No.8
【精通】せい-つう
1 ある物事について詳しく知っていること。 物事によく通じていること。
2 男子の初めての射精。
【魔法】ま-ほう
人間の力ではなしえない不思議なことを行う術。魔術。妖術。
転生した世界の理には魔法が在った。
「テンプレキター!」
ケイルは拳を挙げ、目薬のCM風に叫ぶ。
勿論、俺もテンションは上がっている。
何なら心の我慢汁は既に漏れている。
嬉しいと言うか楽しいと言うか、胸がドキドキして落ち着かない。
以前からケイルは妄想に近い予想をしていた。
それは、ある日の夜の事だった。
「魔法は在ります!」
STAP細胞みたいな言い方をしたので、ちょっとイラッとした。
転生したのだからその可能性は無くも無いけど、それは流石にちょっとどうだろう?
それが俺の感想だった。
けど、良い意味で裏切られたな。
だが、お前の手柄では無い。
ドヤ顔すんな。
でも、魔法って誰にでも使える物なのか?
どうせ選ばれし民とかじゃ無いの?
30才迄は童貞とか……。
リアーナ先生に聞いてみた。
「童貞とかそんな言葉、何処で覚えたんですか……。 確かに誰でもと云う訳ではありませんが、そこまで敷居が高いと云う訳でも無いですよ?」
リアーナ先生曰く、極端に魔力量が少ない体質じゃない限り、魔法は行使出来るらしい。
ただ、魔法を行使する為には、魔法の巻物が必要だとか。
そして、その魔法の巻物が高いらしい。
「そっちのパターンでごさるか……。 想定していなかったでござるが、この場合は拙者らにとっては吉と出たでございますなぁ」
ごさいますなぁ、じゃねぇよ……。
さっきからケイルがうざい。
兎に角、お金持ちの我が家からすると、そこら辺は問題無いみたいだな。
リアーナ先生は話を続ける。
「では早速と言いたいところですが、残念ながら恐らく、まだお二人は巻物があっても魔法を覚える事が出来ません」
ガタッ!
な、何だとぅ!?
何故?
「お二人は御精通されてらっしゃいますか?」
「「ゴセーツー?」」
シンクロした俺達の様子が可笑しかったのか、リアーナ先生はクスクスと笑う。
「はい、精通とは男性が子作りの際に必要な子種を精子と言いますが、その精子を生産する事が出来る様になる事をそう呼びます」
「じ、女性の場合はどうですか?」
気持ち悪い笑みを浮かべた勇者は、セクハラの呪文を唱えた。