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6 摸擬戦
朝食を食べた後は家の手伝いだ。畑を耕したり家畜の世話、近くの森で狩りなんかもする。もろもろが終わって、昼食を食べたらいよいよ父さんとの摸擬戦だ。
「ジェフ!準備はいいか?」
「いいよ。父さん!」
「よし!じゃあかかってこい!」
俺は勢いよく飛び出した。
まずは上段からの振り下ろし。いつもは簡単に弾かれるが、今日の俺は一味違う。
適度に脱力しつつ振り下ろす一瞬だけ力を入れる。
意表をつけたのかはわからないが、父さんは受け流すのみだった。
何度か打ち合ったが、やはり父さんの体勢を崩すには至らない。
仕切り直すため一度後ろに下がろうとした瞬間だった。
父さんは一足で間合いを詰めると凄まじい速度の横薙ぎを繰り出してきた。
ただ、不思議と恐怖は感じなかった。俺の目はその動きをしっかりと捉えており、上手く受け流すことができた。
そこからは自分でも何をしたのかわからなかった。身体が勝手に動いた気さえする。
気づけば父さんの手にあった木剣は宙を舞い、俺の木剣が父さんの首に突き付けられていた。