No.5
━━もしかしたら俺達はとんでもない家の子に転生したのかも知れない。
そんな漠然とした不安が、俺達の胸中を占めた。
屋敷の中、それも自分達の部屋からさえ出たことも無い俺達には、想像を絶する規模の裕福さだった。
なんとなくではあったが、家族の服装を始めとした身に付けている物からメイドの存在もあって、我が家は結構なお金持ちっぽいって印象を抱いていた。
精々がそこそこ大きな会社の社長さんや資産家だろうなって位の印象だったのだが、そんな生易しいレベルでは無い。
屋敷だけでも一回り小さいバッキンガム宮殿? って感じだったし(写真でしけ見た事無いけど……)庭にしたって競馬が出来そうな位に広大だった。
俺とケイルは、母ちゃん達に怪しまれない様にショックを受けつつも普段通りやり過ごし、部屋に戻ってからお互いに困惑の胸の内を吐露しあった。
※以下訳
ケ「……もしかして、拙者らは貴族の家に転生したかも知れないでござる」
ベ「貴族って、あの?」
ケ「それ以外に考えられないでござる」
ベ「貴族って何時の時代の話だよ。 21世紀だぞ?」
ケ「現代でも貴族制度は無くなっていないでござるよ……イギリスなんかは今でも功績者にその都度、騎士爵が授与されているでござるよ」
べ「へー、そうなんだ」
ケ「とは言っても、殆ど形骸化しているのが殆どでござるが、拙者が言いたい事はそこじゃ無いでござる」
べ「と言うと?」
ケ「……つまりは現代では無いか、もしくは異世界の可能性が有るでござる」
…………はあ!? 異世界!? 何言ってんのお前?
べ「……(笑)」
ケ「イヤイヤ、その目は止めて欲しいでござる。 確証は無いでござるが、あくまで可能性の話でござる」
可能性の話って、お前……う〜ん。
今まさに転生って云う有り得ない体験をしてる訳だしなぁ。
有り得なくも無い……のか?
いまいち納得がいかず唸っている俺を見て、ケイルは自分の考えを語る。
ケ「見ての通り、この家の規模は可笑しいを通り越して異常っていっても良いレベルでごさる」
ベ「……でもさぁ、だからって異世界は無くねぇ?」
ケ「言いたい事は解るでごさるよ。 でも、ちょっと拙者の話を聞いて欲しいでござる。 拙者は一時期、世界の姫に関して興味があったのでそこそこ詳しいのでござるが、拙者のデータベースにこの家の情報は無いでごさるよ」
何だよデータベースって……。