表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/27

プロローグもしくはエンディング

〇県にある地方都市の一角。 なんの変哲もない駅前。 だがそこは常とは違う破壊と暴力の嵐が吹き荒れていた。

所々アスファルトは剥げ、路上に止められていた車の一部は横転し物によってはひしゃげていた。

人はすでに逃げ出してしまったのか見当たらない。


その嵐の中心には一人の男がいた。

いや男……そもそも人、なのだろうか?


ソレは、まるでアスファルトを鎧のように身を纏ったような身長2mほどの体格のいい巨体だ。。

大小様々なアスファルトの欠片が身体にまとわりつくかのようにしている。 そのアスファルトの部分部分に文字のようなものが所々見えるのが少しコミカルじみていた。

それ以外の部分は車のパーツの様な物が見えている。 それらは時々生きているかのように鳴動していた。 首の後ろから突き出た車のマフラーの部分からは、廃棄ガスのようなものが噴き出ていた。


ソレは、おもむろに多少曲がってしまった標識を容易く引っこ抜くと、軽い感じでビルに向かって放り投げる。

その標識はまるで軽い物であるかのように飛んで行った。 が、もちろんそれは軽い物などではなく、ビルにぶちあたると凄まじい音を立てる。 もちろんビルの一部は崩壊した。


もう、ここには破壊の音以外存在しない……いや遠くから聞こえるパトカーのサイレン音だけが朧気に聞こえる。 そう思われた時、一人のまるで鈴の音を転がしたかのような少女の声が響き渡る。


「オイオイ、やりたい放題だなてめぇ。」


なんのことはない俺の声なんですけどね!


俺の声で破壊を楽しんでいた気分を害されたのか、ヤツはこっちを向いた。

ヤツは目? なのか、顔の真ん中にあるヘッドライトをチカチカ点滅させながら喋り出す。


「なんだ? キサマは、現地人……か?」


というか喋れるのかよ!

実はちょっとビビった。 それは兎も角。


「まあそんな所。」


俺がそう言うとバカにしたように鼻を鳴らし(やけに人間くさいヤツだ)再び話し出す。


「フン、この星のニンゲンは弱すぎる。 お前も大して期待できそうもないな。」


ヤツは一度そう言って言葉を切るが再び話出す。


「とはいえ一応問おう。 ニンゲンよキサマは何者だ?」


へへっ、そうこなくっちゃな!

俺はその問に答えるべく、右手をヤツに向け手のひらを空に向ける。


右手に小さな炎が浮かび、それはすぐさま一枚の魔法陣を意匠されたカードへと変化した。

次に左手の、今は小さな身体に見合わない古くさい大きな腕時計が変化する。 少し厚みのある箱じみたブレスレットへと。


「ジーク起きろ! いくぜ!!」


そう言った俺の声に答えるように、その箱型のブレスレットから声が聞こえた。

頼もしい俺の相棒の声が。


『問題ないすべて良好だ。』


よし! ならば……


「変身!」


おれはそう言うと、右手のカードを左手にあるブレスレットの少しだけ上に持ち上がりスリットが出来た場所にカードを差し込む!


『メタモルカード・タイプファイター リーディング』

 

そのジークの声が終わるや否や俺の身体も変化を、いや変身を始める!

背中の中ほどまでの長さの黒髪は地面に届くかのように伸び、輝く銀髪へと。 足元はかわいらしさを優先させたかのようなピンクのローヒールブーツへ。 太ももはニーハイソックスで包まれる。 腰はフリルの付いたフレアのミニスカートが、上半身もフリルをあしらったかわいらしいデザインの、それはどこかメイド服を思わせた。色は藍色。

頭にはメカニカルだがメイドが着けているようなプリムカチューシャが装着されると、一瞬で長い髪がツインテールにまとめられた。

その後順次、腰や足首の辺りにメカニカルなパーツが装着されていき、最後にその少々釣り目だが美しいと言えるその顔に濃い緑色のバイザーがその幼くも美しい少女の顔を覆い隠す。


……とか言っても俺の顔なんですがね!

さてそれは兎も角だ。


『メタモルフォーゼ・コンプリーテッド』


ジークの声で変身が問題なく完了したことを知る。


ヤツの方を見るとあまりの事に硬直しているようだ。

丁度いい。


「俺が何者か? お前は問うたな? ならば聞け! そして刮目しやがれ! 俺は……ただの正義の味方。 仮面の魔法少女 リンカ!」


そう言って軽くポーズを決める。 くー、やはり正義の味方はこうでなくっちゃ!

