表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
182/210

164 意外と元気なお猿さん

閑話ではないですが、ジョー視点での進行です。

彼は意外と打たれ強い……。

ジェフリーの放った蹴りは、わいの頭上。のっけられた足ごと上級生の男を吹き飛ばした。


「ぐぁあああっ!」


肉が潰れるような鈍い音がしたが、どうやら骨までイってしもうたみたいや。男は足をおさえて泣き叫ぶ。が、ジェフリーはそれを一瞥(いちべつ)するのみで、すぐに残りの四人に目を向けた。


「てめぇ!」

「やりやがったな!」

「すり潰す」

「全員でやるぞ」


ジェフリー一人に、同時に襲い掛かっていく上級生たち。しかしそんなん、あいつには関係ないらしい。取り囲まれた状態から、まずは正面の男へ鋭い踏み込みのボディブロー。


「んぐッ」


腹を押さえて崩れる男のこめかみにすかさず裏拳を叩きつけた。


「「っんのやろう!」」


次に左右から殴りかかってくる二人。高速で迫ってくる拳を半歩で躱しつつ掴みとると、勢いを殺さずに流れるような動作で投げる。


「アガッ!」

「んぐッ」


背中を地面につけた二人は、すぐさま顎を強かに蹴りつけられ昏倒。残りは早くも一人になってしもうた。


「ちくしょうが!」


追い詰められた最後の一人が剣を抜き放ち、目で追えないほどの速さで振り下ろす。


「っ!?」


が、ジェフリーはそれをスルリと躱し、男の(ふところ)へ。すくい上げるような掌底(しょうてい)で四人目の意識を刈りとった。


ひぇえええ。さっきの斬撃、わいには速すぎて見えんかったで。あいつ、なんであない簡単に避けられるんや。おまけに汗一つかいとらんし、バケモンにもほどがあるやろ。


「ふぅ。とりあえずこんなところかな。あとは・・・」


ジェフリーは足を引きずって逃げようとする男に近づく。


「あの、ルイス・ヴァレンティーノって人のこと教えてもらえます?」


それはまるで、道でも尋ねるような気楽な声音やった。おいおい。ついさっきまで戦闘中やってんぞ。表情変わりすぎちゃうか?


「くっ! 誰が教えるかこのクソが!」


「まあまあ。そう言わずに。何ならもう一本いっときます?」


ひぃいいい! まるで「エールもう一本いっときます?」みたいな軽いノリやけど、もう片方の足まで砕こうとしとりますやん。


「そ、そんな脅しには屈さないぞ」


はよ吐けや。あのごっつぅ殺気が見えんのかい! 死ぬぞわれ。


「それは残念です。じゃあ・・・」


足を振り上げたジェフリー。男の顔が真っ青になる。


「ま、待て! 分かった。いや、これは独り言だ。聞くなら勝手にしろ」


「はぁ。それで、ルイス・ヴァレンティーノってどんな人なんですか?」


「ルイス様はヴァレンティーノ公爵家の次男であらせられるお方。お家柄、学内外で強い影響力をお持ちだ。そして、現五回生の中でトップクラスの実力者でもある」


ヴァレンティーノやって!? 財務部のトップやんけ。ジェフリーのやつ、なんでそないな(やから)に因縁つけられとるんや。まああの様子やと、どうにも身に覚えがなさそうやけど。


「へぇ~そんな凄い人が。それで? どうしてわざわざこんなことを?」


「それは知らん。俺たちはお前の弱みを探るように依頼されただけだ。退学取り消しを条件にな」


「本当ですか?」


「ほ、本当だ!」


「ふ~ん。あ、そうだ。ついでにルイスさんの得意属性を教えて下さい」


「それは教えられない」


「はぁ。そうですか。じゃあ最後に一つ、伝言をお願いしてもいいですか?」


きっぱりと断った男に、興味なさげに引き下がるジェフリー。案外あっさりやな思たら次の瞬間。雰囲気は一変し、濃厚な殺気が場を満たす。


「ひぃっ! な、なんだ?」


震えた声で返された問い。ジェフリーはドスの効いた声で静かに言った。


「お前は必ず叩き潰す」


わ、わいのためにそこまで!? くぅ~惚れてまうやろ~!!


「さてと・・・大丈夫か? ジョー」


笑顔で手を差し出してくる爽やかなイケメン。ウホッ。か、かっこええな・・・。


「ジョー?」


「へっ? あ、ああ大丈夫や。ありがとう」


妙な金縛りが解け、ゆっくりと立ち上がったわい。ところがジェフリーは、急に深刻そうな顔を見せはじめる。


「おいジョー。お前本当に大丈夫か?」


「なんや? 急に」


「いや、なんか、尻から長いうんこが垂れてるぞ?」


「あ~さっき尻も腹もしこたま蹴られてん。衝撃でついプリッと出てもうたんや・・・ってこんな長い糞あるかい!これはわいの尻尾やアホ!!」


「アハハッ! 元気そうだな」


「ほんまええ加減にせぇよ!」


ありがとさん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