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第154話 開戦


「ロイン王……! ご報告いたします!」

「なにごとだ……!?」


 今朝、俺のもとへ血相を抱えた兵士がやってきた。


「ユーラゴビスから宣戦布告されました……!」

「なんだって……!?」


 ユーラゴビスといえば、ヨルガストンと国境を接する大帝国だ。

 ヨルガストン王から、ユーラゴビスとの関係についてはきかされていたが、まさかこの期に及んで宣戦布告してくるだなんて……。

 いったいあいつらは何を考えているんだ……そう思っていた俺は、さらに驚くべきことを知らされる。


「しかも、宣戦布告と言いましたが……なかば強引に、警告なしで進軍してきたのです!」

「はぁ……!?」

「現在、ユーラゴビス軍はヨルガストン首都に向けて進行中。途中の民家などが略奪にあっています! ヨルガストンの兵士が命からがら、知らせてくれ、事態の把握に至りました!」

「そうだったのか……。それは許せないな。そのヨルガストン兵にはたくさん褒美と休息をやってくれ」

「っは……! ロイン王……どこへ……!?」


 俺はおもむろに、玉座から立ち上がった。

 そして、剣を手にしてその場を去ろうとする。

 兵士は、驚いた顔で俺を見上げていた。


「決まっている。戦場へだ」






「転移――」


 その言葉とともに、俺は遥か離れたヨルガストンの地に降り立つ。

 今回、俺は独断でひとりでやってきた。

 さすがに大事な彼女たちを、戦場に連れてなどいけない。

 人間を相手にするってことは、モンスター相手とは違うんだ。

 人同士の命のやりとりに、大事な女性を関わらせたくはなかった。


 それに、これは国王としての役目でもある。

 国王として領民とその大地を守るのは、当然の役割だ。

 ヨルガストンからユーラゴビスに一番近い街、グランドル。

 敵はグランドル付近の小高い丘にまで進軍していた。

 俺は調査スキルで、遠目に奴らを確認する。

 調査スキルに関しては、先日のスキルメイジ狩りのときに手に入れたものだ。


「敵は5万ってところか……多いな」


 それだけユーラゴビスの軍隊は規模が大きいということだろう。

 しかし、誰も彼も覇気のない顔をしているな。

 まあ軍隊は上からの命令に従ってるのだろうが……。

 その割に、かなり統率の取れた動きでこっちへ向かっている。


「よし、全部俺がここで迎え撃つ」


 俺はそのことを、ヨルガストン軍の幹部の一人に伝えた。

 ヨルガストン軍はグランドルの街にて、敵の侵攻を食い止めるために配備されていた。

 それを聴いた軍幹部は、驚いて慌てふためいた。


「な、なにを言ってるんですかロイン王……! 相手は5万の軍勢ですよ……!?」

「だけど、俺が出ないと大変なことになるだろう……?」

「た、たしかにそれはそうですが……」


 なにせ、今ここにそろっているのはせいぜい3000人の軍隊だ。

 グランドルに急遽集められた人数としては、それでも上等なほうだろう。

 敵は念入りに準備をして奇襲をしかけているが、こちらはそうはいかない。

 もともとヨルガストンの軍部は先の戦いでかなり消耗している。


 アルトヴェールからも人員を足して、かなり補強してあるとはいえ、すぐに国境付近に配備できる数としてはこれが限界だった。

 俺の転移や転移石でいちいち運ぶということもできるが、それにしても面倒だ。

 首都の防衛などもかかせない。

 おそらくだが、敵の5万という軍勢は防御をなげうってのものだろう。

 まったく、なにを考えているのかわからないが……。


「ですが、王自らが……しかも一人で戦場に赴くなど、きいたこともありません!」

「前例なんて知らないさ。だけど、俺の国なんだ。俺が守ってもなにも不自然なことはないだろう?」

「はぁ……そ、そうですが……。王がそうまで言われるのなら……も、もう私からは何も言えません……」

「じゃあ、そういうことで。街の警備はみんなに任せるよ。くれぐれも、市民を守ってくれ」

「わ、わかりました……! この命に代えても! 王も、絶対に生きて帰ってください」

「当たり前だ。俺はまだこんなところで死ぬわけにはいかない」


 俺はそう言って、一人また転移した。

 こんどは、敵の軍隊5万人の目の前に――。


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