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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
186/210

168 必中の鉄鎚

お読み頂きありがとうございます!

――攻勢に出て十五分。


「ちっ!」


何度か攻撃を繰り出すも、俺はルイスに致命的な一撃を与えられていなかった。やはり剣の技量が高く、受け流しも上手い。そう簡単にヒットはさせてくれないみたいだ。


そうして攻めあぐねている俺に、ヤツは顔をニヤつかせて言ってくる。


「おいおい。お得意の(アレ)は使わないのか?」


どうやら【魔装】のことも知っているらしい。わざわざ使うように挑発してくるということは、俺の魔力切れを狙っているのだろう。抜け目のないやつ。


「お前なんかには必要ないな。それに、地雷の場所も大体分かった」


俺は【空走】の使用をやめて地面に降りると、短剣を取り出して投げる。


――ドンッ!


思った通り、短剣を突き刺した地面が反応し、爆発した。攻撃を繰り返しながら、ヤツの動きを入念に観察し続けた結果である。


「お前の視線と体の動きが教えてくれたんだ。小細工はもう通じない」


剣を構えてジッと睨み据える俺。しかしルイスは、全く余裕の表情を崩さない。それどころか、鼻を鳴らして言い返してきた。


「ハッ! それで勝ったつもりか?」


「まだなにか・・・うっ!?」


「ようやく効いてきたか」


なんだ? 身体が急に重くなってきた。激しい眩暈(めまい)動悸(どうき)が同時に襲ってくる。まるで熱にうかされているような、フワフワとした気持ちの悪い感覚だ。


「まさか・・・毒・・か?」


絶え絶えに呟く俺に、憎たらしいドヤ顔を見せるルイス。


「オレ様の付与属性は毒。それもかなりの猛毒だ」


「さっきの・・・」


「ああそうだ。足元を気にして回避が遅れただろ? あの時、剣に(かす)った時点でお前の負けは確定していたんだ。残念だったなぁ。だから俺が圧倒的に有利だって言ったんだよ」


く、苦しい! なんだこれ。目の前もだんだん暗くなってきた。


「はぁはぁはぁ」


「どうだ。苦しいだろ? そろそろ息もできなくなってきたんじゃないか?」


ダメだ。力が抜けていく。このまま倒れてしまいそうだ。


「倒れちまえよ。ラクになるぜ?」


「くっ!」


倒れるな! こんな奴に負けてたまるか。俺は、俺たちの誇りは、こんな奴に折られるわけにはいかないんだッ!!


「うぉおおおおおお!」


こうなったら一か八か。ありったけの魔力を注ぎ込み作り上げたのは、空を覆うような超巨大なハンマー。それを見上げたルイスが、あんぐりと口を開けて息を吐き出す。


「・・・・・・・はっ?」


「逃げ切れるものなら逃げてみろ。こいつでお前を叩き潰す!」


「おいおいおい! 嘘だろぉおおおおおッ?!」


絶叫する背中に向かって渾身の鉄鎚を振り下ろす俺。


「喰らえ。魔鎚【ミョルニル】!!」


必中の名を冠した巨大な鉄鎚は、ルイスの身体ごと地面を砕き割った。


「もう・・・ダメ・・・」


さすがに俺も限界だ。手足がピクリとも動かない。しだいに意識が薄れ、身体も地面に吸い寄せられる。まあいいか。賭けは俺の勝ちだ。

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