191 白髪の美魔女
後書きにお知らせがあります。
「失礼します・・・ん!?」
扉を軽くノックしてから部屋に入ると、中は普通の執務室。ではなく、色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園であった。
赤に青、黄色に桃色、それぞれ全く違う種類の花たちだが、どれも綺麗で不思議な調和がとれている。まるで物語にでてきそうな上品な雰囲気が俺たちを包んだ。
「ここは?」
思わずそんな言葉をもらしてしまったが、この感覚には身に覚えがある。ここは間違いなく魔法で作り上げた異空間だ。
アンヌさんのお店に似た、独特の空気を感じる。きっと学園長があの扉を出入口に設定していたのだろう。それくらいはお手のものということか。
「しっかし精巧な作りやなぁ。この花なんて香りまで本物やで。下手したら蜜まで吸えるんちゃう? うまそうやなぁ」
おい猿。悪いことは言わない。それだけはやめておけ。
「・・・うちの・・庭園・・みたい」
生粋の上級貴族であるロザリーですらこう言うほどだから、本当に凄いんだろうね。っていうかロザリーさん。上級貴族って、本当にこんな素晴らしい庭園をお持ちなんですね。それはそれで驚きだよ!
とまあ色々な驚きに遭遇しつつ、キョロキョロと辺りを見回していると
「あっ!」
庭園の奥に半球状の屋根がついた建物が見えた。そちらをよーく見てみれば、丸テーブルを囲んで優雅にお茶菓子を楽しむ人物が三人。何やら談笑に興じているようだ。
見覚えのあるローブを着ている二人は、エリーとレオンハルトだろう。そして二人の前に座す美しい白髪の貴婦人こそが・・・。
「あの人が魔法学園の学園長かしら?」
ティナが疑問に思うのも無理はない。長く伸びた白髪には艶があり、肌にも自然なハリがある。背筋をピンと伸ばして椅子に座るあの姿を見て、齢八十を超える老人とは到底思えないだろう。
俺もヨボヨボのおばあちゃんを想像していたんだけどな・・・。
「あれは予想外だね」
ティナに同意するように言った言葉。しかし、それを口にした瞬間。突然、耳元から女性の声が聞こえてきた。
「何か言ったかい?」
「っ!?」
「フフッ。さぁこっちにおいで」
女性の声がさらにそう続けると
「「「「うわっ!」」」」
いきなり吹いた突風が俺たちの背中を強く押してくる。見えない何かに引っ張られているような、そんな気持ちの悪い感覚に驚く俺たち。何一つ抵抗できぬまま、気がつけば目の前には学園長が座していた。
学園長がティーカップをテーブルに置いて口を開く。
「よく来たね。騎士学校の坊やたち」
聞こえてきた声は、先ほど耳元からした女性の声と同じものだった。
<お知らせ>
急なお知らせで申し訳ございません。リアルが忙しく、執筆時間がとれなくなったため、本作品を一時休載致します。再開まで少々お待ちください。




