表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
173/210

155 その暗がりが・・・

扉の先に待っていた真っ暗闇。冷静な俺が戻ってくる。


「・・・・うん。あれはなかった。あとで謝ろう」


さて、それはそれとして。


これは幸運と言うべきか、不運と言うべきか。


ズボンを穿いていない、誰がどう見ても変態な俺にとって、この暗闇は非常に都合がいい。見つかる前にサクッと叩ければ最高の結果である。


さすがにこんな下品な姿(下半身丸出し、ただしパンツは穿いている)を堂々と見せられるほど、ふりきってはいないからね。


バレたら色んなところから説教、どころか物理的な(しつけ)までされそうだし。考えただけで恐ろしすぎる。一体何されるんだ俺!


ただ、この状況。そんな幸運ばかりとも言っていられないんだよな。これまでの試合で、こんな真っ暗なフィールドを使用した記憶はなく、クラスメイトたちから聞いた情報にも全くない。つまり、こちらは完全に初見なのだ。


対して相手ダスター先輩は四回生。残念ながら知り合い(50位より上)ではないが、油断はできない相手である。


上級生たちがみな、すでにフィールドの構造を把握しているのは、もはや確実。特に、高学年になればなるほど、フィールドの特性を生かした戦略を立ててくるのが分かっている。


そこに、これほどの暗闇。罠や奇襲にはもってこいのフィールドだろう。もしかしたらそういったところも試されているのかもしれない。


俺は警戒しつつ、その場にしゃがみこみ、地面を触ってみる。


「硬くてツルツルしている。若干の湿り気もあるな」


続いて軽く舌をならすと、すぐに反響音が返ってきた。思ったよりも壁が近いらしい。


辺り一帯に漂う妙な圧迫感と毛が逆立ちそうな陰気な気配。


「なるほど。ここは『洞窟』か?」


本当は的にされる危険性が跳ね上がるから、あまり良くないんだけど。さすがに、この状態で動くのは難しすぎる。


「【火球(βολίδα)】」


俺は仕方なく手のひらに小さな火球をつくると、その明かりを頼りに周囲を観察してみた。


「ふむふむ」


どうやら穴の大きさは直径で二メートル程度。昔サラマンダーが飛び出してきた横穴と比べると、かなり小さいみたいだ。


これじゃあ技量の低い生徒はまともに剣も振れないし、ジャンプなんてもってのほか。下手したら戦いにすらならなそうである。


幸い足場は平らに近いから、走ることは出来そうなのが唯一の救い。逃げ回るだけなら不可能じゃなさそうって感じ。


「問題は広さと構造だな・・・」


わざわざこんな難易度の高いフィールドを試合で使うんだ。洞窟の中が一本道なわけはないだろう。おそらく分岐やループがあちらこちらにあるはずだ。


知らない間に背後をとられたり、側壁の影から奇襲されるのが一番怖いな。


俺は気を引き締めながら、壁に片手をつき慎重に歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