まあ女になったのは不本意ではあるが。


「正義の味方だと!? 多少毛色が違う程度でふざけるな! 叩き潰してやるわ!」


そう言うが否やヤツはこちらに向かって駆けてくる。

結構早いな!

とは言え変身した俺のスピードにはかなわず、その大ぶりの攻撃のことごとくを避ける。


「どうしたどうした? 当たんねーぞ?」


その俺の挑発に釣られたか、パワーはあるが隙だらけの大上段からのパンチを避けカウンターパンチを叩き込む。

そのパンチはヤツの右脇腹に刺さるように吸い込まれていく。


「グフッ!?」


ヤツはよろけた後、大きく飛びずさり俺から距離を取る。

見るとヤツの脇腹に付いていたアスファルトが剥がれ落ちていた。


『リン、あのアスファルト状のバリアアーマーをある程度剥がせればリアライズ可能だ。』


なるほど、あれがヤツの防鎧バリアアーマーって訳か。

俺は、右手を腰の辺りへと手を伸ばす。 そこにはポーチ型のカード入れがある。

そこに手を伸ばすと、独りでに蓋が開きそこには数枚のカードが見えた。

そして俺の手に望んだカードが飛び込んできた。

すぐさまそのカードをジークに差し込む。


『アイテムカード・ソードマギカ リーディング』


俺の目の前に一本の半透明な剣が刀身を下にして浮かんでいる。 そしてその剣は『コンプリーテッド』の声と共に実体化を完了する。

おもむろにその柄を握り一振り。 うんやはり振りやすいいい剣だ。


その剣、ソードマギカは所謂西洋剣に近い形をしている。長さは80cmほどで片刃の刀身である。 違うところといえばその所々を機械のパーツが付いている所だろうか?

こいつにはいくつかの機能があるのだが、さっそくその機能の一つをお見せしよう。


「モード・ガンマギカ」


俺がそう命令するとガシャガシャと音を立ててソードが姿を変える。 剣から銃へと。

峰に当たる部分には銃身となるパーツで出来ており、これが片刃の理由でもある。

刃の部分が銃身部より奥に引っ込み、隠れていたトリガーが姿を現す。

形状はピストルというよりはライフルに近い。


「おりゃ!」


俺はそう声を上げ、ヤツに向かって銃を両手で構え銃口を向け引き金を何度か引く。 すると青白い光弾が数発飛び出しヤツに向かっていきそのうちの一発がヤツを捉える。


「グオッ!? おのれえぇぇぇぇ!!」


「オラオラ! そんなに離れてちゃいい的だぜ?」


俺の言葉に従ったのか、はたまた本能によるものか? ヤツはすぐさま俺に接近戦を挑んできた。

まあ俺も射撃はあまり得意じゃないしな……


「モード・ソードマギカ」


ソードに素早く切り替えるとヤツを迎え撃つ。

ヤツの右ストレートをダッキングで躱しすれ違いざまに銅に一撃!

振り向くヤツを蹴り飛ばし間を開ける。

間髪入れずに今度は俺の方からヤツに近づき左右の連撃をお見舞いするが、これはうまく防がれた。

とはいえ防御に使った左右の腕のアスファルトは大分はがれている。


「グオオオォォォォォ!」


雄たけびを上げながら再び右ストレートを叩き込んできた。 だがそれは……

俺は同じようにダッキングをしたその瞬間、ヤツが嗤ったような気がした。


「バカめ! 死ね!!!」


ヤツはパンチを放っていた右手を無理やりに曲げ、俺の後頭部を押さえようとした。 そして左手は鋭い刃状になっていて俺の首を狙っていた。


……甘いんんだよ!

俺はさらに一歩踏み出す。そしてソードマギカを突き出す。

しかしそれはヤツの胸に当たるとガインッという音を虚しく響かせた。


「クハハッ。 非力は罪だなニンゲン!」


ヤツは改めて左手の刃で俺を切り殺そうとする。


……だから甘いんだって!


俺は突き出したままの剣の柄尻に左掌底をあてがい、踏み出していた右足の代わりに左足を踏み込む!


如月流骨剣術きさらぎりゅうこっけんじゅつ。 牙骨がこつ!!」


螺旋を描くように左腕を捻りながら右手を引きつつ、踏み込みのエネルギーを左掌底に集め裂帛の気合いと共に左掌底を突き出す!

丁度、大の字を描くような体勢になった。

そしてソードマギカはヤツの胸のアスファルトを穿つが、どうやら踏み込みが浅かったか装甲が厚かったかはたまたその両方か、ヤツの胸部装甲は大方吹き飛ばしたがその本体には届かなかった。


俺はとんぼ返りをうってヤツと距離を開ける。

ヤツはといえば荒い息をさせ(息するのか)よろめいた。


『リン、あと少しだ。』


追撃を行なおうとしたその時だ。


「なめるな…… なめるなよニンゲンンンンンンッ!!」


ヤツがそう叫ぶとヤツの身体が赤く光り出す。

……なんだやばそうだ!?

その輝きが頂点に達した時、まるでヤツの身体が爆発するかのように弾けた。

そして複数の光弾となって周りに飛び散る!?


「やばっ!?」


光弾は辺りのビルなどに当たり被害をまき散らす。

そしてその中の一発の光弾は…… 俺への直撃コースだっ!?


間にあえっ!

俺は左手を前に突き出すと半透明の盾を前面に展開する。

強い衝撃と爆発音。 その衝撃で数mほど後退させられた。


ダメージは特にない。 助かったぜ。


『リン、安心するには早いようだ。』


ジークの忠告に回りを見渡すと……


「マジかよ。」


光弾が着弾した辺りに蠢く影。

それはヒョロッとした棒人間と呼べるようなものだった。

それが5、いや6体か、それらはひどくゆっくりとした動作でこちらへ向き直り近づいてくる。

だがある程度近づいてきた一体は突然スピードを上げ、こちらに攻撃を仕掛けてきた。


「このっ」


棒人間のパンチをソードで弾き、よろけた隙に袈裟懸けに切りつける。

その一撃で棒人間は消滅する。


「耐久性は低いようだな。」


素直にそれは助かる。


『そう簡単な問題ではないようだ』


あん? ジークのその発言にふとヤツの方を見やると……

地面に手を当ててなにやらしている。 なにしてんだ?

よく見て見るとヤツの周りのアスファルトが徐々に消えていってる?

そして吹き飛ばしたはずの胸の装甲が…… 回復してる!?


くそっ! 慌ててヤツに近づこうとすると棒人間どもがジャマをする。

つまりこいつらは、時間稼ぎの捨て駒か!

三体はこっちに残り二体はヤツの側に待機してる。


くそっ時間は掛けられねえな……

一旦心を落ち着かせるために目を閉じる。 そんな状況でも棒人間がこちらへ攻撃を仕掛ける様子はない。こちらが動かなければやつらも動かない、か。

まずあの三体を潰す!


俺は右肩にソードを乗せ前傾姿勢になる。

こちらが動き出したことで棒人間どももヤツを中心とした陣形をとってきた。


俺は前傾姿勢のまま走り出す。

勿論狙いは前衛の三体!


「如月流骨剣術、狼牙凪ろうがなぎ


狼は獲物を狙うとき、まず得物の足を狙うという。 避けにくく傷付けば機動力を失い、逃げることが難しくなるためだ。

狼牙凪ろうがなぎはその狼の狩りの知恵を参考にした技だ。

つまりは。


俺は低い姿勢のまま肩に担いでいたソードを円を描くかのように薙ぎ払った。

狙いはもちろんこいつらの足だ!

狙い通りやつらの足を切り飛ばし転倒させることに成功した。

さすがにこれだけじゃ消えたりはしないか。

やつらは足を失って蠢いているが死んだりはしてない。


取りあえずこいつらは後回しだ、


遅くなったが、それではソードマギカのもう一つの機能をお見せしよう


右手のソードマギカの柄頭へ左手のブレスレットを近づける。 すると。


『スキルカード・スラッシュオーラ リーディング』


そう、このソードマギカにはスキルカードというのが入っている。

それを読み込ませることによってスキルを使用できるのだ。


剣を上段に構え、剣が届く距離にいないヤツらへと振り下ろす!


