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大正ロマンの異世界物語  作者: ロマン
1章・組合と見る魔物の世界
3/5

白き湯けむりと鬼の角

 薬草刈りで死にかけてから、街に戻り早速報酬を貰うと俺達はその報酬を山分けした、報酬は全部で神楽屋敷銅貨4,000枚、さらにオーガ討伐報酬200枚である、この世界の硬貨は街ごとに異なっているようだが、この螺旋の街【神楽部屋】の硬貨は銅貨が日本円とほぼ同じ、銀貨がその1,0000倍、金貨が銀貨の1,500倍の価値だそうだ。


 早速組合の席につくと俺達は食事を頼んだ、組合は食事が非常に安い、しかしいつ死ぬか分からない冒険者業の人間はかなり豪勢な食事をとる文化があるらしく、俺の目の前にはテーブルギリギリまで食事が積まれていた、食事は全部で銅貨2000枚、サミ姉と俺で1000枚ずつ出した、まあ千円でここまで食える食事処は日本にはなかったであろう


「いやああ、本当に今日はお疲れ!!」

「そうだな~、明日も一緒に仕事してくれたりするのか?」

「そりゃそうさ、明日からはもう一人仲間がいるから今日みたいな悲劇にはならないさ」


 軽い会話をしながらテーブルの食事に手を付けた、食事の中心は揚げ物、流石は異世界、見たことのない物がたくさんあった、中でも唐揚げのようなのだが食感だけが餅のような物は特に美味しく手が止まらない


「この揚げ物何って言うんだい?」

「それは中海月ちゅうくらげの唐揚げ、魔物の肉だよ、好きなのか?」

「結構行けるよこれ、美味しい」


 見た目がグロいものなどは特に無かったため異世界の食事は非常においしく頂いた、それと少し面白い事に気がついた、水よりも蜂蜜酒のほうが安いのだ、味は大したことがないが水より安いのならと頼んだら、ジョッキいっぱいに来るのだから驚いた


《ガチャ、カシャン》


 食事の最中は皿の擦れる音が鳴り響き、女のことは思えな食べっぷりのサミ姉はあっという間に皿の中の物を平らげていく、やはり食事は楽しく両者共に表情はかなりいい表情である



 食事を取り終えるとサミ姉は立ち上がって俺にタオルを投げてきた、タオルは二枚、非常に大きいバスタオルとただのタオルだ


「風呂はいるよ、汗臭いまま寝たら気分悪いだろ」

「風呂があるのか、、、案内してくれ」


 まさか異世界に来て風呂に入れるとは思わなかった、俺はタオルを持つとサミ姉について入った、大きな組合の待合室を歩いて行くと二つのガラス張りのドアに付いた、恐らくこの奥が風呂なのであろうが男女どちらかが全くわからない


「これどっちが男湯だ?」

「左だよ、足拭きが黄色いほうが男、赤いほうが女だ」

「了解」

《ガラガラ》


 ドアを開けると、そこにはまあ見覚えのある脱衣所であった、籠があってそこに服を入れて、そして風呂にはいる、まあよくある光景である、しかし冒険者向けに洗濯サービスが有ったので今回は服を洗濯してもらうことにした、ゆっくり浸かってれば上がる頃には乾いているらしい


「酒持ってくかい?」


 温泉のドアの前に組合の従業員がバンダナを巻いて立っていた、銅貨200枚を支払うと酒器一式を貰った



 温泉は露天であった、ガタイのいい冒険者の中では俺はかなり華奢な方で、若干だが周囲のいかつさに恐怖を覚えたりもした。

 

 洗い場自体は物凄く綺麗なものでありシャワーもある、しかしシャワーは俺のいた世界とは違い棒状のお湯が流れだす、頭も体も同じ石鹸で洗うらしく、少し甘ったるい匂いの石鹸を手の上で伸ばして頭を洗った。


 体を洗って入ろうと体を洗い終え、温泉に向かった、温泉の仕切りは竹であり、外に見える景色は満月と綺麗な山々、まさに絶景である、、、が


「今回こそこの作戦を成功させるぜ!!!」

「「「「おおおおおおお!!!!!!!」」」」


 仕切り付近で何やら蠢く男7人、、、嫌な予感しかしない、いや、もう決定であろう、、、まあ俺には関係ないと酒に口をつけた、通常こういった酒は日本酒なのだが中身はジンである、この世界は地味に和風に洋風が混ざっているから驚く


