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第170話 提案


「はぁ……はぁ……はぁ……くそ、どうしてなんだ……!」


 しかしグフトックの才能は一向に目覚めない。

 だがここで彼の年老いた両親に、こんな過酷な修行を強いることもできないからな……。


「グフトック……頑張ってくれるのはありがたいが、少し根をつめすぎなんじゃないのか? 休んだほうがいい……」

「だめです! 俺はまだロイン王に助けられたのに、なんの役にも立ててない! ただアイテムや飯をもらって消費するだけだ……! くそ……! こんなんじゃ以前となんにも変わらねえ!」

「グフトック……」


 正直、ボロボロになってまで俺のために尽くそうとしてくれる彼の姿は、見ていられなかった。

 アレスたちもグフトックを心配している。

 なにが彼をそこまでつき動かすのか……いや、おそらくそれは贖罪の心だろう。

 それから、もしかしたら俺に対するコンプレックスというのもあるのかもしれない。


 昔のグフトックはそれなりの冒険者として、成功をおさめはじめていた。

 そして当時の俺はスライムすら倒せない雑魚だった。

 だが、今は真逆を通り越して、天と地ほどの差がある。

 だからこそ、少しでもなにか成し遂げたいと思っているのだろう。


 それは、彼の普段の言動からも読み取れた。


「くそ……! 結局俺は、改心しても何も得ることができないのか……!」


 グフトックは独り言を言いながら、壁に向かって何度も頭をぶつけた。


「おいグフトック……! やめるんだ! 自棄になってもなんにもならない!」

「お、俺なんか……もう死んだほうがましだ! あのとき死ぬべきだったんだ!」

「そんなことはない。お前の能力が必要なんだ!」

「ろ、ロイン王……こんな俺に……ぐす……本当に……済まねえ……力になれなくて……!」


 グフトックは涙を流して地面に突っ伏した。

 地面を子供のように叩いて、悔しさに吞まれている。

 俺はそんな彼のようすをしばらく見守っていた。

 すると、さっきまでの取り乱しようが嘘のように、ぴたと動きをとめたのだ。


「グフトック……? ど、どうした……?」

「そうだ……! 死ねばいいんだ……! 俺が……!」

「は……? だ、だから……やけになるのはやめろって……」

「違うんです……! 思いついたんです! 上級鑑定を得られるかもしれない方法を……!」

「なんだって……!?」


 グフトックは俺に作戦を話し始めた。


「ロイン王の能力、確定レアドロップをつかうんです!」

「お、俺の能力……?」


 だが、俺がいくらスキルメイジを倒しても、上級鑑定のスキルブックは手に入れることができなかった。

 今までいくつもの難題を乗り越えてきたこの能力だったが、今回ばかりは役に立ちそうもない。


「ロイン王、確認ですが、勇者アレスターを倒したとき、勇者の指輪が出たんですよね……?」

「ああ、そうだが……」

「だったら――!」


 それからグフトックは一呼吸置いて、衝撃的な発言をした。



「ロイン王――いや、ロイン。俺を殺してくれ」





――次章へ続く。



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