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【第2章完結】光一くんのピアスはプライスレス【第3章執筆中】  作者: 御乙季美津
第1章 光一くんの初体験はプライスレス
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再び事件は動き出す

ということで、予告どおり午後3時に投稿しました。

時間があればプロローグから読んで頂ければ幸いです。

よろしくお願いします。

 貴格と光一の話が終わってから数分後、


「おはよう」

 功人が防犯部へ出勤してきた。


「おはようございます。部長、お話があるのですが……」

 出勤してきた功人に、貴格は光一とした話の内容を説明した。その結果、

「星野君。古賀君にした話をみんなにしてもらえないか。防犯部でこの事件に関わっている以上、星野君の話を全員にすべきだとわたしは思う」

「は、はい。分かりました」

 功人は光一にミーティングの後に貴格に話したことの説明をすることになった。


「今日はこれから星野君に、防犯部が関わることになった例の佐賀県と福岡県を跨ぐ殺人と死体遺棄事件について話をしてもらおうと思う。それでは星野君。古賀君に話したことを、もう一度説明してくれ」

「あ、は、はい。分かりました」

 ミーティングが終わった後、功人に促されて席を立った光一は、

「すみません。それでは説明をさせていただきます」

 貴格に話したことを再び話し始めた。

 

それから数分後、驚きや感心という色々な感情が飛び交う光一の話が無事に終了した。


「星野君、ありがとう」


 話し終えた光一は功人に軽く頭を下げた後、自分の椅子へ座った。


「春日君、フルカスが伝えてくることは絶対的だったよね?」

「はい。イメージで伝わってくるので、わたしは賜瑞流占術の結果と合わせて解釈をしていますが、解釈を間違えなければほぼ絶対的と考えて構わないと思います」


 尋ねた功人に、彩子は右耳に着けられたフルカスのピアスに触れながら答えた。


「とりあえず、星野君の解釈に不合理な点は無さそうだが、もしその解釈が正しければ二宮洋平は早い段階で殺害されていた可能性が高い。だから一刻も早くこの件について確認する必要性が――」

「お話を遮って申し訳ありませんが、発言の許可を求めます」


 功人が話を総括しようとした時に冬美が右手を挙げた。


「それは今話すべきことなんだね?」

「はい」

「そうか。それでは川崎君、続きを頼む」

「はい。ありがとうございます」


 功人に話をするように促された冬美は、自分の席で立ちあがると、功人に軽く一礼をしてから話し始めた。


「先程、光一さんは春日班長が契約しているフルカスの言葉を、居酒屋の店員が共犯者を目撃していたのでは、と解釈していましたが、自分は居酒屋に設置してある防犯カメラが共犯者を『目撃』していたと解釈しました。つまり、居酒屋若しくはそこを含めた少し広い範囲に設置された防犯カメラを調べることで、共犯者を突き止めることができる可能性があると考えます」


 ハキハキとした口調で話す冬美の雰囲気は、とても堂々としたものだった。


「なるほど。確かに川崎君が言うことも理に適っている。川崎君、ありがとう」


 冬美の解釈に功人が理解を示すと、冬美は軽く一礼をした後に席に着いた。


「星野君と川崎君がそれぞれで解釈を話してくれたが、どちらの解釈をとっても居酒屋を訪れたのが共犯者であれば、二宮洋平は午後7時過ぎの時点で殺害されている可能性が高い。それを考慮すると、居酒屋を尋ねたのが誰かということは確認する必要性がある」


 功人の言葉に全員が頷いた。


「よし、それでは古賀君。二宮洋平がタイムテーブルで訪れたとされる居酒屋で目撃されたのか確認するように電話を頼む」

「分かりました。早速電話を掛けてみます」


 貴格は、そう言い終わらないうちに受話器を手に取り電話を掛け始めた。


「もしもし。九州管区警察局防犯部の古賀です」


 電話はすぐに繋がったようだった。


「刑事第一課の今井課長に繋いでください……もしもし、今井課長ですか? いきなり電話をかけてすみません。早めにお伝えしたいことが――」


「光一君。フルカスはどんな悪魔だった?」

 貴格が電話を掛ける様子を見守っていた光一に、彩子が話しかけた。


「フルカスですか?」

「そう。夢の中でも会ったことが無いから、どんな外見をしているのか興味があるのよ」


 再び右耳に着けられたフルカスのピアスを右手で触れながら彩子は尋ねた。


「フルカスは優しそうなお爺さんという様子でしたよ。全身が隠れる黒いローブを着ていて、腰まで伸びた白髪と身長と同じぐらいの白い顎髭が生えていましたね。あ、あと、体格は立派なのに、血色の良くない今にも死んでしまいそうな様子の馬に跨っていましたね」

「な、なんか特徴的ね……」


 光一が告げたフルカスの様子を聞いた彩子は、口元は笑みを浮かべているようだったけれど、呆れたような、困ったような微妙な表情を浮かべていた。自分が契約している悪魔が想像の斜め上を行っていたからかもしれない。


「あとフルカスが使う火占術について何か聞いた? 火を崇拝する賜瑞流占術は、門外不出の紋を書いた紙を燃やして、その燃え方とか燃え残りを見て占うんだけど、確か火占術も火を使っているのよね?」

「火占術は実際に見ましたよ」

「えっ、見たの!? どんなのだった?」


 光一の話に、彩子は興味津々と言った様子で食いついてきた。


「悪魔たちに呼ばれて、気が付いた時には360度地平線の彼方にまで広がる麦畑に立っていました。そこにフルカスが現れて火占術を見せてくれることになったのですが、確か炎を纏った槍を右手に出して麦畑に突き立てましたね。すると、麦畑がもの凄い炎に覆われて一瞬にして焼け野原になったのですが、その中に燃えていない麦があって、それが何か1つの文のような模様になってたんです。それをフルカスが見て、さっきの『見えざるは見えていた』というメッセージを伝えてくれました」

「かなり迫力のある占い方ね。賜瑞流占術のスケールが小さく思えてしまうわ……」


 光一の話を聞いた彩子は、今度こそ呆れたような表情を見せた。


「でも、夏奈は本当に不思議に思うんだけど、光一君はどうして悪魔と会えたり話がしたりできるんだろう。夏奈なんか、ナベリウスに会うどころか1回も声を聞いたことが無いんだよ」


 彩子との話が途切れると、右耳に着けられたピアスを触りながら不思議そうな表情を浮かべる夏奈が尋ねてきた。


「どうしてとか言われてもですね……こちらが知りたいぐらいですよ」

「今までに何か不思議な体験をしたこととか無いの? 特別な経験とか?」


 少し身を乗り出しながら尋ねる夏奈に、光一は文字どおり若干引いた体勢をとりながら答えた。


「い、いや……べ、別にそういう経験は……」


 夏奈にとりあえず答える傍らで光一は今までの人生を振り返ったけれど、どこにもそれらしい特別な経験を見つけ出すことはできなかった。

(強いて言えば、高校生だった時にオーストラリアに行ったぐらいかな。でもあの時は他の高校も修学旅行で海外に行ってたみたいだし特別ではないか)


「そっかー。でも、どうしてなのかなー。不思議だなー」


 小首を傾げながら夏奈が考え出したところで貴格へ視線を移すと、電話先の今井と話し込んでいるようだった。


「そうですね。確か2軒の居酒屋を訪れたと思いますが、両方のお店の店員か、もしくはその店内に設置された防犯カメラを確認してください……そうですね、二宮洋平が居酒屋を訪れたのかどうかを、はっきりとさせるべきだと思います……はい、そうです。あとは、お店の対応に関するアンケートとか支払いにクレジットカードを使った時のサインとか、二宮洋平のものと思われる筆跡が残っていれば、それを証拠品として押収し本人のものかどうか、科捜研に筆跡鑑定の嘱託をした方が良いと思います……そうですね、なるべく急ぎの方が良いと思います……はい、それではよろしくお願いします」


 そこまで話し終えると貴格は電話を切った。安堵の表情を浮かべる貴格の様子から察するに、どうやらこちらの考えが上手く伝わったようだった。


 その日の夕方。終業間際の午後17時過ぎに貴格の卓上にある電話が鳴った。


「はい。防犯部、古賀です……あ、今井課長。お疲れ様です。それでこの電話は……あ、早速、確認してもらったんですね。ありがとうございます。それで結果は……なるほど、やはり2軒とも二宮洋平を見た人はいませんでしたか……あ、いえ、それで筆跡の比較ができそうなものは……なるほど、1軒目はクレジットカードのサインがあって、2軒目の方では、無記名のアンケートに、わざわざ『二宮洋平』と名前が書かれていたんですね。分かりました。筆跡鑑定の確認をよろしくお願いします。あと防犯カメラは……それは確認中ですね。分かりました……はい、それでは失礼します」


 電話での話を終えた貴格は、受話器をそっと置くと、何かを確信した様子で大きく頷いた。

修学旅行で海外に行ったことはありますか?

わたしは今回の話の中であったように高校生の時にオーストラリアに行きましたが、機内泊が2泊あって、とても疲れた記憶があります。ちなみに、出発の時に遅刻しかけたのは良い思い出です。


感想やブックマーク、評価ををしていただければとても励みになります。

次の投稿は1週間後から10日後を目途に計画しております。

今後ともよろしくお願いします。


次回をお楽しみに!!

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