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第139話 新しい仲間


 ネファレムをアルトヴェール領に連れて帰った俺は、国をあげて彼女を歓迎した。

 盛大にパーティを開き、豪華な食事やパレードで盛り上がった。

 そうしているうちに、ネファレムもだんだんみんなに心を開いていってくれた。

 ずっと一人ぼっちでさみしかったのだろう、自然と笑顔がこぼれていた。


 宴もたけなわとなり、夜、俺たちは寝室へと戻る。

 その際に、もちろんネファレムも一緒だ。

 しかし、ネファレムはどこか落ち着かない感じで、躊躇していた。


「な、なあロイン……本当に私も一緒に寝るのか……?」

「どうしたんだ……? 嫌なのか?」


 もちろん俺は強制なんかするつもりはない。


「いや……私もロインのことは好きだ」

「じゃあ……」

「その……私は、初めてなんだ……」

「なんだ、そんなことか」


 なにを気にしてるのかと思えば、意外とカワイイところがあるんだな。

 500年前から生きているわけだから、てっきりそういう経験も豊富なのだろうと思っていたが……。


「先代の勇者とは、そういうことしなかったのか? どういう関係だったんだ?」

「それが……私を魔界への鍵として使う場合、そういうことはできないんだ。いけにえの祭壇を使って魔界への扉を開くには、処女の魔族を捧げなければならない」

「なるほど、そういうことか」


 つまり先代の勇者は完全にネファレムのことを道具としてしか見ていなかったのだろうな……。

 そんなところまで束縛して、かわいそうだ。

 ネファレムは先代の勇者にすべてをささげてきたというのに、報われないものだ。


「大丈夫だネファレム。安心しろ。俺に全部任せておけ」


 俺は優しく、ネファレムの腰に腕を回す。


「ち、ちがう! そうじゃなくて!」

「な、なんだ?」

「私がその……処女じゃなくなっても、本当にいいのか?」

「は……?」


 緊張しているわけではないのか。

 いけにえの祭壇はもう破壊したんだから、今更そんなこと気にしなくてもいいだろうに。


「も、もしかしたら……世界のどこかにはほかにも祭壇があるかもしれない! だからその……!」

「もしそうだとしても、俺はお前をいけにえにする気なんてない」

「で、でも……!」

「いいからこっちへ来い。もういけにえになるなんて馬鹿なこと、考えられないようにしてやる」


 俺はネファレムの唇を奪った。

 彼女と結ばれれば、もういけにえになるなんて物理的に不可能になる。


「ん……わ、わかったから。もういけにえになるなんて言わない……」

「そうだ、そんなこと、絶対にさせないからな」

「ロイン、好きだ……!」

「俺も、ネファレム……お前を守るよ」


 こうして、俺たちは本当の家族になった。

 後からサリナさんたちも混ざって、どんちゃん騒ぎを朝まで繰り広げた。

 できればこのまま、ずっとこうして幸せに暮らしたい。

 けど、彼女たちを本当に守るためにも、俺はやはり魔界に行かねばならない。

 そして魔王を倒し、世界に平和をもたらすんだ。

 そのために、まずは魔界に行く他の方法を探さないとな。

 そうしないと、ネファレムにも責任を感じさせてしまうことになるだろう。

 ネファレムはずっと自分を責めているようだからな。

 彼女をはやく重荷から解き放ってやりたい。


「よし、まずは手がかりをさがそう!」


 俺は決意を新たに、次なる冒険を始めるのだった――。





――章完

――つづく




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