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プロローグ
例えばわたしが大空を、青いものだと知っていたならば ー
僕はただひたすら、時の流れに逆らわず、歩き続ける。
社会がどうだ、未来がどうだ、希望がどうだなんて、僕の知ったこっちゃない。
僕はずっとこのまま変わらず、目を細めて大空を見上げるんだ。
そんな世界なら、俺がぶっ壊してやる。全員俺にたてつけ。俺に勝てると過信し、挑み、全力をぶつけろ。俺は獣になりたいわけじゃない。獣はお前らだ。
もし…もしもの話だ。
例えば ー
例えばわたしが大空を広いものだと知っていたならば
「おい!聞こえるか!?07番が逃げた!すぐに捕らえろ!」
例えばわたしが人間を何も知らないかかしならば
「あいつは…ここから出してはいけない!絶対だ!」
わたしはきっと、転んだりしない。
わたしはずっと、走ったりしない。
「いいじゃないですか。ちょっとぐらい。」
「しょ、所長!?何をおっしゃているんですか!?危険です!」
「まあまあ。…もしかしたら…良い方へ転がるかもしれませんよ。」
「え…?」
誰かお願いわたしに教えて。
わたしは一体、誰ですか?