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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
騎士予備校
61/210

55 妹想いのお兄ちゃん?

お読み頂きありがとうございます!

ブクマ、評価、感想はお気軽にどうぞ。

(感想のログイン制限があるとは知らず……外しておきました)

「なぁ。もういいだろ?」


「まだだ!お前はサーヤにふさわしくない!」


「いや、だからサーヤって・・・」


「うるさい!妹に手を出す奴は僕が許さないぞ!」


「話聞けって・・・」


はぁ~面倒くさい!

何なんだこいつは!

大体サーヤって誰だよ!


俺は心の中で叫ぶ。



―…遡ること四時間前。


教室に入っていきなり決闘を挑まれた俺は、困惑のあまり、とりあえず男を無視して席に向かおうとした。


それに腹を立てた男が、席に向かおうと歩き出した俺の肩に突然掴みかかってきたため、俺は咄嗟にその腕を掴み、捻り上げてやった。


さらに怒った男は、反対の拳を硬く握りしめ、こちらに打ち込んできたので、さすがにイラっと来た俺は、その腕をとり、綺麗な投げ技を披露してしまう。


これが運の悪いことに、少し早く教室に現れたウィル教官に目撃され、俺たちはそのまま指導室に連行。事情聴取をされるはめとなった。


男が語るには、双子の妹が俺に口説かれ、困っている。貴族として醜く野蛮な喧嘩は許されないので、正式な決闘により決着をつけたい。妹は俺が守る!とのこと。


俺にはさっぱり身に覚えがなかったため、正直に知らないと説明したのだが、ウィル教官は何やら面白がり、結果、決闘は容認されてしまう。


おい!小声で「これも経験だな」って言ってたの聞いてたからな!



そんなわけで、今である。


男の名前はカフス・キルトン。青空のような淡い水色の髪と同色の瞳が特徴的なハンサムボーイ。


キルトン家は伝統ある侯爵家の血筋らしいが、残念ながらこの場においては全く関係ないし、売られた喧嘩は全力で買うのが礼儀だろう。


というわけで、俺は一切手加減せずにカフス・キルトンをボッコボコに叩きのめしている。


木剣とはいえ、これだけ打ち据えられたら相当痛いだろうに。正直もう辞めたいのだが・・・。


「はぁ、はぁ。まだだ!サーヤは、妹は僕が守る!」


彼は一切諦めようとしない。どころか、息も絶え絶えに俺を睨みつけてくる始末。


うん。(打たれ)強いのは認めよう。でも、はっきり言って相手にならないので、そろそろ諦めてほしい。心から。


大体、クラスで頭一つ抜けている5人の中でも、彼は一番下なのだ。きっと彼自身がよく分かっていることだろう。それなのに彼は立ち上がる。妹のために。


俺は彼の騎士道に敬意を表したい。

参ったと言って握手を交わしてやりたい。


しかし、それはできない。


だって、身に覚えがないんだもの!


「なあ、いい加減、話を聞いてくれないか?」


「誰がお前なんかの話を聞くか!妹を(たぶら)かすクソ(むし)め!」


「いや、だから違うんだって!」


「何が違う!妹に色目をつかって話しかけていたじゃないか!」


「・・・俺が?」


「ああそうだ!この髪の色を忘れたとは言わせないぞ!」


ん?淡い水色の髪の女の子?

確かにどこかで見たような・・・。


「学校が終わったらダンスをしようなどと、妹を夜会に誘っていたじゃないか!」


あ~完全に誤解されているみたいだな。これは。


確かに俺は水色の髪の女の子を放課後のダンス()()に誘った。貴族の女の子だという話を聞いたため、教師役をお願いしたのだ。


まさかこんな勘違いをされているとは思わなかった。


う~む。どうしたものか。

とりあえず誤解を解こう。


「あれは・・・」


「兄さん!!」


誤解であることを説明しようとした俺の声を、突然現れた女の子の声がかき消す。


「さ、サーヤ!?どうしてここに!」


「それはこっちのセリフよ兄さん!どうしてこんなこと!」


「だ、だってこいつがお前を誑かして・・・」


「は、はあ!?ち、違うわ!何を勘違いしているの!」


「で、でも!放課後にダンスって・・・夜会・・・さそって・・・」


「あれは教師役を頼まれていただけよ!」


「・・・へ?」


「だから!放課後のダンス練習!クラスの人たちでやっているじゃない!」


「・・・あ!」


「その教師役を頼まれたのよ!」


「そ、そうだったのか!!」


どうやら誤解は解けたらしい。

ふぅ~。助かった!


「分かってくれたか?」


「なんで言ってくれなかったんだ!!」


いや、俺の話を聞かなかったのはお前だろう!


サーヤも同じことを思ったらしく、


「どうせまた兄さんが勝手に暴走して話を聞かなかっただけでしょ!」


「あ、いやっそれは!」


「もーいい加減にしてよ!変な思い込みですぐ暴走しないで!」


「うっ!」


「はぁ~。うちの兄がご迷惑をおかけしてすみません。いっつもこうなんです。」


「あ、うん。誤解が解けて良かったよ。」


サーヤは俺に向かって謝罪をすると、カフスを引っ張って去っていった。


どうやら常習犯らしい。


どんだけ思い込みが激しいんだよ!勘弁してくれ!


こうして妹を巡る(?)決闘騒ぎは幕を閉じた。


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