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ファンタジーと言えば飛行船だよね  作者: 竹内 崇
転生〜幼少期編
3/115

No.2

 突然だが、【 俺のブラザーも転生者 】ってタイトルを付けた方が良いと思う。


 俺が弟か兄かは判らないが、兎にも角にも俺にはケイルと云う兄弟が居るのだが、恐らくこいつは10中5、6(微妙)転生者だ。


 何も根拠も無く言っているのでは無い。

 それに気付いたのは、2日前の事だ。


 いつもの様に、母ちゃんのおっぱいを仲良くケイルと片方ずつ分けあってチュウチュウと吸っておると、母ちゃんがケイルに向かってこう囁いた。


 「ケイルちゃんはおっぱいを飲む時、舐めるクセがあるねぇ」


 ここ迄はまあ良いだろう。

 俺が聞いた事が無かっただけであって、世の中にはそう云ったクセを持つ赤子も居るのかも知れない。


 その瞬間は俺も特に気にはせず、黙々とチュウチュウ吸っていた。


 だが、暫くしてお腹が一杯になった俺はふとケイルの方に顔を向けると、信じられない事にケイルは母乳を飲みながら笑みを浮かべていたのだ。


 イヤイヤちょっと待て、そういった赤ん坊だって存在するだろ? 可笑しな事では無い、そう仰る人も居るだろう。


 だがしかし、その笑顔がやらしい顔だったならどうだろうか?


 何と例えれば良いだろうか? 言うなればその笑顔は、笑うと嗤うぐらいの違いがあるのだ。


 今にして思えば、いつもこいつは母乳TIMEが俺より長い。

 直感的な事だが、確信にも近い感覚が俺の脳裏を過った。


 (変だ……こいつはもしかしたら、俺と同じ転生者かも知れない)


 それからは俺はそう思いつつ、ケイルに気付かれない様に注視する様になった。


 そうやってケイルの行動を注視する様になってみると、赤ん坊にしては色々と可笑しな事が分かってくる。


 まず、第一に俺と同じ様に殆ど夜泣きをしない。

 俺は赤子を育てたり一緒に過ごした事が無いが、赤子と云うものは泣いてナンボみたいなところがあるだろう。


 腹が減った時や便を催した際には、当然に泣いてアピールするのだが、こいつの場合は俺と同じ様に訳も無く泣く様な真似をしない。


 第二に、俺や物事に関心を示さない。

 俺とケイルは柵付きの同じベビーベッドの中で過ごして居る時、普通の赤子なら俺に興味を示して触ったりしてくると思うのだが、偶然手が触れたりする事はあっても、興味が湧いて構ってくる様な事は一切無い。


 第三に、これは第二にも関わってくる事なのだが、こいつは男に一切興味を示さない。

 家族が俺達の様子を見に来たりして可愛がってくれ様としたりするのだが、こいつは女性にしか懐かないのだ。

 その上、男が構おうとすると身体を使って全力で泣き喚く。


 ……怪しい、滅茶苦茶怪しい。


 だから俺は今日、転生者と思わしきこいつにコンタクトをとってみる事にした。


 「あう! あうえ、あんうぇえあお?」


 ……そういえば俺も赤ん坊でした……。

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