「あ、でも美味しいなこれ」


 そんな感じで温泉を堪能していると嫌な台詞が仕切り付近から聞こえてくる


「よし、発破は仕掛け終わったな、、」

「ああ、これで桃源郷を拝めるぜ」


 やばい、覗き連中めまさか仕切りを乗り越えるではなく爆破するという頭のおかしい所業に走るつもりだ、今から上がるか?、いや服が乾いていない、どうしよう、俺の予想だと俺は今から巻き添えを喰らって酷い目に遭う


「おめえらやめろ!!!!!、んなことしたら温泉にゆっくり浸かれねえだろ!!」


 渋々警告すると除き連中達は鬼のような形相で俺の肩を掴んで揺さぶってくる、正直野郎の全裸拝む趣味はないからやめて欲しい


「おめえそれでも男か!!」

「そうだ!!、男ならあの向こうを除きたいと思うだろ!!」

「そうだぜ!!」


 何処の世界に爆破までするアホが居る、そう言いたいところだがこの世界の知識は疎い、常識を使った説得は無理であろう、、ならば!!


「いいかお前ら、風呂のぞきっつうのはリスクが二つある、一つは無論バレた時のリスク、次に、、、もし仕切り無効にババアしかいなければ酷い目にあうぞ、おもにメンタルが、必ずあちらが桃源郷だと思うなよ?、もしかしたらあちらは十万億土だ、考えろ?」


 俺が必死にそう言うと男たちは少し考えこんだ、そして作戦会議のようなものを行い、その審議の結果を俺に向かって言い放った


「冒険者に年寄りは少ない!!、よって大丈夫!!!」


 やられた!!、確かにこんな仕事は若いうちしかできねえ!!、説得は失敗、その瞬間仕切りは爆音とともに吹き飛んだ、もうこの先の展開は読めていた。。。


「「「「「よっしゃあああああ」」」」」

「「「「「「「きゃああああああああああああ」」」」」

《ジャリ》


 男たちの歓喜の声とともに冷たい足音が聞こえてきた、若い女の悲鳴よりも恐ろしい足音、ふと見るとそこには額に立派な角の生えた女性であった、腕はめちゃくちゃ太い、表情はまさに鬼、、、


「てめえらやりやがったな、、、貴様ら不倶戴天の敵だ、ぶち殺してやる」


 鋭く冷たい声は温泉内に響いた、女性はのぞき魔の元まで歩いて行くと頭を掴んだ、次の瞬間だ


《ボゴン!!!!!!!!!!!!!!!》


 男一人が数m投げ飛ばされた、覗こうとした連中は全員腰を抜かして震えている


「なんでこいつがいるんだ!!」

「体調を崩しているんじゃなかったのか!?」


 その後の制裁は酷いものであった、温泉は一瞬で阿鼻叫喚の地獄とかした、赤い風呂の中俺はガタガタと震えうずくまる、そしてガチャリと近づいてくる鬼に投げ飛ばされた、その後の記憶はない、、、ただ言えることは、その姿はオーガよりも恐ろしかった







 目が覚めると、俺は組合の座敷で寝転がっていた、目の前には大笑いしているサミ姉、そして先ほどの鬼のような女性が酒を飲んでいた、俺はムクリと起き上がって周囲を見渡した


「ここは?」

「カンテラも災難だったね、ははははは、巻き添えで折檻喰らったッほんとははは」


 鬼のような女性は俺の方を振り向くと申し訳無さそうに俺に頭を下げた、黒い髪の毛が腰まで伸び、大きな体にこの世界では珍しい和装姿であった、いや、本当に冗談抜きで綺麗だ、顔は軽く赤い、恐らくかなり飲んだのであろう


「さっきは申し訳なかったね、眥裂髪指に身を任せて無差別にやってしまった」

「いえいえ、誤解が解ければ全然、もしかしてサミ姉のお仲間さんって」

「ああ、私がサミの仲間だ、私は朱天と言うんだ、お前さんの話は聞いたよ、明日よりよろしく頼む」


 サミ姉と朱天さん、この二人は俺の今後の生活においてかなり密接な関係、つまり仲間になるわけだが、この朱天さんもまたかなりの曲者である、、ともあれこの二人と俺の異世界生活はこうして幕を開けた、やはり不安は残るが少々生活し応えがあると俺はこの時確かに思ったのであった。

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