『アタック スラッシュオーラ・ファンクション』

「せいっ!」


その掛け声と共にソードを振り下ろすと、目の前の空間が裂ける。

それと同時にヤツらのいる場所の空間も裂け目が発生し、それは斬撃となってヤツらを襲う。


「なっ!?」


棒人間はその場で消滅、ヤツは装甲を吹き飛ばしながら地面を転がっていく。


『リン今だ!』


おうともよっ!


ソードを地面に突き刺し右手をホルダーに翳す。 

左手のブレスレットはカシャカシャと音を立ててスリット部を新たに露わにする。

その数は⒊。


しかし右手に飛び込んできたのは……2枚。

手にしたカードを二枚連続で投入する。


『マジックカード・フレイムボディ。 スキルカード。ダブルジャンプ』


そして目の前にあるソードへ左手を近づける。


『スキルカード・スラッシュオーラ リ、リ、リ、リーディング』


その常とは違うジークの声と共に、俺の周りを三本のリング状の光の帯が取り囲む。

そしてその内の一本が消えた時、身体が燃え上がる。

これはフレイムボディの効果だ。

そして。


「とうっ!」


掛け声と共に目の前のソードを足場に飛び上がる!

高々と空中を舞う。 さらにもう一度!

ジャンプの限界点まできたところで俺は、身体を反転させ空中を蹴る。 地上に向かって。

これがダブルジャンプの力。 その時リングの一本が消える。

俺は、落下のスピードも合わせた速度で空中からヤツへと襲い掛かる。

全身を覆っていた炎は全部右足へと収束する。 その色は高熱を現す青白い色へと!


「『ファイナルアタック。 バーニングスラッシュエンド』」


俺とジークの声がハモる、 最期のリングが眩い光とともに消え、そして気合い一声!


「はあぁ!」


ヤツはたまらず逃げようとするがもう遅い!

ヤツの寸前で身体を縦回転させる。

右足の踵をヤツの頭に叩きつけながら、まるで刀で斬り捨てるように股間まで。

そのままさらに回転しながらヤツを通り過ぎていく。


着地と同時にしゃがみこみながら衝撃を逃がす。


「あ、ガッ。 があぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


断末魔の叫びの後、爆発をおこす。

しかしすぐに爆発を囲うようにして三本のリングが現れる。 そして、ジークの『リアライズ』の声で時間が止まったかのようにその爆風がピタリと止まり、やがてキラキラとした粒子となって消滅する。


俺はゆっくりと立ち上がる。 そこに1枚のカードが飛んでくる。


「おっと」


俺は危なげなくそのカードを手にする。


『ふむ、犯罪者本人ではなかったようだな。』


見て見るとカードはスキルカードのヘビーアーマーとあった。


フェイクデータの方だったか。

……まあ仕方ない。 犯罪者ならもっと被害が出てただろうし。

俺はカードをホルダーに仕舞った。


ふと気付くとパトカーのサイレン音が近づいてきていた。


「ドームも消えてるな。 変身を解くぞ。」


外からの干渉と、中にいる敵の逃亡を防ぐ結界のようなものを張っていたんだがそれも消えている。

つまり外からの干渉を受けるようになるってことだ。


『分かった。 メタモルフォーゼ・フォームレリース』


俺を守ってくれていた装備が光となって空へと昇っていく。

それをしばし見上げ、やがて前を向き家へと歩き出した。

今の服装は、古い腕時計に戻ったジークと、ジーンズパンツにTシャツそしてスニーカーというラフすぎる格好だ。

部屋でくつろいでる時に突然だったからな。 慌てて飛び出してきた訳だが……


「ジーク、今回の被害は?」


『うむ、今回は軽傷が5名ほどだ。 初動が早かったのが良かったな』


「そうか……」


それでも怪我人は出た。 くそっ!


『リン、キミのせいではない。 そのすべては私に責任が発生する。 キミが気に病むことはない。』


ジーク。 ……ありがとうな相棒。


「原減ったな! さっさと帰ってなんか食おうぜ。」


『うむ。 そうだな。』


幾分ホッとした声でジークも賛成する。

家にある食材を想い浮かべながら足を進める。

めんどいからパスタでいいかぁ。 などと呟きながら。



……俺はこれからも戦う。 地上に落ちて来た特異犯罪者を全て捕まえる日まで、そして男に戻るためにな!









とりあえずは終わりとなります。

構想はあるのですが需要があるのかがわからないので。

なにせ好き勝手に書いたものでそこらへんまったく考慮に入れてなかった。

要望があれば書くかも? あればですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