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【2巻発売中!&コミカライズ】俺だけ《確定レアドロップ》だった件~スライムすら倒せない無能と罵られ追放されたけど、初めて倒した一匹から強武器落ちました~  作者: みんと
第一章 レアドロップ 編

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第11話 崩壊の兆し【side:グフトック】


「なんだッ……! いったいなんなんだあのヤロウ!!!!」


 俺はロインが去った後の机を殴りつける。

 虫の居所がおさまらねえ。

 なんであのスライムすら倒せなかったクソ雑魚ロインが……あんな武器を手にしている……!?


「ぐ、グフトックさま……! 落ち着いてください!」


 プラムが俺をなだめようと肩に手を置くが、俺はそれを乱暴に払いのける。


「うるせえ! これが落ち着いていられるか!」


 俺は今、金がなくて困窮しているというのに……。

 ロインのやつめ、ずいぶんと羽振りがよさそうだった。

 しかも、俺の武器は折られてしまった。


「おい! あいつにも負けないくらい稼ぐぞ! 俺たちもゴーレムを倒そう」

「え……!? 私たちでゴーレムをですか……?」


「そうだが? 問題があるか……?」

「で、でも……お金がないのでやめといた方が……」


 などとナターリアは気の弱いことを言う。

 まったく、これだからこいつはダメなんだ。


「馬鹿を言え! 金がねえから、やるんだろうが! ゴーレムを倒せばそれなりの金になる」

「で、でも……」


「は? 俺の言うことが聞けねえのか?」

「ご、ごめんなさい……」


 俺は反対するパーティーメンバーを黙らせ、クエストをカウンターに持っていく。

 パーティーメンバーをまとめるのも、リーダーである俺の仕事だからな。

 しかも俺が選んだのは、ロインのようなやわな奴でも倒せるようなゴーレムじゃない。

 ゴーレムの上位種、エルダーゴーレムの討伐クエストだ。

 

「さあて、お仕置きの時間だ。俺の偉大さを知らしめてやるぜ」


 俺たちはさっそく、ダンジョンへと向かった。

 このクエストをクリアすれば、金は手に入るし、ロインにぎゃふんと言わせることもできる。

 まさに一石二鳥、神のようなアイデアだ!





 それなのに――。

 どうして……!


「……っく! なんでこんなに苦戦しなきゃならねえ!」


 俺たちはエルダーゴーレムにたどり着くことすら難しかった。

 ダンジョンを進んでいくのだが、一向に敵が減らない。


「おいカルティナ! お前さっきから攻撃してねえだろう!? どうなってやがる!」


 俺は【傭兵】職のカルティナに怒りの檄を飛ばす。

 どうもおかしいと思ったら、さっきからカルティナは自分の目の前の敵にしか攻撃していない。

 つまり明らかに手を抜いていやがる。

 最低限の仕事しかしないつもりでいるらしい。


「どうなっているはこっちの台詞だ。私はあくまで【傭兵】だ。金で雇われているからには、きっちりと支払いをしてもらわねば働く義理はない」

「なんだと!? こっちは今、金がねえんだ! ごちゃごちゃ言ってないで自分の分は働いて稼げ!」


 まったく、お高く留まったクソ女だぜ。

 金がないからゴーレムを倒しに来ているというのに、金がないから攻撃しないとはどういう理屈だ?

