17 馬車の中
移動中の馬車の中では、同乗してくれているグレゴリ部隊長がこの街について話してくれた。
辺境にあるウラノスでは、魔物の生息域が非常に近いため、魔物の素材や魔石といった資源が豊富に採れる。こういった、魔物の素材を使った武器や防具が第一の特産品であるという。
また、魔物の肉はその身に宿した魔力によって通常の家畜よりも旨味や栄養が多いため、買い手が多くよく売れるとのこと。
肉そのものはもちろん、加工品なども多く、第二の特産となっているそうだ。ウラノスの食事処では肉といったら魔物の肉で、美食家にも人気だとか。街探索が楽しみだ・・・じゅるり。
それから、街の西部に広がるザビルス樹海と東部に頂くゾルーデ山脈は非常に魔物が多く生息しており、非常に危険な場所なため、高ランク(Bランク以上)の冒険者もしくは領主から特別に許可を得た一部の人たちしか立ち入ってはいけないらしい。
そういえば、ゾルーデ山脈については、父さんからも聞かされたことがあった。
山脈を隔てた向こう側にはサンドレア王国という国があるらしいが、山脈には最強の魔物であるドラゴンが住んでおり、滅多に人の行き来はないという。
ゼロではないため、極稀に向こうの品物がガレーリア国内に待ちこまれることがあるが、ものすごく高価な値段で取引されるため、一部の貴族だけが収集しているのが現状のようだ。
また、父さんが言うには、このゾルーデ山脈がサンドレア王国とガレーリア王国を明確に隔てていることは非常に重要で、両国が戦争をせずにすんでいる最大の理由であるらしい。
ここウラノスの街は東西南北にそれぞれ一つずつ出入り用の門が置かれており、そこから街の中心にある領主の館まで大通りが一本ずつ通っているつくりである。つまり、領主の館を中心に置き、街を4つの区画に分けて治めているということだ。
ちなみに俺が入ってきた門は南門だったようで、現在北に向かってばく進中。西と東の門は先ほど言っていた理由から、一般人が使用することは禁止されているため、商人の出入りや王都方面へ行く場合には北門を使用してくれと言われた。
これもグレゴリ部隊長に聞いた話だが、街の4区画にはそれぞれ特色があるとのこと。
南東区画には冒険者ギルドが置かれており、冒険者たちが暮らす家々はもちろん、武器屋や防具屋、魔道具屋などが多い。だから、ほとんどの冒険者は、南門から出入りするのだそうだ。
西と東の門を使用できるのは一部の高ランク冒険者のみだしな。
南西区画には宿屋や食事処、奥のほうには大人のお店なんかもあるようだ。グレッグの言っていた『三日月亭』はこの区画にあるらしい。
グレイシス辺境伯に挨拶したら、ここに向かおう。
北東区画は居住区となっていて、この街の住人が暮らす家々が並び、ちょっとした学校なんかもあるらしい。領内のちょっといいとこの子供たちが通う学校だそうで、文字の読み書きや計算、簡単な礼儀作法なんかを中心に教えているとのこと。
北西区画には商業ギルドが置かれている。
日用品や雑貨などが並ぶお店が多く、露天なども出ているという。よく旅人がお土産を買っていくのだとか。魔物の素材は武器や防具のみならず、装飾品などにも加工できるため、この街の特産品となっているらしい。
ああ、想像しただけで楽しそうだ!はやく街を見て回りたい!
絶対3日じゃあ足りなそうだ・・・
俺はグレゴリ部隊長の話を聞きつつ、流れていく景色を馬車の窓から眺め、グレッグたちとの街探索に思いを馳せた。