第3話 金と友情ーフェルナンドの場合ー
「やあ、フェルナンドじゃないか!」
「ハムレット、お前も参加してたのか!!」
「報酬に目が眩んだんだよ。生き残れば1億。仕事200回くらいサボれるからな」
「お前は殺しに快楽求めねえもんな。」
「お前もだろ?俺らは初仕事で組んでからずーっと報酬目当てのバイト感覚。」
「そーだったな、懐かしい」
思わず笑みがこぼれる。ハムレットも笑っている。ハムレットとは15年以上前に一緒の初仕事をしてから、ずっと連絡を取り合う仲だった。
初仕事成功時の屈託のない笑顔は、今では少しだけ小じわが目立つようになった。
かくいう俺も日々白みを帯びていく髪と戦ってるんだけどな。
結局ラウンジで2人で酒を酌み交わしながら長いこと話し込んでいた。仕事前に酒を酌み交わすのも俺らの習慣だ。士気を上げる食前酒とメインディッシュを殺した後の勝利の美酒は2人で組んでる時は欠かしたことがない。
気づけば11時45分、ゲーム開始の15分前を古びた時計が指している。
「なぁ、フェルナンド。久々に組まないか?」
顔には真剣な眼差しが戻っていた。
「ああ、どーせ俺らの目的は金稼ぎだしな。3人に入るのが目的なら組んだ方が生存率も上がるだろ。組もうぜ!」
「それでこそフェルナンドだ。
じゃあ前もって俺らの勝利と金持ちになる未来に乾杯」
「乾杯」
2人で小さめなグラスに入ったテキーラを一気に飲み干す。
「じゃあ開始直後にこのラウンジでな」
「おう!」
部屋に戻って、武器のマシンガンを手にする。最初の標的は決まった。
「悪く思うなよ、ハムレット」
「ここにいる時点でアブノーマルである。全員が心に魔物を飼っており、そして魔物に支配されているのだ」