第136話 ダブルアップチャンス
覚醒の秘薬をそれぞれ一本ずつ丸のみした俺たちだったが……。
そのせいで性欲も高まってしまっていた。
このままでは戦いに集中できない……。
なるほど、覚醒の秘薬はその強力な効果の代わりにそういう副作用があるんだな。
とにかく、さっさとこのドラゴンを倒すしかない。
「いくぞ！」
「「うん……！」」
俺たちはそれぞれに攻撃を仕掛けた！
すると――！
――ズドーン！！！！
今度こそ手ごたえがあった。
「やったか……！？」
しかし……土煙から出てきたのはまたしても無事なレジェンダリードラゴンの姿だった。
「くそ……ダメか……！」
「待ってロイン！ あれを見て！」
「あ……！」
言われて気づいたが、レジェンダリードラゴンになんとか傷を負わせることができた。
しかしまだこれでようやく少しダメージを与えただけなのか……。
先は長いな。
そうこうしているうちに、レジェンダリードラゴンの魔力が回復したのか、奴はまた攻撃の態勢に入った。
「来るぞ……！ くそ……！ 盾がない！」
「私に任せて！」
「カナン……！」
盾を失ったクラリスの代わりに前に出たのはカナンだった。
だが、盾ももっていないのにどうしようというのだろうか。
「砂塵演舞――！！！！」
カナンがスキルを使用する。
レジェンダリードラゴンの身の回りを無数の砂つぶが覆い隠した。
「なるほど……！ そうか……！」
これならレジェンダリードラゴンもうかつにブレスを吐けないだろう。
もし今ブレスをはこうものなら、砂塵に引火して、レジェンダリードラゴン自身も大変なことになってしまう。
ドラゴンはかなり知能の高い生き物だ。
レジェンダリードラゴンともなれば、そのくらいわかるだろう……。
「グオォオオオオオオオオオオ！！！！」
そう思ったのは希望的観測に過ぎなかった。
レジェンダリードラゴンは今しも火を吐き出そうと、大きく息を吸い込んだ！
「って……ダメじゃないか……！」
「大丈夫！ 氷の舞――！！！！」
またカナンはスキルを繰り出した。
今度は氷の風がカナンのナイフから吹き荒れる。
そしてその氷は無数の砂塵にまとわりつき、レジェンダリードラゴンの身体を襲った！
「グオォオオオオオオオオオオ！！！！」
まるで群がる虫のように、レジェンダリードラゴンの身体が氷の粒でおおわれる。
その状態で大きく息を吸い込んだものだから、大変だ。
レジェンダリードラゴンは器官に氷の刃を詰まらせてむせこんだ。
「よし……！ なんとかブレスは防いだか……！？」
「ロイン、今よ！ とどめをさして！」
「よし……！ わかった……！」
カナンがつくってくれたチャンスを無駄にするわけにはいかない！
ここのところ、素のステータスが上がりすぎたせいでスキルをあまり使用していなかったが……。
大きな隙もできたところだし、絶好のスキルの使いどころだ。
「運試しの賽子――！！！！」
まずは運試しの賽子で俺のダメージ倍率を上げる！！！！
６×６×６で２１６倍だ！！！！
ただしその分このスキルは隙も大きいんだが……。
カナンのおかげでようやくこのスキルを安全に通すことができる！
「そしてええええ！！！！ 追いチャージ――！」
これでさらに威力を上げる！
「それからぁ！ 剣撃分身だ！」
剣を増やして威力はさらに倍だ！
スキルコンボが決まると気持ちがいい！
「これで最後だぁ！ 雷撃剣おおおおおお！！！！」
俺は思い切り斬撃を放った。
――ズドオオオオオオオオオオオオオン！！！！
ダンジョンの中を雷撃が走り回る！
「グオォオオオオオオオオオオン！！！！」
レジェンダリードラゴンの肉体を雷撃が引き裂く！
体内に侵入した無数の氷の刃と連動して、どんどん肉体を破壊する！
「ギュエエエエエエエエ！！！！」
あれほど硬かったレジェンダリードラゴンの皮膚や、魔力障壁も一瞬にして焼け焦がれる。
勝負は一瞬にして決まった。
――ズドーン！！！！
レジェンダリードラゴンはその大きな肉体をダンジョンの床に沈めた。
「やったぁ！」
「よっしぁ！」
俺たちはいつものようにハイタッチをした。
ネファレムだけが少しおもしろくなさそうな顔をしていたが……。
「さてさて、ドロップアイテムはっと……」
俺はドロップアイテムを探り出す。
すると――。
なんと今までにない変化が現れた。
「ドロップアイテムが…………ふたつ…………？」
タイトルを書籍版に合わせ変更しました。
また活動報告も更新しています。
