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第184話 愛別離苦


 ぐさり。

「は……?」


 俺は自分の手に嫌な感触が伝わるのを感じる。

 ふと見ると、なんとそこには、俺の剣を自らにぶっ刺す、アイヴェツリークの姿があった。


「な、なんで……!?」

「ロイン……私はもうどのみち長くない。これも娘を救うためだ。私を殺し、そのレアドロップアイテムで、ガストロンを殺してくれ……!」

「馬鹿な……! くそ……!」


 なんとアイヴェツリークは、俺を助けるために――いや、娘を助けるために――自分自身を殺させようとしたのだ。

 俺が遠慮すると思って、自ら刃を体に突き刺したのだ。

 どれだけの覚悟があれば、そんなことができるんだ……!?


「はやく殺してくれ……ロイン! ガストロンに隙をあたえるな……!」


 血を大量に流しながら、そう言うアイヴェツリークは、苦しそうだった。

 そりゃあそうだ。ここまできたら、もう助かりはしないだろう。

 はやく楽にしてやらないと……。だが……!


「くそ……! お前の命、無駄にはしない……!」


 俺は一思いに、アイヴェツリークを介抱してやった。

 すると、アイヴェツリークの死体から、例によってレアドロップアイテムが吐き出される。



《スペルジャマー》

レア度 レジェンダリー

説明 その場にかけられている術式をすべて破壊する



「これなら……!」


 俺はさっそく、そのスペルジャマーを拾って、使用した。

 ――しゅぅううううううううううう!!!!


 すると、ガストロンの腕が、みるみるうちに腐り落ちていくではないか!

 さらに、さっきまでみなぎっていたガストロンの魔力も、枯渇していく!


「ぐおおおおおおおおお……!?!??! なんだこれは……!!? 私の禁術がああああああああああ!!!!」

「今だ……!!!!」


 俺はすかさず、ガストロンを斬りつけた!

 ――ズシャアアアアア!!!!

 ――ズドン!!!!


「ぐぎゃあああああああああああ!!!! おのれ、勇者ロインめえええええええ!!!!」


 ガストロンの巨大な体が、地面に落ちる。


 ――ズドーン!!!!


「よし……! これで、なんとかなったか……」

「すごい……! さすがロイン……! あのガストロンまで倒してしまうなんて!」

「ああ……これも、アイヴェツリークのおかげだな……」

「そう……だね……アイヴェツリークさん……」


 俺たちは勝ちを素直に喜べなかった。

 アイヴェツリークの死体に、黙祷を捧げる。

 最後に娘に会うこともできずに、彼は死んでいった。


 そして、ガストロンの死体からは、レアドロップアイテムが吐き出された。



《ガストロンの盾》

レア度 レジェンダリーEX

説明 完全にすべての攻撃をものともしない、最強の盾

防御力 +86M



「おお……! これはすごい……!」

「さっそく装備するね!」


 これで、魔王戦も、怖いものなしだな。


 それから、俺たちはアイヴェツリークを蘇生させようとしてみた。

 しかし、蘇生アイテムはアイヴェツリークにはなんの反応も示さなかった。

 それは、彼が魔族だからだろうか?

 ここが魔界だからだろうか?

 理由はわからないが、これ以上やれることはなさそうだ。

 俺はアイヴェツリークが持っていた杖を拾って、彼の墓を建ててやった。


「アイヴェツリーク……お前の命は無駄にしない。エスレは、必ず俺が人間界に連れて帰るからな……!」


 俺はそう言って、手を合わせた。

 さて、そろそろエスレたちのもとへ戻ろうか。

 あっちもなにか起きていないか、心配だ。

 俺は、再び塔へと転移した。



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