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第128話 確信する勝利


「魔王なら俺が倒す。最初からそのつもりだ。安心しろ」


 俺はネファレムのかわいらしい小さな頭に手を置いて、そう言った。


「お前……そんなの、無理に決まってるだろう……ぐす……」


 どうやらネファレムは泣いているようだった。

 無理もない、自分の目的が水泡に帰したのだから。

 だが、こいつは勘違いをしている。

 無理に決まっているだと……?

 そんなふうに言われるのは、心外だ。


「そうか……? 俺は無理とは思わないな」

「だって、お前はライオス家のものでもない! 勇者として正規に選ばれたわけでもないんだぞ!」

「ああ。そうかもな。だが、俺はここにこうして立っている」

「あ…………」


 そう、俺がこのレジェンダリーダンジョンにまでやってきて、ネファレムと話をしていることこそがなによりもの証左なのだ。

 俺が勇者並みの強さを持っていることの、な。


「それに、さっきので俺の実力はわかっただろう? 少なくとも、今この世界にいる人類の中では俺は最も強い部類だと思う」

「た、確かにそうかもしれないが……」


 なかなか納得してくれないネファレムだったが、俺はとっておきの話をしてやることにした。

 俺は不可能を可能にしてきた。

 これまでに、何度も。


「なあネファレム。俺は今でこそこうして、こんな最難関ダンジョンの奥地にいる。だがな……もともとは、スライムすら倒せないようなやつだったんだ」

「え……?」

「だけど、俺は成長して、ここにいる。だから俺に不可能はないんだ。魔王を倒すことくらい、余裕だ。だから俺を信じてくれないか……?」

「ロイン……お前……うん、わかった。もうお前に託すしかなさそうだ……」


 ネファレムはそう言うと、ポケットからなにやら鍵を取り出した。


「それは……?」

「この先の、レジェンダリーダンジョンへと続く扉を開ける鍵だ。ほら、あの扉」


 ネファレムが指をさした先には、ここにくるまでにあった扉とは比べ物にならないくらいの巨大で丈夫そうな扉があった。

 あの先に、真のレジェンダリーダンジョンが待っているのか……。

 サイハテダンジョンよりもさらに上の、先代勇者が残したという伝説のダンジョン。

 それはいったいどんなものなのだろうか……。


「ロイン・キャンベラス。お前に先代勇者の遺産のすべてを渡そう」

「ああ、ありがとう」

「ただ、そのためにはこの先のレジェンダリーダンジョンを攻略しなければならない。それが勇者からの試練だ」

「もちろんだ。任せておけ」

「そう言うが……この先は修羅の道だぞ? それこそ、勇者の血を引くものでないとまともに攻略できないような難易度になっている……。正直、普通の人間にはとてもじゃないが……」


 ネファレムはそう言うが、俺としてはなにも心配していない。

 むしろワクワクが勝っているくらいだった。

 だってサイハテダンジョンですらクリアしてきた俺たちだからな。

 それに、今の俺にはレベルアップという強化も入っている。

 まさに向かうところ敵なしといった感じだ。


「それで……そのレジェンダリーダンジョンはどういうものなんだ? 難しいといっても、どのくらいなんだ……?」

「レジェンダリーダンジョンにいるボスモンスターには、それぞれ勇者の残した特級の遺物がドロップアイテムとして設定されているんだ。試練に挑む者は、それを集めて次のボスモンスターに挑む仕組みになっている」


 ネファレムの口から出たドロップアイテムという言葉に、俺はいち早く食いついた。


「ちょっと待て、ドロップアイテムだと……?」

「ん? ああ、そうだぞ。しかもどれもかなり確率の渋いレアドロップアイテムだ。だから何度も復活するボスに挑まなきゃ攻略は不可能……。もちろんこちらは一回限りの命だ」


 レアドロップアイテム……そう聞くと、俺はワクワクして震えが止まらなくなった。

 俺はうつむいて、ニヤニヤと笑みを浮かべながら震えをこらえる。

 するとそれを見たネファレムが怪訝な顔で言った。


「なんだ? 怖気づいたのか? まあ無理もない……。これは先代の勇者が、子孫を最強に鍛えるために用意した最難関のテストだからな……。だがこれをクリアしないことには、とてもじゃないが魔王に挑むなんてむりだ……」


 しかし、俺は怖気づいてなどいなかった。

 むしろ俺は笑いが抑えられずにいた。


「はっはっは……こりゃあいい……!」

「うお……!? なんだ!? なんで笑っている!?」


 ネファレムは俺の様子を見て不思議がった。

 しかし、カナンとクラリスは俺の考えを見抜いていた。

 俺たちはアイコンタクトで確認し合う。


「ロイン……! これって……」

「ああ……! 俺たちなら楽勝だ!」


 そんな俺たちを見てネファレムはあきれて口がふさがらない。


「お、お前たち……なんなんだ……? どういうことなんだぁ……?」


 ――ということで、俺たちはレジェンダリーダンジョンに挑むこととなった。


 レアドロップである先代勇者の遺物を集め、魔王へ挑むための切符をてにする!

 先代勇者がいったいどんな強力な遺産を残してくれたのか、今から楽しみだ!

 ちなみにネファレムも後ろからついてくることになった。

 彼女は手を貸さないらしいが、管理者として試験官のような役割もあるらしい。

 ともかく、今からネファレムの鼻を明かすのが楽しみだった。


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