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第156話 一騎当千


「は…………? な、なんだと…………!?」

「嘘ではありません……! これはいったい、どういうことなのでしょうか……」

「し、知るか! 私がききたいくらいだ……まさか待ち伏せされていたのか? 情報がどこかから漏れていた……?」


 エルビスは必死に、なぜこうなったのかを考える。

 しかし、思い当たるような答えは見つからない。

 ただ、軍団長としての責任感からくる焦りの感情と、恐怖心が募るだけだ。


「そ、それで……敵の数は……!?」

「そ、それが……ひ、ひとりです!」

「は……はぁ…………!?」


 エルビスはその日、この世で一番まぬけで素っ頓狂な声を出したであろう。

 先ほどの伝令も信じられない言葉だったが、敵が一人という事実はさらに彼の脳を混乱させた。

 こちらは5万もの軍勢だ。

 そして、やられた数は実に1万もの大軍。

 それなのに、それを一瞬のうちにしてのけた相手が、たったの一人だというのだ。


「ど、どどどどどうなっている……!?」

「それが……よくわからないのです……! 相手は自分をアルトヴェール王、ロイン・キャンベラス・アルトヴェールだと名乗っているようなのです……!」

「なにぃ……!? 王だと……!? そんな馬鹿な……! どこの世界に敵兵5万の軍勢に、たった一人で立ち向かうなどという王がいる! そんなの、常軌を逸しているではないか!」

「ですが……アルトヴェール王といえば、かなりの実力者だという噂もあります」

「これがかなりの実力者だって? 冗談を言え。こんな芸当ができるのは神か、それこそ悪魔くらいなもんだ。どこの世界に1万人を瞬殺できる人間がいる」

「そうですよね……我々ユーラゴビス軍も、かなりの手練れ揃い……そう簡単にやられるとは思えません……」


 そう、彼らの言う通り、そんなことはありえないのだ。

 確定レアドロップという規格外の神スキルで鍛えた、ロイン以外では――。

 もちろん、ユーラゴビス軍の装備もかなりのものだ。

 彼らとて、魔法耐性の高い装備や、様々な効果のある装備を準備してきている。

 ただ、それらのアイテムよりも、ロインの力のほうが優っていただけのこと……。


「くそ……だから私は反対したのだ……! あのジェスタークとかいう怪しい魔術師め……! まさかアルトヴェール側のスパイじゃないだろうな……!?」

「た、隊長! そんなこと……もしユィン王の耳にでも入ったりしたら、打ち首ですよ……!」

「ふん、この作戦は失敗だ。どうせ我々はこの場で死ぬのだ」

「ま、まだ状況はわかりません……! こちらはまだ4万ものこっているのです! 残って…………って…………」


 話の途中で、兵士は語るのをやめてしまった。

 口を大きく開けたまま、呆けたように黙りこくっている。


「ん? ど、どうしたんだ……!?」


 不思議に思ったエルビスが、ふと後ろを振り向く。

 すると、ついさっきまでそこにいたはずの、4万の軍勢のほとんどが、消失(・・)していたのである。

 代わりに、一人の男が立っていた――。


「よう」


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