 これだから頭の悪い脳筋は嫌になる……。

 でもまあ、見た目はいいから許してやってもいいな。


「それよりもだ……! おいプラム! お前もお前だ! いったい何をやってるんだ!」

「ひゃ、ひゃい! すみませんグフトックさま!」


 さっきからどうも、プラムも仕事をしていない気がする。

 たしかに【アイテム師】のプラムの仕事はあまり目立たないが……。


「その……私は【アイテム師】ですので……。アイテムがないと戦えないんです……!」

「それは知っている……! 戦闘用の消費アイテムなら十分に買い与えているだろう、バカが!」


「それが……さっきの戦闘で切れてしまって……」

「なにぃ!? 金がないと言っているだろう! このバカ女!」


 まったく、どいつもこいつも使えないパーティーだな。

 俺は頭が痛くなってきたぜ。

 俺だって剣が折れてしまったせいで、少し弱めの武器を使わざるを得ないのだ。

 ただでさえ効率が落ちているのに、味方がこれでは日が暮れてしまう。


「最後はナターリア! お前もだ! お前のモンスターも、さっきからまったく仕事をしていないように見えるが……? そいつらは案山子(かかし)なのか? あん? なんとか言ってみろ」

「す、すみませんグフトックさま……! ですが……!」


 ナターリアは【テイマー】の女だ。

 だから何匹かの狼モンスターを引き連れている。

 そのせいでいつもうるさくてかなわん。

 だが可愛いし従順だから、俺の手元に置いてやっている。


「それが……! さっきからモンスターが言うことを聞いてくれないのです!」

「はぁ? 無能かよお前は。テイマーがモンスターに言うこと聞かせられねえでどうすんだ!」


「す、すみません! それが……餌が足りてないようでお腹を空かせているんで……」

「だ! か! ら! 金がねえっていってるだろ! イヌっころなんかに食わせる餌なんかねえんだよ! てめえのクソでも食わせてろクソボケ!」


 まったく、金食い虫とはこのことだ。

 どうしてうちのパーティーメンバーはこうも金金いうのかねぇ。

 今まではそれでも十分な稼ぎがあったんだ。

 それがどうして急にこんなことになったんだろうかな……。

 

 そういえばロインがいなくなってから、とことんツキが落ちた気がするな。

 いや……まさかな……。

 あんなヤツ、いてもいなくてもおんなじ、どうでもいい存在なんだ。

 意識するだけ無駄さ。


「ああクソ! ロインの顔がちらつく! あいつのことを考えたら、余計に腹が立ってきたぜ!」


 俺はイラついて、ダンジョンの壁に蹴りを入れる。

 すると……。


 ――ゴゴゴゴゴゴ。


「ん……?」


 なんだか今の壁、俺が蹴ったら、動いた気がする。

 どういうことだろうか……?

 そう思ってボーっとしていると、傭兵のカルティナが俺の肩を叩いた。


「おいグフトックしっかりしろ! 文句ばかり言うな。そういうキサマが一番仕事してないだろ!」


 などと言ってきやがる。

 カルティナのやつ……調子に乗りやがって。


「うるせえ! 俺は本命の武器が折れてつかえねえんだよ! だから本調子じゃないだけだ!」

「ふん……どうだかな。一流の戦士は得物を選ばない」


 クソ……!

 火に油だぜ。

 俺はもう限界を迎えていた。

 我慢ならねえ!



「うあああああああああ! 


 クソ


 クソ


 クソ


 クソ


 クソ!!!!!!!!!!!!」



 俺は我を忘れて、ダンジョンの壁を殴りまくった。

 すると、さっきよりも大きく、壁が動いた。


 そして壁が、俺に向かって跳ね返って来たではないか!

 俺は壁に殴られるようにして吹っ飛ばされる。


「うわああああ!」


「グフトックさま……!?」


 クソ……。

 ダンジョンの壁までもが俺にあだなすというのか……!?


「このクソ壁がああ!」


 俺はもう一度立ち上がり、壁に向かって殴ろうとする。

 すると、カルティナがそれを羽交い絞めにして制止した。


「おい、なんだよ!」


「よくみろ……! これは壁じゃない……!」


「あん……?」


 カルティナに言われ、俺はまわりをよく見てみる。

 上を見上げると、ようやく状況がわかってきた。

 俺が壁だと思い込んでいた()()は、壁なんかじゃなかった。



「ご、ゴーレム……?」

 


 そう、それはあまりにも巨大で、気づかなかっただけだった。

 俺たちのクエスト目標であるエルダーゴーレムが、そこにいた。


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