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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
156/210

142 不良娘

お読み頂きありがとうございます。

ロザリーはおとなし過ぎる。


しかしそのせいで、言いたいこともやりたいことも我慢してしまう傾向にあるのだ。そしてそれが、心の内にどんどん溜まって(よど)んでいく。


自分ではうまく吐き出せないから、それを別の人(別の人格)に吐き出させている現状。これを改善するには、きっと彼女自身が変わらなければいけない。


というわけで


「いい? ロザリー。お客さんが来たら、まずは挨拶よ。腰を丁寧に曲げて大きな声で。いらっしゃいませー!!」


「・・・い、いらっしゃ」


「声が小さい! もっとこうお腹から声を出して。いらっしゃいませー!!」


「い、いらっしゃいませ~」


俺たちはティナの家。すなわち、ティナの祖父がやっている薬屋へ来ていた。


まあ何をやっているのかはお察しの通り。


お店のお手伝い(という名のアルバイト)である。


なぜこうなったのかというと、話はそれほど難しくない。



――ロザリーの本音を聞き出した日。


俺は二人の女の子に「急に何を言い出すんだこいつは」という痛い視線をグサグサと刺されながら言った。


「いいかい? ロザリーの二重人格症状、これの原因はやっぱり重度の人見知りというか、本音を隠してしまうところにあると思うんだ。まあ、根本的なところは家の事情とか環境のせいもあるだろうけれど。まずは、普通に会話できるくらいに、自分に自信を持ってもらう必要がある。精神的な強さを手に入れるんだ」


「ふ~ん。なるほどね。で、ジェフには何か良いアイディアがあるの?」


「まあね。でもこれにはティナの協力が必要不可欠なんだ」


「ロザリーのためだもの。何でも来なさい!」


薄い胸をドンッと叩くティナ。


実におとこら・・・強気な彼女らしいな。頼もしすぎる!


勇ましい姿を見せる彼女に背中を押され、俺は遠慮なく提案する。


「それじゃあ。ティナの家で、ロザリーを働かせてあげてくれないかな? ちょっと荒療治っぽくなってしまうけれど、自信を持って話すためには、とにかく人に馴れることが一番だろうからさ。」


「任せなさい。ロザリーをいっぱしの看板娘に育ててあげるわ!」


「いや、そこまでは・・・」


「・・・がん、ばる」



――かくして現在。


ティナとロザリーは可愛らしいフリフリの付いた衣装(ティナのおじいちゃんが用意した店員服)で、接客の練習中というわけである。


「ありがとうございましたー!!」


「あ、ありがとうございました~」


可愛い。なんて破壊力なんだ!


これでは二人の看板娘を()るためだけに人が殺到してしまうかもしれない。いや、確実に殺到するに違いない。とは言え、人に馴れさせるという目的には、バッチリ合っているからいいのかな・・・。


そんなことを考えていると、ティナがおもむろに聞いてきた。


「ところでジェフ。これが不良とどう関係するのよ?」


「うん? ああ。だってロザリーは貴族の、しかもオストワルト辺境伯家っていう()()()のご令嬢だよ。こんなところでこっそり働くなんて、絶対に許されるはずがないだろう?」


っていうかバレたら相当怒られる。下手をすると(物理的な意味で)俺たちの首が飛ぶかもしれない。


「だから今、ロザリーは間違いなく “ 不良娘 ” なのさ!」

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