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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
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178 お前の兄ではない

アンヌさんと色々検証した結果、【魔装】は飛躍的に使いやすくなった。消費魔力を四割も減らすことができたため、持続時間が大幅に増えたのだ。


まあその裏では、壮絶な戦い。もとい、データ収集があったわけだけれども。さすがは研究者、あらゆるデータから各武器の生成・維持に最適な魔力量やらなにやらを、あっという間に計算してくれたよ。


それから、泣いたらいいのか笑ったらいいのか、魔力圧縮と硬度の関係についても色々と判明してしまった。今の心情を正直に吐露(とろ)するならば、つらい現実を突き付けられた気分である。


実は、魔力圧縮率が五割を超えると、もうそれ以上硬くならないことが判明したのだ。つまり、俺は今まで()()()魔力を圧縮(消費)していたということらしい。自分から枷を大きくしていたとは、なんと愚かな行為だろうか!


まあそんな諸々(もろもろ)を経て、俺が新たに身につけたものがこちら。


「魔鎧【カヴァーチャ】!」


鎧の一部を一瞬だけ具現化して腕や脚を覆うことで、盾のように使う技である。魔力消費を抑えるために時間・効果範囲は最小限だが、硬度は最高。あらゆる攻撃を弾き返す無敵の鎧だ。


「今のうちにジョーとロザリーは左、ティナは右のやつを頼む!」


「わかった」

「キヒッ!まかせな」

「了解よ」


三人が一斉に駆けていく。俺の目の前には巨大な魔物が一匹。


いや、三つ首の狼だから三頭か? まあいいや。とにかく、俺に鋭い牙と爪を突き立てようとしている()()()は、血に染まったような真っ赤な毛並みの巨大な狼なのだ。


俺は攻撃をいなしつつ、後ろにも声をかける。


「エリーと魔法使い君は状況に応じて援護魔法を」


「はい。お兄様!」


「僕の名前はレオンハルトです。お兄様!」


「レオンなんちゃら君。俺はお前の兄ではない。その呼び方はいい加減やめろ」


このレオンハルト・ハイルドリッヒとかいう男は、魔法学園に通う妹の同級生らしい。おまけに、俺の大事な妹を(たぶら)かそうと(たくら)むウジ虫以下の存在である。俺が中級魔法を覚えたら真っ先に誤射(?)してやるのに。


「大丈夫です! エリス嬢と婚約すれば、晴れて私たちは義理の兄弟。全く問題ございません!!」


「問題大あり・・・ちっ!」


そんなウジ虫の糞と話している間にも、三つ首の狼ヘルウルフが火炎を放ってきた。後衛二人は、これを水魔法で迎撃する。


「「水よ(νερό)壁となりて(τείχος)我を守れ(προστατεύω)【水壁】!」」


さすがは我が妹。優秀すぎる。中級魔法もあっさり使いこなすなんて天才か!? それに比べてレオンハルト。お前はもっと気合いを入れろ。エリーの肉壁になるんだ!


という冗談はさておき


「二人はそのままヤツの火炎放射を防ぎつつ、足元を攻撃してくれ。俺は正面の首を落としにいく【空走(ριπή)】!」


俺は空を蹴りつけてヘルウルフの頭上へと駆け上がった。


「【風斬】!!」


縦スジの一閃。ズルリと落ちる狼の頭。


俺たちは今、魔法学園との合同演習中である。

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