137 安心してくださいついてます!
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「おらおらおらおらァアアア!!」
激しい突き。されど正確に急所を狙った見事な攻撃である。彼女はその荒々しい態度とは裏腹に、繊細な剣をしているようだ。
「どうしたどうした色男ぉお! ちゃんとココはついてんのかッ?」
「あっぶ!?」
前言撤回だっ! こいつ、極悪非道すぎる!
男の急所(金的)を串刺しにしようとか尋常じゃないぞ!
本当に逝ったらどうするつもりだ!
俺はレイピアの先を弾きながらギリギリで軌道を逸らし回避する。そしてすぐさま後ろ足をズラして半身になった。
瞬間、鼻先をかすめたのはロザリーの鋭い斬撃。
「ちぃっ!」
躱されたロザリーは額に青筋を浮かべて、大きな舌打ちを響かせる。
「おらおらァア!」
それからも休まず、様々なところを狙ってくる彼女。しかし、その中に明らかに質の違う攻撃が混ざっていることに俺は気づいていた。
ひと際鋭い突きが狙う先は肩口と太腿の付け根。
どうやら彼女は、筋肉のスジをその細い剣で切断することで、相手を戦闘不能に追い込もうとしているらしい。ずいぶんとエグイ手口だが、精密な剣のコントロールと人体構造への深い知識がなければ、こんなことはできない。
つまりは、彼女の技量は総合的に見てもかなり高いレベルであるということだ。さすがは騎士学校。面白い!
「ふふっ!」
思わず笑ってしまった俺に、ロザリーが訝しげな顔で問うてくる。
「あんっ? どうしたフニャチン野郎。オレの靴でも舐めたくなったか? キヒッ! 欲しがりだなぁ。いいぜ。オレに勝ったら好きなだけ舐めさせてやるよ」
「えと・・・・ごめん。そういう趣味はないんだ」
真面目に答えた俺。彼女は口をとがらせて呟く。
「ちぇっ」
なんでちょっと寂しそうな顔するのっ!?
えっ? まさか本気で言ってたのか?
そういうのはもっとこう、気の合う人同士でやってくれないかな!
っていうツッコミはとりあえず置いておいて。
「そろそろ残り時間も少ないから、最後にちょっと面白いものを見せてあげるよ」
一つ後退した俺は、剣を左手に持ち替えた。そしてそのまま、左手と左足を前に突き出した体勢でゆっくりと腰をおとす。
「魔剣【カラドボルグ】」
続いて右手には、逆手に握った硬い剣。当然だが、ロザリーの位置からこの後ろに回した右手は見えていないだろう。
「ふっ!」
俺はロザリーの懐へ飛び込み、咄嗟に突き出されたレイピアを左手の剣で押さえつけた。
ここだっ!
「二刀流奥義【断刀】!」
「!?」
右手の剣を反対側から勢いよく叩きつけ、ロザリーのレイピアを挟み込む。すると、衝撃を吸収できなかった剣身はあっさりと砕けて地面に飛び散った。
「・・・・・」
完全な力技だが、中々いい感じにキマったみたいだ。その証拠に、ロザリーは放心状態で固まっている。
先ほどまでの勢いは消え去り、キョトンと呆けた顔になっている彼女。その様子があまりにもおかしく、俺は声を上げて笑ってしまった。
「アハハッ! どう? 面白かった?」
「・・・・・」
やがて手に握っていた剣をポトリと落としたロザリー。呆けた顔から一転、見る間に顔を真っ赤に染め上げ、出口のほうへと駆けて行く。からかいすぎたかな・・・。
“ 断刀 ” のイメージは断頭( ギロチン )です。




