表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
159/210

145 現行犯?

8/29改稿

人名変更(ヨルン⇒ハイネ)です。

※名前の重複があったため

俺は、何の気なしに戻って来るティナに向かって、思わず叫んでしまう。


「・・・いや、照れてる場合じゃないよっ! あれロザリーの弟だろう?」


「そうね。あの男、嫌いなのよ。なんでこんな時に来ちゃうのかしら」


言いながら、ヤレヤレと肩をすくめてみせるティナ。


うん? この様子はまさか、状況をいまいち理解していないのかな?


「マルティナさん? あれ、ロザリーの弟ってことは、貴族・・・しかも “ 大 ” のつくやつなんだけど・・・分かってる?」


「・・・・・あっ」


見る間に顔が青ざめていくところを見るに、完全に忘れていたらしい。


いや、ついこの間不良うんぬんって言ってたじゃん!


などという無駄なツッコミはとりあえず後回しにして、実際これは()()()マズい状況である。ここが学校の外っていうのも最悪だ。


同じ騎士学校の生徒同士ではあるが、ここは学校の外。学校内の平等精神は俺たちを一切守ってくれない。つまり、平民であるティナが、貴族相手に手を上げるなど絶対に許されない状況だったのだ。


それに加えて相手には全く非がない。どころか、あれは明らかに問答無用の暴力だった。貴族相手でなければ(そのへんの荒くね者相手なら)まだよかったかもしれないが、これでは言い逃れが非常に難しい。


「彼ら自身が貴族であることを明言していなかったとしても、いきなり暴力行為に及んだんだ。捕まったらそうとう厄介なことになるかもしれない・・・」


「これは、その、えっと・・・」


俺の厳しい表情と言動から、ようやく事態の重大さに気づいたのだろう。ティナが歯音を鳴らして震えはじめた。そこから零れ出たのは、乾いた、意味をなさない言葉たち。


困ったことに、顔もバッチリ見られているからここで逃げても意味はないし、学内で顔を合わせてしまったらそれまでだ。


結局彼らが目を覚まして騒ぎ出したら、ティナは罪人として捕まってしまう。そうしたら良くて牢屋いき。下手したらそのまま処刑なんてことも・・・ああくそっ!


ヤバそうな雰囲気を察した客たちは、あっという間にいなくなり、店内には外から回収してきた意識のない男三人と俺たちだけ。


間の悪いことに、ティナのおじいちゃんも午後から植物採集に出かけてしまっているため今は不在。ここは俺が何とかしないと!


意気込んだ俺は、自分を落ち着かせるために、軽く息を吐き出す。


「ふぅ。えーと、まずは状況を正確に把握する必要があるな」


そうして、(つと)めて冷静な態度を二人に見せながら、声をかけた。


「ロザリー。あの取り巻きたちのことは知ってるかい?」


「知ってる」


「社交界とかで会ったのかな?」


「そう。あの、三人、は、いつも一緒、だから」


「っていうことは、彼らも貴族の子息なんだね?」


「うん」


「ちなみに聞くけど、ロザリーの家よりは格上?」


「ううん。どっち、も、格下」


なるほどなるほど。なら問題はやっぱりロザリーの弟であるハイネのほうだな。以前、試験会場で遭遇した時の感じだと、起きたらすぐに騒ぎ出しそうだし。ロザリー相手でも強気で攻め立ててきそうだ。


あいつとティナって相性が悪いというか、なんというか。巡り合わせがよくないらしい。本当に厄介なやつだな・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