第06話 土と植物
どうともできない大型危険生物は置いとく事にする。
見つけたら逃げる。以上!
ともかく探検の続きだ。
最初の三日間で確認した範囲は、この世界に来た地点からだいたい半径数百メートルといったところだ。
今はその地点より森と草原の境目を北に向かって移動している。
森の中にあった小川は北西に向かって流れているようだったので、いずれ川にぶつかるかもしれない。
川に当たったら、それを辿って下流へ行ってみよう。
◇◇◇
◇◇◇
ふと地面を見る。
森の中では持に気にしていなかったが、ここらの土は黒土だ。
それ程硬くもない。
赤土だったり岩なんかを見ない。つまり土が肥えているのだ。
だから何だと言われたら終りだが、植物がよく育ちそうだ。
食べられそうな植物でも生えていないものだろうか。
そんな事を考えながら草原を歩き、辺りを伺っているとそいつは見付かった。
高さは一メートルもない小さな木だ。
技には金柑程の実がポツポツ成っている。
周りには動物の気配がなく食べられるかどうかは分からないが、見逃す手もないだろう。
ただ俺は用心深い。木の茂みから蛇でも飛び出てこないとは言えない(蛇はまで見てないが)。
森から拾ってきた木の枝(約1.5メートル)で、その木を突いてみる。
ベシベシつつく、バシバシ叩く、ブンブン弾く。
するとどうだろう、木が動いた!
しかも結構速い。用心はしていたが、まさか木が動くとは思っていなかったので一瞬怯む。
木は俺から五メートル程離れた所で止まり、また何でもなかった様に動かなくなった。
それから数分程見ていたが、まったく動く気配が無かったので俺もその場を立ち去った。
いや、無理だって、あれの実を採るとか食べるとか。
木の実一つにそこまでのリスクは負いたくない。
どうやって動いているのか分からなかったし。
正直怖い。
しかしこの世界の動植物は思った以上に多彩らしい。
生きる事がより難しくなったであろうこの状況たが、俺は少し楽しくなってきた。
危機感が無いだろうか。悪い癖かも知れない。だが仕方がない。
楽しく感じる心に嘘は付けない。
物語を読んで楽しむのによく似ている。
新天地でのドキドキ、ワクワクだ。
奴隷や盗賊なんて願い下げだが、新天地での冒険だけなら受け取ろう。
そう、うまく行くとは思えないけど……。