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転生騎士の英雄譚  作者: 青空
王立騎士学校
141/210

127 クリスの成長

お読み頂きありがとうございます!

作中の “ 雷化 ” は “ ライカ ” とお読みください。

クリスは剣を中段に構えたまま、俺は腰の柄を握ったまま。


試合開始からすでに五分。こうして互いに睨み合うのみで、俺たちはまだ一度もやいばを交わしていない。理由は単純。つけ入る隙が見当たらないからだ。


とはいえ、このまま睨み合っていても仕方ないんだよな・・・。


というわけで


「はぁああ!【風斬(かざきり)】!!」


俺はクリスの懐へと潜り込み、あえて大技を繰り出す。


「ちっ」


が、やはりダメだった。クリスは剣の角度をうまく調整することで、俺の攻撃をあっさりといなしたのだ。


普通は反応も難しい速度のはずなんだけど、クリスには剣の軌道がしっかりと見えているらしい。このレベルの相手はさすがに厄介だな。


「ごめんね。それはさっき観させてもらったんだ。ボクには通じないよ」


涼しい顔のクリス。ずいぶんと余裕がありそうだ。


「ふ~ん。じゃあこれはどうだ?」


俺が仕掛けたのは息をつく暇もない猛攻。とにかく攻める角度や速度を細かく調整し、クリスの苦手な部分を探っていく作戦だ。


今の俺なら、サルのように身体強化を細かく使用しつつ、風魔法による急加速を挟むことで、前より多彩な緩急を作り出せる。さすがのクリスでも、これならうまく崩せるかもしれない。



――三十分後。


俺はクリスに一撃も入れられていなかった。もちろん、クリスの攻撃も一度も喰らっていないので、おあいこと言えばそうなのだが・・・ああ悔しいっ!


「どうだい。崩せないでしょ?」


「ああ。難しそうだな」


「それにほら、自分の剣を見てごらん」


「うん?・・・・はぁっ!?」


驚いた。いつの間にか、俺の剣は所々小さく欠けており、鋭かった先端も丸みを帯びてしまっていたのだ。


このまま続ければ、ヒビが剣身全体に広がり砕け散ってしまうだろう。正直、今すぐ折れても不思議じゃない。それくらいのダメージだ。


「気がついた? キミの剣はもうボロボロ。さすがのジェフ君でも、このまま戦っても勝ち目はないだろう?」


クリスがそんな俺の様子を見て、静かに言ってくる。どこか誇らしげなその顔が、なぜだか凄く憎たらしい。俺はかまわずクリスへと攻撃を仕掛けることにした。


「はぁああ!!」


「ふんっ!」


――パキンッ!


「ちっ!」


しかし、クリスの一振りで俺の剣は粉々。あっさりと根をあげて砕け散ってしまう。


追撃を避けるため一度大きめに距離をとる俺だったが、クリスは追って来ず、その場でカラクリを明かした。


「これが【(まと)い】さ。まだまだ技術的にはお粗末なものだけれど、普通の剣くらいなら叩き割るくらいのことは出来る。そして・・・・」


さらに、剣を中段に構えながら何やら呪文を唱える。


「【雷化(βροντή)】!」


「うおっ!?」


すると、クリスの握る剣が淡く光り、周りでパチパチと火花が散りはじめる。


「これが “ 属性付与 ”さ。ボクの適正は雷属性でね。出力は魔力によって調整しているんだ。だから安心してほしい。これを喰らってもちょっと(しび)れるくらいだよっ!」


解説しながら襲い掛かって来るクリス。


嘘つくなっ! 物凄く痛そうだぞっ!!


俺は迫って来るクリスを見据え、魔力を集中させる。


だったらこっちは


「魔剣【カラドボルグ】」


魔装(こいつ)で勝負だっ!

ここでの【カラドボルグ】は “ ひたすらに硬い剣 ” の意味です。

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