許嫁の性格がきついので冷たく接した結果www
泣いてる女の子っていいですよね
僕には許嫁がいる。
名前は花凜
その名前の通り花のように可憐で凛とした雰囲気も相まって大変美しく
自分に不釣り合いなほどだ。
こんな彼女...いや、それをすっ飛ばし結婚相手ができるなんて
最初は女経験がなさ過ぎて目を開いたまま夢を見ているんじゃないかと思うぐらいうれしかった。
だが少し強調しておこう、最初はである。
「あの...ご飯できてるんで早く食べてくれませんか。せっかく嫌々作ってあげたんですから。」
「ご、ごめん」
「謝るなら早くしてください。ハァ...なんでこんな冴えない人と一緒に住まないといけないんだろ。」
「ご、ごめんね、僕なんかで。」
「そうですね、お父様にお願いしてみようかしら。」
「あ、花り...」
「これ以上時間を無駄にするの嫌ですしもう行きますね。」
…これが僕の許嫁である。
-ドアの前-
「えへへ、今日もおはようしちゃった♡ 寝ぼけた顔もかわいかったなぁ…
でも少し気恥ずかしくて今日も強く当たっちゃったな…明日はもっと素直にできるように頑張らないと…」
正直キツイ。毎日あんなこと言われると耐えられない。
~♪
「もしもし」
「おう俺だ俺」
「父さんか…息子に詐欺みたいな電話かけるなよ」
「はははは!それはすまんな!」
「で、何の用だよ」
「ああ、最近花凜ちゃんとはどうなのかなと思ってな、どうだもうやることやったのか?」
「もうほんとにきついよ」
「そんな激しいのか、あの花凜ちゃんが。意外だなぁ…」
「ちげぇよ!そんなわけないだろ!」
「じゃあ、何がきついんだよ」
「ほんとに性格がきつくて。正直一緒に暮らすのきついんだよ…」
「何かの間違いだろあの花凜ちゃんが…」
「ほんとだって!もうほんとにきつくて、
あのさぁ、何とか許嫁を破棄することができないかな。」
「うーん、申し訳ないな、息子よ、それはできない。どうしてもなあちら側とつながりを持たないといけないんだ。だからさ、頑張って仲良くしてくれ。そうだ、なんか家事とか手伝ってみたらどうだ?お前料理とか得意だったろ。」
「なるほど、確かに自分から花凜に何かしたことはないな。」
「まぁ頑張れ。息子に幸運があらんことを!」
無責任に親父はさっさと電話を切ってしまった。
よし!今日の夜は先に帰ってきてご飯作ってあげるか!
―夜になって―
「よし、こんな感じであとは…」
「何してるんですか。」
花凜はいつの間にか帰ってきていた。
「おかえり!いやぁ、いつも家事をしてもらってるしたまには何かしないと…」
「なんで私が一人で家事をすると思いますか?」
「え?」
「あなたが触れたもので汚されたくないからです。はぁ…余計なことして。」
(私のために料理してくれたの!?大好き!)
「そうか、それは悪いことしたな。片付けておくよ」
「え?」
(なんで?私食べたいよ!)
「だから、片づけるから。」
「いや、せっかく作ったんだし食べ…」
「僕が触ったもの嫌なんだろ?」
「いや、それは違くて…」
「何が違うんだよ!」
「ヒッ!」ビクッ
(え、怒ってる...?)
「もうきついんだよ、君といると」
「え...?え...?」
(なんで、そんな、)
「いつもいろいろやってくれるしほんとにありがたいと思ってる。でも、もうきついんだ。
毎日毎日悪態つかれて。」
「いやそれは違うの!私はぁ...」
(いや、いや、そんなこと言わないで...)
「君といても全く楽しくない。」
「あぅ」
(やめて、それ以上いわないで...)
「...僕は君が嫌いだ。」
「う、うぅ」ポロポロ
「なんだよ泣き出して、被害者ヅラか?」
「違うのぉ、待って、いつもは…いつもは、素直になれなくてぇ、強く当たっちゃって…
ごめんなさい、ごめんなさい。」ポロポロ
「もういいよ、謝らなくて」
「!!...じゃ、じゃあ!」
「僕もう出てくよ」
「...!!待って!」ギュ...
「触らないでよ、嫌なんでしょ?」
「許して、ほんとは、ほんとうは、あなたのことが好きなの...
ほんとうにいつもは素直になれなくて」
「今頃そんなこと言われても信じれるわけないでしょ?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、嫌だぁ、離れたくないよう...」
「ほんとに離して...」
「や、やり直そう...私素直になるから。」
「無理だから、というか、やり直すものもないでしょ。」
「なんでもするからぁ!あなたのためなら私、なんでもする!あなたが望むなら、え、えっちなことだって...」ポロポロ
「ほんとやめて。いい加減気持ち悪い。」
手を振りほどく
「待って!おいてかないで!」ポロポロ
「なんとかして許嫁のことなかったことにしてもらうから。」
「いや、いや...いやぁ」ポロポロ
「じゃあ、さようなら、もう会うことはないと思うけど。元気でね、花凜さん」
その後、僕は許嫁を破棄してもらった。
相手方のお父さんにもなんとか考え直してくれないかと言われたけど何とか押し切った。
親父には責められると思ったが意外に僕を怒ることはなかった。
―数年後―
「パパー!」
「あら、おかえりなさい、あなた」
「ただいま」
僕は家族をもった。
新しい家族と今はとても幸せに暮らしている。
うふふ、やっと、見つけた。大好きなあなた。
今度は離さないからね♡
END