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第137話 ネファレム・リフト


「レアドロが……2つ……!?」


 なんと今回レジェンダリードラゴンからドロップしたアイテムは2つだった。

 どういうことだ……?

 今までどんなモンスターを倒しても、一体につき一つしかドロップしなかったはずだ。


「ふっふっふ、これが先代勇者からの最後のギフトだ。受け取れ」


 と、ネファレムはこれがもともとの予定だったかのように言った。


「どういうことだ?」

「レジェンダリードラゴンは体がでかいし、超上級モンスターだからな。もともとドロップ枠が2つあるんだ。そこにお前さんの確定レアドロップの能力があわさり、こうやって最高レベルのレアドロップアイテムが2つもドロップしたというわけだ」

「なるほどな……」


 もともとレジェンダリードラゴンの最高レアは2種類あったというわけか。

 もし俺じゃなかったらここでかなり苦戦していたんだろうな……。

 もう一度あのレジェンダリードラゴンを倒してレアドロップを集めなきゃいけないとか、考えただけでも苦行だ……。


「じゃあさっそく、そのレアアイテム――いや、レジェンダリーアイテムを確認するか!」



《征魔剣=エクスカリボス》

レア度 レジェンダリーEX

説明 どんな魔力障壁をも打ち破る最強の剣

攻撃力 +72M


《魔喰いの盾=ゴディウス》

レア度 レジェンダリーEX

説明 最強クラスの魔力障壁を展開することができる

防御力 +48M



「うおおおおおお! 最強の剣と盾か! これはかなりありがたい!」


 正直、今回の戦いで魔力障壁の恐ろしさを知った。

 上級魔族ともなると魔力障壁を打ち破らないと戦えないらしいからな。

 だが先代勇者が残したこれがあれば……!


「よし……! これで正真正銘、向かうところ敵なしだな!」


 俺とクラリスはそれぞれに剣と盾を装備した。

 まるで最初から俺たちのためだけに作られたかのようなフィット具合に驚く。


「さてと……これでもうこのダンジョンにはようはないな……。さあ帰るか!」


 そう言って俺は転移の準備を始めた。

 クラリスとカナンも、はやく街に帰って俺と共にベッドに入るのを楽しみにしている。

 だが、ネファレムだけは浮かない顔をしていた。

 自分がつくったダンジョンを攻略されたからか……?

 だとしても、そもそもの目的は俺たちを鍛えて魔王に対抗するべく、先代勇者の遺産を渡すことだ。

 なのだから、そんなに暗い顔をする必要があるだろうか?

 なにか、他に理由があるのかもしれないな……。


「どうしたんだ? ネファレム。俺たちと一緒に来るだろう?」


 ずっとここに500年一人でいたのだ。

 彼女の苦悩やさみしさも、よくわかる。

 だが――。


「すまない……私は、一緒には行けないんだ……」

「は…………? なにを言ってるんだよ……」


 なぜだか知らないが、ネファレムは悲しそうな顔をしてうつむいていた。

 冗談というわけでもなさそうだ。


「なあロインよ……。先代勇者はもう一つ、次の勇者に残したものがある」

「もう一つ……?」


 なるほど、それを渡してからしか行けないということだろうか?

 だが、他になにをくれるっていうんだ?


「魔王を倒すには、こちらから魔界に乗り込んでいく必要があるだろ?」

「ああ……確かにそうだな」


 魔王がこっちの世界にやってこれるようになるまで指をくわえているわけにもいかないしな。

 それに、もともとサイハテダンジョンを攻略しにいったのも、それについて調べるためだ。

 サイハテダンジョンに行けば、魔界にわたるすべも見つかるだろうと思ったのだ。

 まあ結局、その方法はわからずじまいだが……。

 だが先代の勇者はその方法を知ってるはずだよな……?

 ってことはつまり……。


「もしかして、最後にくれるものって、それか? 魔界に行く鍵みたいなやつ」

「そうだ。先代勇者は最後に、魔界に渡る方法も残している」


 ネファレムは深刻そうな声色で言った。


「おお! そいつはありがたい! それさえあれば、さっさと魔王を倒せる!」


 ついにここまできたかという感じだ。

 ついに魔王の喉元が目の前に!

 俺は内心、喜びを隠せなかった。

 だが、それだけに目の前の憂いを帯びたネファレムとのギャップがすごい。


「そうだな……私も、さっさと終わらせたいよ。魔王を倒してきてくれ」

「ああ、もちろんだ! それで……その魔界に行くためのアイテムってのはどこにあるんだ?」


 俺は、なんの気なしにそうたずねた。

 だが、ネファレムの返答は意外なものだった。


「ん…………」

「ん…………?」


 ネファレムは、なにかアイテムを取り出すでもなく、ただただそこに突っ立っている。

 そして、彼女は静かに自らの顔を指さした。


「は…………?」

「だから……私……なんだ」

「う、うそだろ…………?」


「嘘じゃない。私が――ネファレム・リフトこそが、魔界に続く鍵なんだ――。だから、ロイン。お前と一緒にはいけない」


 目の前のいたいけな少女は、今までに見たこともないようなすがすがしい笑顔で、そう言った。

 自分の感情を押し殺して。

 残酷なまでに、無垢な笑顔で――。






――つづく。

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