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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
185/210

167 いつから錯覚していた?

剣を抜き放ち一息に距離を詰める俺。


「ちっ!」


ヤツは舌打ちをすると、俺の攻撃を軽々弾き返してきた。そこからさらに、反撃までしてくるほどの技量も持っているらしい。


「意外としっかり鍛えているようだな」


「うるせぇ。これは彼女に認めてもらうためだ」


これまで懸命に鍛え上げてきたというのは確かなのだろう。前後への移動が小刻みで緩急があり、力の入れ方も絶妙だ。いわゆる一撃離脱法(ヒット&アウェイ)というやつを熟知した動きである。五年間剣を振り続けてきた “ 正当な実力 ” が彼にはあった。


「それなのにどうして・・・」


「限界が見えてるからだ。ここがオレ様の限界点。もうこれ以上、上へはいけない。それを嫌と言うほど思い知らされた」


「だからって他人(ひと)を傷つけるな! 踏み台にしていい人間なんてどこにもいやしない。ましてや、お前の都合で暴力を振るわれていい人間なんて、いるはずがないだろッ!!」


「うるさい! オレ様にはもう時間がないんだ。なりふり構っていられるか! オレ様はあらゆる力を駆使してお前に勝たなければいけないんだ!!」


「俺だって負けるわけにはいかな・・・っ!?」


ヤツがニヤリと笑った瞬間、俺の立っていた地面が突然爆発した。


「チッ。()かなかったか。まあいい。依然(いぜん)、圧倒的に有利なのはオレ様のほうだ」


ギリギリのところで【空走】による回避はできた。だが、今のは一体どういうことだ? ヤツが何か罠を仕掛けた? いや、それはない。なぜなら、()()()()俺たちはこの『草原』のど真ん中で向かい合っていたからだ。


「おいおい。なに戦闘中に考え事してんだ? おらぁあああ!!」


「んぐっ!」


足元を警戒していたら鋭い突きが飛んできた。(かす)っただけだ。まだイケる。


「そこは危ないぜ?」


「なにっ!?」


まただ。また地面が爆発して・・・・いや、ちょっと待て。なんでこいつは知っているんだ? それに、自分が有利とも言っていた。もしかして、このフィールド自体が特殊なのか?


「おっと、もう気付いたのか? ご明察の通り、このフィールドはただの『草原』じゃない。『地雷原』だ。おかしいと思わなかったか? 開始地点からすでに、向かい合うほど近くに相手がいるなんて」


こいつ、フィールドまでいじりやがったのか。生徒の退学を阻止できるくらいだ。それくらい可能なのだろう。


「おいおい勘違いするなよ? フィールドの仕様はもとからだ。別にわざわざ作り変えたわけじゃない。まあ『地雷原(ここ)』でお前と戦うことは決まっていたけどな」


「つまり、ご自慢の権力とかいうやつで、俺との対戦を仕組んだ。そう言うんだな?」


「ああそうだ。初見(しょけん)のお前には分からないだろう? どこに地雷が埋まっているのか。オレ様が有利なのはそういうわけだ」


「たしかに分からない。だが関係ないな」


「なに?」


「【空走(ριπή)】!」


分からないなら地面に足を着かなければいい。絶えず空気の足場をつくってそこを移動するのだ。ただ問題は魔力切れになることだが・・・。


この消費量は流石にこたえるな。もって三十分ってところか。燃費の悪い【魔装】なんて併用すれば、五分とかからずガス欠になるかもしれない。


「とっとと決めさせてもらう。はぁあああ!【風斬(かざきり)】ぃいい!!」


俺は前かがみの姿勢から、勢いよくヤツに突っ込んだ。

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