4 夢
夢をみた。やけに鮮明な。
そう、まるで別の世界で生きていたような。そんな不思議な夢だった。嫌な夢だったような気がするが、そうでもなかったような気もする。
まあなんでもいい。とりあえず朝の日課を始めるとしよう。
俺はベッドから起き上がると机の横に立て掛けてある木剣を手に取り、屋敷の裏庭に移動した。
ちょうど太陽も今起きだしたみたいだ。
東の空がうっすらと明るくなっている。
とりあえず深呼吸。
「すぅ~~~~はぁ~~~~。よし!」
まずは朝の素振りだ。
「・・・・・なんだろう・・・身体が軽い」
異変に気付いたのは素振りを始めてすぐだった。
夢の中で見たのと同じ剣の振り方をやってみたら身体が軽く感じられ、いくらでも素振りができそうな気がした。
「・・・ェフ~ ジェフ! お~い! ジェフ!朝ご飯だぞ~」
どうやら素振りに夢中になっていたようだ。
いつの間にか父さんが俺を呼びに来ていた。
「おいジェフ!朝ご飯もうできてるぞ。早く家に入りなさい。」
「わかったよ。父さん」
「ずっと素振りしていたのか?」
「うん。今日は身体が軽くてね。いくらでも素振りができそうだったんだ」
「そうか。お前ももう十歳だもんな。逞しくなったもんだ。まあいい。さ、朝食にしよう。エーファとエリーも待っている。」