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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
初めての街
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31 宿確保

再会の挨拶もそこそこに、グレッグたちはさっそく俺を街歩きに誘ってくれた。


「それじゃあ、さっそく街歩きでもするか。」


「そうね。どこか行きたい場所はあるの?」


「ジェフ、冒険者ギルドにはもう行った?」


「ええ、それならついさっき・・・」


俺は、グレッグたちに先ほど知り合ったパイさんのこと、すでに冒険者登録を済ませ臨時のパーティーを組んだこと、明日ジャギーコングの討伐に行くことを話す。


話をしている最中、みんなは百面相のように表情を変えていった。パイさんと知り合ったところで驚愕、冒険者登録で納得、パーティーを組んだことに再び驚愕、ジャギーコングの討伐で悲哀みたいな。


「・・・あ~。ジェフ。まあ、お前ならやれるさ!」


「がんばって!」


「骨はひろって・・・やらなくもない」


おいおい、ちょっと待って!そんなにヤバいのか!?

パイさんは、あんなに軽い感じだったのに。


「え~と、そんなにヤバい魔物なの?ジャギーコングって。」


「まあ、俺らが遭遇したら速攻で逃げるレベルだな。ハハハ。」


「そうね。私たちじゃあ逃げるので精一杯ってぐらいには恐ろしい魔物ね。」


「あったり前じゃん!脅威度ランクBだよ!冒険者ランクCのウチらが敵うはずないじゃん!」


「で、でも!パイさん、大分軽い感じで受けていたよ?」


そう。全くヤバそうな雰囲気ではなかった。

むしろ遠足気分でルンルンな感じだったような気がする。


「あの人は・・・ぶっちゃけAランクに近いBランクだからな・・・」


「この街じゃあ、《剛拳のパイ》って呼ばれているほどの強者(ツワモノ)よ。」


「あれでずっとソロだって言うんだから、相当だよ。」


あの人二つ名まであったのか。しかも、《剛拳》って・・・超近接戦闘型・・・それも二つ名的にめちゃくちゃ殴り合う感じの戦い方っぽいな。


これは、ますますどんな戦い方をするのか見てみたくなってきた!


それほどの強者(ツワモノ)が戦う姿を間近で見られるならラッキーだな!


そういえば、夢の中でも武器を使えない場合の戦い方を教わっていたような気がするし、今後のいい参考になりそうだ!


剣が折れてしまった場合の戦い方を考えるいい機会にもなるだろうし。


「俺、臨時とはいえパーティーまで組んじゃったけど・・・そんなに凄い人と。」


「ああ。それには本当に驚いた!まさかあの人がパーティー組むなんてな!」


「ずっとソロだったから、このままAランクまで行っちゃうんじゃないかなって思ってたのに!」


「もしかしてジェフ君のことを知ってたのかしら。Bランククラスになると貴族からの依頼とかもあるみたいだから。領主様から話を聞いたことがあった、とか?」


「単純に強そうだったから、とかじゃない?うちのグレッグよりもいい感じだし。」


「まあ、実際ジェフは強いしな。ハハハ。」


おっと、グレッグがまた遠い目をしはじめた。


『やめて!グレッグのライフはもうゼロよ!』


ここは話題を変えた方がよさそうだ。


「と、ところで今日の宿なんだけど、実はまだ決まってないんだ。街歩きに出かける前に部屋の空きを確認したいんだけど、いいかな?」


「ああ。そういえば、昨日は領主様の館で一泊したんだっけ。じゃあ、さっそく女将さん()()に聞いてみようぜ。この宿、結構人気だからな!」


そう言うと、グレッグたちは食堂からフロントのほうへ歩き出した。


俺は空の食器をどうするか少し迷ったが、フロントに戻っていった先ほどのお婆さんに一声かけておけば大丈夫だろうと思い、グレッグたちについていくことにした。


そうしてグレッグたちに付いてやってきたのは、先ほどのフロントである。


まあ、グレッグが「女将さん()()」と言っていたので、予想はついていたが、あのお婆さんたちだったか。


フロントに着くなり、さっそくグレッグが空きを確認してくれた。


「女将さん!今日と明日、二泊できる一人部屋はあるかい?こいつ、ジェフの奴が、まだ泊るところ決めてないっていうからさ!」


「ちょっとお待ち。(お婆さん)」


「今空いている部屋は。(お爺さん)」


「2階の角っこにある。(あ婆さん)」


「1部屋だけじゃの。(お爺さん)」


「「泊っていくかい?(両方)」」


お二人のシンクロしゃべりが本当に凄いな!

しかも最後のハモリも完璧に息が合っていた!

文句なしの10点満点です!


「はい!お願いします!」


よし!ギリギリだったけど、とりあえず泊る場所が確保できてよかった。それじゃあ、いよいよ街歩きに出発だ!


っと、その前に、


「おばあ・・・女将さん!先ほどはありがとうございました!お茶菓子、とてもおいしかったです!」


俺は満面の笑みで元気よく感謝した。


女将さんは優しい笑顔で、頷くだけだったけど、なんだか本当におばあちゃんみたいで少し胸が温かくなった。


いつか本当のおばあちゃんとおじいちゃんに会ってみたいなぁ。


家に帰った時にでも父さんと母さんに聞いてみよう!


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