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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
騎士予備校
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76 良い刺激になるだろ?

さて、困ったことに俺の正体がマリウス後輩にバレてしまったわけだが、果たしてどういう反応をされるのだろうか。


まず当然怒られるだろ?


それから毎日付きまとわれて恨み言を四六時中聞かされるかもしれない。


さらに精神的に弱った俺にいきなり斬りかかってきて・・・。


ああもう! なんで11年普通に(?)生きてきて、今まで全く見ず知らずだった奴に勝手な恨みをぶつけられなきゃいけないんだ!


俺はこれから起こるであろう面倒事を予想し、ひどく憂鬱な気分で隣を伺う。


すると意外なことに、マリウスは特に気にしたふうもなく、


「あ~やっぱりそうでしたか~」


などと言って、全く怒った様子もない。どころか、ようやく得心いったという感じで、俺のほうを眺めてはうんうん頷いているばかり。逆恨み云々は俺の被害妄想だったかもしれない。恥ずかしっ!


「え~と、もしかしてバレてた?」


俺は阿保らしくも素直に聞いてみる。


「ん~何となくそうじゃないかなと。だって、“せんぱい”以上に()()()先輩見当たりませんし」


いや、その判断基準はおかしい!

さてはお前、ギルバートおじさんに何か聞いていただろ!


ジト目を向ける俺に、


「ま、まあまあ。いいじゃないですか細かいことは! そんなことより・・・さっそく勝負しましょう!!」


マリウスは目をキラキラと輝かせて俺にグイと近づくと、いきなり勝負を挑んできた。


因縁の相手とか言っていたから、てっきり訳の分からない逆恨みでもされているのかと思っていたけれど、こいつただの戦闘狂かもしれない・・・。


自分と渡り合える同年代の相手を探していた的な。


ふむ。確かに俺にとっても良い刺激になりそうだし、中々面白そうだ。一回くらいなら勝負してもいいかもしれない。


が、しかし・・・


「今授業中だから、あとでな」


さすがに授業中に勝手はできないだろうと、俺は勝負をいったん断ることにした。


ところがここで、あのおっさんの声が割り込んでくる。


「いいじゃないか! どうせならみんなに二人の技量を見せてやったらどうだ? きっと良い刺激になるだろうからな!!」


「え~と、ウィル教官。授業はいいんですか?」


「授業? そんなもんどうだっていい! どうせ今日は新入生の見学もあって摸擬戦が中心だからな。それよりも二人の高レベルな戦いを見るほうが余程勉強になるはずだ!!」


おい教官仕事しろ!


と言いたいところだが、まあいいか。


俺はマリウスに向き直り声をかける。


「じゃあ、教官の許可も下りたことだし、やるか!」


「え!? いいんですか! やった!!」


マリウスは飛び上がって喜んだ。



そうして俺とマリウスが摸擬戦の準備をしていると、あれよあれよという間に他の生徒たちも集まり、ぐるりと周りを囲んだ。その中心で俺とマリウスは木剣を構え互いに向かい合う。


「ジェフ君! 頑張って!」


「ジェフ~負けんじゃねえぞ!」


「きょ、今日だけは応援してあげるわ!」


「師匠の実力見せつけてやってください!」


「「お前は俺が倒す!!」」


クリスにザッシュにティナにカフス。ジャンとマシューは相変わらずだけれど。クラスの仲間、みんなが俺を応援してくれている。こいつは負けられないな・・・。


俺は一つ深呼吸をして開始の合図を待つ。


――やがてギャラリーの声がおさまると、一刻(いっとき)の静寂が降りてくる。


それを豪快に切り裂くように、


「始めぇええ!!」


ウィル教官の鋭い声が響き渡った。


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