8 ギルバートおじさん
摸擬戦が終わったあと、父さんは俺をひたすら褒めてくれた。それはもう親バカとしか言いようがないほどに。
「凄いぞジェフ!お前は天才だ!これは世界も夢じゃない!」
「次期剣聖はお前で決まりだな!」
「今日はジェフの剣聖襲名を盛大に祝おう!」
「父さん。気が早いよ・・・」
「そんなことはない!ジェフ、お前はすでにこの国でも指折りの実力者だ!」
「・・・」
こんなやり取りを夜まで続けていた。
「はいはい!あなたたち、もう夕食の時間ですよ!」
「エーファ、聞いてくれ!ジェフが~」
食事の席でも父さんはひたすら今日の摸擬戦の話ばかりしていた。それを母さんは苦笑しながらも本当に嬉しそうに聞いていた。
妹のエリーは目を輝かせながら俺と父さんを交互に見やり、やはり嬉しそうに笑っていた。
ちょっと照れくさかったけど、心が温かくて、とにかく“幸せ”な気持ちだった。
明日からも頑張れそうだ。俺は絶対騎士になってみせる!
それから数日後、父さんは俺を書斎に呼び出した。
大事な話があるらしい。とりあえず書斎の前で深呼吸。
「すぅ~~~~はぁ~~~~。よし! コンコンコン!」
「入っていいぞ」
扉をノックすると父さんから返事があった。
書斎に入るとそこには、父さんとギルバートおじさんがいた。
「お久しぶりです!ギルバートおじさん!」
「お久しぶりですね。ジェフリー君。すっかり逞しくなって。」
「そうだろう!うちの息子は世界一だからな!」
また父さんの息子自慢だ。ギルバートおじさんも苦笑している。さっさと本題に入ろう。
「ところで父さん、大事な話ってなに?」
「ああ、ジェフ。お前、騎士になりたいんだよな?」
当たり前だ。騎士になりたいという夢は1ミリも忘れたことがない。そのためだけに剣を振ってきた。だから俺は即答する。
「うん。」
「騎士になるためならどんなに辛くても我慢できる。そうだな?」
「うん。」
「わかった。ギル!よろしく頼む!」
「はいはい。わかりましたよ、元団長。それじゃあジェフ君、外に出ようか。」