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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
160/210

146 威風堂々

8/29改稿

人名変更(ヨルン⇒ハイネ)です。

※名前の重複があったため

あれこれと考え事をしていると、気絶していた三人が起きだした。


「うっ! うぅん・・ここは・・・?」


「「・・・はっ!」」


呆けていたのは一瞬。ハイネはすぐさま立ち上がり、店内を見回す。


「うん? 貴様は・・・」


そうしてティナの姿を認めると、途端にフルフルと震えだし、怒り心頭。青筋の浮かんだ顔を真っ赤に染め上げて、怒涛(どとう)の勢いで怒鳴り散らしてくるのだった。


「き、貴様ぁああ! 平民の分際(ぶんざい)でよくも! よくもこのオストワルト辺境伯家嫡男である俺に、こんな(はずかし)めを受けさせてくれたなっ!!」


あまりの激昂っぷりに側近二人も怯えた様子で震えている。が、そんなことは視界にも入っていないのだろう。ハイネはティナだけを睨みつけて続けた。


「お前のようなふざけた女は即刻処刑だっ! 執行猶予などないぞ? この場でその首を()ねてやる。この俺をコケにした罪をその命で償うがいい!! お前たち。こいつをひっ捕らえろ」


「「・・・」」


この場で首を落とすというあまりにも物騒な物言いに、指示を出された側近たちも驚き固まってしまう。


「おい早くしろ!」


「「は、はい!」」


しかし、宣言通りに剣を抜いたハイネを見て、逆らうことは出来ないと思ったのか、二人がティナを捕らえようと近寄ってきた。


いやいやちょっと待て! 展開がはやすぎるって!


俺はティナを背に庇うよう一歩前へ踏み出し、丁寧な動作で一礼。相手への敬意を見せつつ対話を申し出る。


「ハイネ殿。少し待ってもらえないだろうか」


すると向こうも落ち着き払った俺を見て、多少冷静さを取り戻したようで、強い口調ながらも会話に応じてくれた。


「誰だ? 貴様は・・・いや、その顔どこかで・・」


「ええ。以前にも、騎士学校の入学試験の際にお会いしております。ジェフリー・カーティスと申します」


「ほう。貴殿が()()・・・それで? どうして我らが一回生主席殿ともあろうお方が、こんなところでしゃしゃり出てくるのかな? 貴殿も貴き血筋のはず。そこの下賤(げせん)な平民など庇うに値しないと思うのだが?」


どうやら彼は、()()()のことも知っているらしい。先ほどまでとは態度が一変。ずいぶんと丁寧な物腰で疑問を呈してきた。


とは言っても、残念ながらすでに追放された我が家に、権力なんてカケラもないはずなんだけれど・・・。


「はい。今回このような事態になったのは、私にも責任がございますゆえ。何卒寛大なご処置を願いたく」


「うん? どういうことだ?」


ここからは嘘八百。何とかごまかされてくれ!


「はい。実は私の提案で、この店に初めて来店するお客様には力試しをさせて頂くというルールを設けたのです」


「なぜそのようなことをする必要がある?」


「ええ。実は、こちら。ハイネ殿の姉上であらせられるロザリー様が、このお店を大変気に入られたため、噂を聞きつけた冒険者たちが大量に押し寄せたのです。これではお店の管理運営もままならない。それならばいっそ、一定以上の実力を有している者に限定して販売してはどうかという話になったのです」


「ふむふむ。それでCランク以上というわけか・・・」


ハイネはよく分からない呟きのあと、納得したように一人頷いていた。


よし! これはいい感じにごまかせたかな。


そう思ったのもつかの間。急にピクリと止まるハイネ。


今度は、ひどく憎しみのこもった鋭い目つきでこちらを(正確に言えば隣のロザリーを)睨みつけてきた。


「その女が気に入っただと? ハッ! それなら罰は変更だ。平民を処刑する前に、この薄汚いボロ店を完膚なきまでに叩き潰してやる!! こんなものッ! こんなものこんなのものッ!」


そうして唾を吐き捨てながら、手に持った剣で棚の商品を根こそぎ叩き壊し、好き勝手に暴れ回る悪漢。


あの野郎・・・殺すッ!!


頭に血をのぼらせた俺は、思わず剣を抜き放ち、ハイネに斬りかかろうとする。


「っ!?」


が、それを制したのは・・・。


「ロザリー?」


彼女は()()()()()に前髪をかき上げ、威風堂々。足音を鳴らして進み出た。


「やめろよハイネ。いい加減にしねぇとぶっ殺すぞッ!」

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