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第16話 ランキングボーナス


 ランキングを確認した後、僕はサリナさんからカウンターに来るように言われた。

 冒険者ランキングは、一気に上昇した場合に、その上がり幅に応じてボーナスがもらえるのだ。


 これは、冒険者どうしを競わせることで、士気を高めるためらしい。

 ギルドとしても、より強い冒険者にクエストをこなしてもらったほうが安心だ。

 なので、みんな一気にランキングを駆け上ろうと、日夜いそしんでいる。

 だが、最下位からいきなり5位に躍り出たなんて事例は、聞いたことがない。

 もしそんなことになったら、どのくらいのボーナスがもらえるのだろうか。


「……え、こ、これって……マジですか……!?」


 俺はサリナさんから差し出された書類の額を見て、絶句した。

 今までにもかなりの金を受け取って来た俺であるが、コレはさすがに引く。

 だって……桁がわからない。


「えーっと……いちじゅうひゃくせん……まん……えーっと……!?」


 何度見ても数字は変わりやしない。

 まさか、俺は夢でも見ているんじゃないだろうか。

 昨日からのことがすべて幻なんじゃないか……!?



――――――――――――――

《支払い書》

払い先 ロイン・キャンベラス

内容  冒険者ランクボーナス


金額

97800000G

――――――――――――――



「あの……サリナさん、俺をからかってます……?」


 俺は改めてサリナさんの顔をうかがう。

 しかし、サリナさんはいつものように太陽のような笑顔を俺に向けてくるだけだ。


「いえ……これで合ってますよ」

「まじか……」


 ちょっと怖くなってきたんだが……?

 この後ギルドから出たら悪漢に襲われたりするんだろうか。


「こ、これって……みんなこんなにもらってるんですか……!?」


 一体こんな大金、どこから財源を確保しているのだろう。

 いくらこの街のギルドが大きなものだからって、赤字になるんじゃないだろうか。


「いえ……これはロインさんだけの金額ですね」

「で、ですよね……どうしてこんなに……」


 サリナさんのお給料が減ってしまうんじゃなかろうかと不安になる。

 まあその場合は俺が養いますと名乗り出たいところだが……。

 というのは冗談にしても、これはイカレている。


「まあこれは、前例のないケースなんですけどね……。そもそもギルドはこれほどまでの大幅ランクアップを想定していないんですよ……。今までの最高ボーナス会得者でも、せいぜい100くらいの順位アップでした。制度の欠陥というか……まあロインさんが規格外なだけなんですけど……そのせいで倍率がおかしくなってこんなことに……」

「はぁ……なるほど……?」


 まあ、そりゃあそうだろうな。

 そんなバカげた順位アップが可能だとは、そもそも想定にないだろう。

 今回のことも、巨大ゴーレムやデモンズ鉱石などの様々な功績が重なった結果だし……。

 だが、それはいいとしても、ギルドがわが心配だ。

 俺のせいでギルドが赤字経営になられても困る。


「サリナさん、これって、財源はどこから出てるんですか……? 正直、このギルドが大丈夫だって安心できないと……とてもじゃないけど受け取れませんよこんな金額」

「あ、ああ……! それなら大丈夫ですよ? 安心してください」


「え……?」

「こういった場合の支払いは、このギルドから直接お渡しするのではなく、ギルド管理協会からの支払いになります。つまり、すべてのギルドをまとめている大きな母体ですね。なので、財源のほうは気にしなくていいかと」


「あ、そうなんですね」

「ギルド管理協会のお偉いさんはかなりの高給取りなので、ロインさんがこのくらいもらっても大丈夫なはずです。それに、協会本部は国からの支援なども受けていますんで、気にしないでください」


 そうなんだ……よかった。

 いや、よくない……!

 そうは言われても……こんな大金どうしよう!?

 まあそれは後で考えるとして……これからいろいろ大変だぞ……!?


「すごいことに……なっちゃいましたね?」

「え、ええ……なんだかもう頭がついていきませんよ」


 しかも俺はSランク冒険者になったわけだから、今度からSランクのクエストも受けられる。

 Sランクといえばかなりの大金が入ると言われているから、どうなってしまうんだほんとに。


 俺がサリナさんとカウンターで、そんな話をしていると。

 ギルド内が再びざわつき始めた。

 俺が入ってきたとき以上の騒ぎようだ。

 冒険者ランク5位である俺以上に騒がれる存在。

 それっていうことはつまり――。



「おい! 勇者パーティーだぞ!?」

「まじかよ……初めてみた!」

「なんか怒ってねえか……?」

「珍しい……勇者だ! めったにギルドに顔を出さないのに!」



 ――冒険者ランクトップに君臨する、最強の存在。



冒険者ランク1位 アレスター・ライオス 


冒険者ランク2位 エレナ・ルージュ   


冒険者ランク3位 ゲオルド・ラーク   


冒険者ランク4位 モモカ・フランベル  



 人は彼ら四人をこう呼んだ。



「勇者パーティー……!」



 そしてそのまま、勇者アレスター・ライオス率いるSランクパーティーは、一直線に俺のもとへ向かってくるじゃないか!

 ど、どういうことだ……!?


 勇者アレスターは、金髪ツンツン頭のイケイケの青年だ。

 いかにもといったマントと剣を携えて、ナルシスト的な感じ。


 アレスターは俺の前まで来てピタと立ち止まると、こう言った。


「きみが……ロイン。キャンベラスか……?」


「あ、ああ……そうだけど……」


 あのアレスター・ライオスが、俺になんの用だというのだろうか。


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