第07話 正直縄張りとかわからん
地球の動物には縄張りを持つ種がいる。
こちらの動物にそれがあるかは分からなかったが……多分これは縄張り争いなんだろう。
目の前で大トカゲ同士が大乱闘をしている。
突然だった。
草原から凄い勢いで大トカゲ(ロバ以上馬以下の大きさで見た目まるっきりトカゲ)が飛び出して来た。
気配が無かった。気付いた時には目の前5メートル。
思わず座り込むと、今度は後方からガサガサと大きな音がして、俺の真横から何か飛び出して来た。
こちらも同程度の大きさの大トカゲだ。
彼らは俺の目の前で頭からぶつかり合っては後足で立ち上がり、また頭でぶつかり合う。
踏み潰されそうな大乱闘だ。
俺はしゃがみ込みながらズルズルと数メートル移動し様子を観る。
彼らは俺を完全に無視して頭をぶつけ合っている。
お互いに噛み付いたり、尾で叩いたりはしていないのが不思議だ。
近くに他のトカゲは見えないしメス(もしくはオス)の奪い合いではないだろう。
とすると縄張り争い的なものだろう…きっと。
エサ(俺)の取り合いじゃないよね……。
俺はなるべく音を発てないよう、目立たないようにその場を後にした。