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第166話 まさかのアイツ


 魔王軍四天王のジェスタークを倒し、ユーラゴビス帝国を救った俺は。

 ようやくすべてを片付けて、アルトヴェールに帰還した。

 ソファにだらしなく腰かけて、冷たい酒をあおる。


「ぷはぁ……めっちゃ疲れた」

「それにしても、さすがですねロインさんは。また国を一つ救ってしまうなんて」


 サリナさんが天使のような笑顔で俺をねぎらってくれる。

 こうやって家に帰れば彼女たちが待っているから、俺は頑張れるというものだ。


「本当ですよ! まさか国民全員を生き返らせてしまうなんて、神にも等しい存在です!」


 モモカが俺の肩をマッサージしながら、大げさな賞賛をする。

 肩をもんでくれるのはいいのだが、後頭部に大きな桃が二つ乗っかってて、それどころじゃない。


「そういえば、俺の代わりにヨルガストンを守ってくれたんだっけ? アレスター」


 俺はアレスターに目を向ける。

 アレスターは休んでいる俺の前で、ずっと跪いて平伏の姿勢をとっていた。

 そんなことはやめてくれと言っているのだが、偉大なるロイン王の前では頭を上げれないなどと言ってきかない。

 まったく、人が変わったようで少し気色悪い。

 だが、アレスターは俺の命令通り、この国の役に立ってくれたので、今ではとてもいい仲間だと思う。


「はい……! ですがそれはロイン王のおかげです! すべてロイン王が、私を生き返らせ、力を与えてくださったおかげ!」


 アレスターは心酔しきった表情で俺を称えた。

 うん、本当に大げさすぎて気色悪いぞ……。


「うんまあ……なんだ……ありがとうな」

「はぅうう……! ロイン王からお褒めの言葉! なんたる喜び!」

「もういいって……」


 よほど生き返ったことがうれしいのか、最近ずっとこうだ。

 元勇者のくせに、手のひらの返し方がダイナミックすぎて小物感がすごいな……。


「ロイン王、お話の途中すみません……!」

「ああ、ゲオルドか。なんだ」


 元勇者パーティのタンク、ゲオルド・ラークが報告をもってきてくれたようだ。

 彼はアルトヴェールの兵士たちをまとめる役割を担っていてくれている。

 暇なときはこうやって、俺の周りで報告なんかもしてくれている。

 よほど俺への贖罪の気持ちが強いのか、よく働いてくれるのだ。

 俺としてはもう過去のことは水に流しているんだけど……。


「ユーラゴビス領主、ユィン殿がお見えです」

「そうか。通してくれ」

「はい……!」


 あれからユィンは国を立て直して、まっとうな政治をしている。

 以前のユーラゴビスは王の私利私欲のために国民を厳しく締め付けていたようだが、アルトヴェールに加わった以上は、そんなことはなしだ。

 ユーラゴビスは軍事国家の殻を脱ぎ捨てて、今は平和な土地を目指している。

 もともと広大な土地を持っていたので、いろんな活用方法があるはずだ。


「それで、ユィン。なんのようだ?」

「はい、ロイン王! この度はご報告があってまいりました」

「頼んでいた件か?」

「はい、そうです」


 ユィンにはひとつ頼みごとをしてあった。

 それは例の『上級鑑定』についてだ。

 ユーラゴビスには古くから眠る古文書や、歴史ある博物館などがある。

 俺はユィンに頼んで、ユーラゴビスの国会図書館を調べつくしてもらっていた。


「それで、なにか成果があったか?」

「ええ、ユーラゴビス国会図書館に、上級鑑定に関する資料が少しだけありました」

「本当か……!?」

「この古い書物に書かれているのですが……」


 ユィンはそう言って古びた書物を手渡してくれた。

 まさかユーラゴビスに情報が眠っていたとは、棚から牡丹餅だな。

 歴史ある大国であるユーラゴビスならとはおもったが……協力を得られてよかった。

 こういうことは大体、他国などにある古文書のほうが情報が残っていたりもするもんだ。


「上級鑑定は血統魔法といって、ある血筋のものにしか使えないようです」

「そうだったのか……どうりでスキルブックからじゃ手に入らないわけだ」


 だとしたら、その子孫を探さねばならないことになるが……。

 今の時代、上級鑑定師などきいたこともないから、もしかしたら血統自体が途切れている可能性だってある。

 そうじゃなくとも、長い時代の流れのなかで、そういった技能が失われたのだろう。

 ようやく手にした手掛かりだが、どうなることやら……。


「この書物には、その血筋の名前が書かれています」

「本当か……!」

「ええ、当時の上級鑑定師の名前がこちらです」

「ふむ……」


 俺はユィンが指し示す場所に目をやった。

 そこに書かれていた名前――。


「ゾエック・オン・ラインベール……」


 その名前に、俺はどこか聞き覚えを感じた。


「ん……? ラインベール……?」


 まず、その姓だ。

 そして、名前もどこか似たようなものを知っている。



「あ………………!」



 そうだ。

 俺と、さっきまで黙って横にいて話を聞いていたクラリスが口をそろえて叫んだ。






「「グフトック・ラインベール……!?!??!?!」」





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