリで勝負を切り上げることができた。


「さあ、ホテルに戻ろう」


 俺たちがカジノを出ようとしたその時だ。


「お客様、当店のイカサマを疑っておきながら、ご自分がなさるとは……いい度胸ですね?」

「は……?」


 出口で、男たちに囲まれ、止められる。

 まさか、俺の完ぺきなイカサマがバレてい


たというのか……!?


「そんな……! どうやってバレた!?」

「おや……いまのはカマをかけただけだったのですが……。やはりですか」


「キサマァ……!」

「よし、奥に連れていけ……。女たちはほっといていい」


 俺は、屈強な男たちに抱えられ、奥へと連行される。

 いったい何をされてしまうんだろうか……。


「グフトックさま……!」

「くそおおおおおおおおお! 俺を放せ! 俺は客だぞー!」


「すみませんお客様。当店ではイカサマを働く輩を、お客様とはみなしません。そして、大変厳しく取り締まっております。そう。二度とそんなことができないようにね……」


 そのあと俺が、どうなったかはもう思い出したくもない。

 俺よりもはるかに体のでかいスーツ姿の男たちに囲まれて……。


「うぉえ……!」


「グフトックさま…………!」


 ホテルに戻ったあとも、俺はトラウマで吐き続けた。

 クソ……!

 こんなに屈辱的だとは!




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