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第119話 驚愕の会心率


 俺は工房へ転移してきた。

 ガントレット兄弟と会うのも久しぶりだ。


「よう」

「おお……ロイン王! これはこれは」


 ドレットは俺の顔を見るなり、そんなふうに言ってきた。

 今までコイツが俺のことをそんなふうに呼んだことはなかったというのに。

 俺としても、王などと呼ばれるのはどこかくすぐったいのでやめてほしい。


「なんだその呼び方は……」

「悪い悪い。昨日はずいぶんお楽しみだったそうじゃないか」


「は……?」


 ドレットがなぜ、昨日の俺のことを知ってるんだ?

 まるで俺のことをからかうようなニヤケ顔でこちらを見てくる。


「城の廊下どころか、部下の部屋まで声が轟いてたって噂になってるぞ、ハーレム王」

「っく……まじか……」


 俺も昨日は久ぶりというのもあって、少し頑張りすぎた……。

 そのせいで、サリナさんたちの声も必然と大きくなる。

 だがまさか城中に聴こえていたとは知らなかった。

 まあ俺としては今更かまわないが、サリナさんたちが知ったら恥ずかしがるだろうから黙っておこう……。


「その……済まん……」

「はは……まあ健康なことはいいことだ。俺も毎晩ベラドンナとは激しい行為を繰り広げているからな」


 そういえば、ガントレット兄弟にもベラドンナという愛すべき相手がいたな。

 ベラドンナとうまくいっているようでよかった。


「まあ、あんたらのところは兄弟でガチムチサンドイッチだからな……」


 想像するだけでも、激しいことがよくわかる。

 ベラドンナはかなり体力があると思う……。


「おいおい……そんな言い方するなよ……。まあ確かにそうだけど……」

「すまんすまん」


 これはさっきのおかえしだ。


「それで、今日はそんなくだらない話をしに来たわけじゃないんだろ? 王様」

「ああ、もちろん。これだ。こいつを見てくれ」


 俺はアイテムボックスから、古龍の竜玉を取り出した。


「こ、これは……!!」

「そうだ、ただの竜玉じゃない。古龍種――本物の龍だ」


 かつてサイハテダンジョンで古龍種と戦った際に、手に入れたものだ。

 普通のドラゴンの竜玉でさえ、会心率を大幅に上げる効果のある装備がつくれた。

 だとすれば、古龍の竜玉をつかえば、いったいどんな装備が手に入るのだろうか。


「よし、ちょっと待ってろ。数日で加工してみせる」

「ああ、よろしくたのむ」


 俺は竜玉を預けて、しばらくまた休息をすることにした。

 温泉に入ったり、街のようすを見て回ったり。

 休みといっても、俺はこのアルトヴェールの王だ。

 いろんな人の話を聞いたり、やることはいっぱいだ。


 そして、二三日たったころ。


「ロイン、できたぞ……!」

「もうか! はやいな……!」


 ガントレット兄弟が、完成した装備をもって俺のもとに現れた。

 二人は自信満々に、装備品を机に置いて、俺に献上した。


「あたりまえだ。俺たち兄弟を誰だと思ってる!」

「ああ、そうだったな。さすがだ」

「しかし今回はかなり苦戦したぞ……だが、それだけにやりがいのある仕事だった。古龍種の竜玉なんて、ロインと出会わなかったら一生見ることなんてなかったろうな」

「はは……たしかにそうだろうな」


 俺はおそるおそる、装備品を手に取って確認する。


「おお……これはすごい……!」



《覇龍のペンダント》

レア度 ???

・説明

装備したものの会心率を大幅に上昇させる。

会心率+5000%



「これってつまり……」

「ああ、そうだ。会心率100%アップなら、常時クリティカルヒットになるわけだが……。今回のこれは、常時その50倍の威力で攻撃できる」

「ま、まじか……」


 確かに、理屈で言えばそうなる……のか……?

 だがそれはあまりにもけた違いな数字だった。

 ステータスがただでさえ上がり続けているのに、そのうえダメージにまで補正がかかるとなると……これはいったいどこまでいくんだ?

 俺の成長はまさに天井知らずといった感じだった。


「いやぁ俺たちもまさかここまでの装備品を作れるとは思ってなかったぜ。これもお前さんの持ってくるレア素材のすごさのおかげだ。いい経験させてもらってるよまったく」

「こちらこそだ」


「よしロイン、さっそくこの装備を試してみるか?」

「ああ、そうだな。そうしよう……。ちょっとこれは俺も気になる」


 俺たちがサイハテダンジョンから帰ってきてから、工房には試し切りスペースが作られていた。

 大きな丸太に、何本もの剣のあとがある。

 装備を持った俺たちは、さっそく試し切りスペースへ移動する。

 俺が例の丸太の前に立つと、レドットから声をかけられた。


「おいおいロイン、あんたはこっちだ」

「え……?」

「あんたのその馬鹿力で丸太なんか切ったら、大変なことになるだろ? それこそ、地面や建物ごと破壊されかねない」

「ああ、そうだな……確かに。でも、それならどうするんだ?」


「こっちにロインようのスペースを作ってある。王様専用だ」

「そうか、悪いな」


 俺はレドットに連れられて、屋外に出る。

 そこにはだだっぴろい岩石地帯に囲まれた、試し切りスペースがあった。


「こんなものを作ってくれたのか……」

「これなら思い切り暴れても大丈夫だ」


 試し切りスペースと工房の間には、さまざまなレア鉱石で作った強化壁が施されていた。

 ブラッディ鉱石やサンドラ鉱石、その他さまざまな鉱石を加工して作った、最強の防壁。

 そして試し切り用のポールは、丸太ではなくこれも特殊素材で作られていた。


「これは……?」

「これは竜の骨やうろこを使って作ったものだ。さらに鉱石を液体状にしてコーティングしてある。お前さんの力でも壊せないと思うぜ」

「なるほど……それなら大丈夫そうだ」

「なにせお前の集めてきた上位レア素材の中でも、選りすぐりの素材を使って作ったからな」

「よし……それじゃあ遠慮なく」


 確かに、俺のいままで集めてきた数々の素材なら、納得の耐久力だ。

 俺も思い切り殴れるというものだ。


 俺はそでをまくり、腕をぶんぶん振って体を温めた。


「おいおいロイン……剣は?」

「素手で大丈夫だ」


 そして俺は、思い切り試し切り用ポールをぶん殴った。


 ――ズドーン!!!!


「えええええええええええええ!!!?!??!?」

「はは……やりすぎたか……」


 俺はこれでも手加減して殴ったつもりだったのだが……。


【ダメージ:56B(ビリオン)


 ダメージはついにBを記録した。

 まあステータスがM(ミリオン)だし、そこに会心率をかければそのくらいになってもおかしくないか……。


「ああ……せっかく作ったのに……」

「すまんすまん……」


 そして試し切り用のポールは、跡形もなく吹き飛んでいた。


「もう試し切りはむりだな……実戦で試してくれ……」

「ああ……そうするよ」


 俺としても、素材の無駄になるのは勘弁だ。

 それにしても、これだけのパワーになると、実戦でも持て余しそうだ……。


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