表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界…かな  作者: がるぴん
第1章 出発
1/73

第01話 獲物

 三日


 俺がこの地にきてから三日が過ぎた。


 今だに人には会えていないが、分かった事がいくつかある。


 ここは短的に言おう。



 ここは異世界だ………たぶん。




 根拠はいくつかある。


 この三日、月が出ているのを見ていない。空は晴れているにも拘らずだ。


 また見知った星座を発見できない。

 北半球はもちろん、南半球にあるものも含めてだ。

 もちちん全ての星座を知っている訳ではないので、半確定といった程度だ。

 昼に見える恒星は太陽と同程度の大きさに見えるが、他の天体は見覚えがないのだ。


 後、遭遇した動物にも見覚えがないものが多い。


 あれはこちらに来た直後の事だ。


 あの時俺は、外出先からの帰路の途中、地元のバス停から降りて家に歩いて向かっていた。


 違和感はなにもなかった。


 足を踏み出したところが膝上ほどもある草むらだった。

 もちろん驚いた。

 とっさ振り返ったが、数十メートル後ろに林のように木が立ち並んでいるだけだ。


 今思えば運はよかったのだろう。

 移動先が宇宙や空中、地中でもなかったのだ。

 呼吸も問題ない。奇跡といってもいい。


 でも眼の前にある危機は、命を左右するものだった。


 そいつは草むらの中にいた、距離はだいたい10メートルといったところか。

 全高1.5メートル程、全長2メートル弱。

 対面した時には気付かなかったが、後でみたらかなり大きかった。

 頭から胴にかけては猪、牙は大きく20センチ程か。


 ここまでなら、ただのでかい猪だってなる。


 しかし、奴の四肢は普通ではなかった。


 ボクサー犬の様に脚がすっとして長く、太腿はパンパンなのだ。

 なんかちょっと気持ち悪くあるが、それよりめっさ恐い。

 逃げられる気もしないし、倒せる気もしなかった。



 まあ、結果俺は倒す事ができたのだか。


 どういう経緯で奴を倒したかよく覚えていない。

 向かってきた奴の腹に抱き付き腹這いにした後、ロに大きめの石を突っ込んで何度も地面に奴の頭を打ちつけていた。

 俺よくあんなのに寝技なんて仕掛けられたなぁ…。


 細かいとこ全々覚えてない。

 気が付いたら奴は息をしていなかったし、首の向きが変だった。

 俺それほど力持ちってわけではないのだが。


 もら35才だし、格闘技経験はあってもそれほど強いわけではなかった。

 その後三日懸けて色々調べたのだが、特に自身の身体能力が上がっている、ということはなかった。

 あれは本当、運がよかった。

 とにかく、他に遭遇した小型の動物も微妙に地球とは違うのだ。


 ねずみっぽいのに耳が異様に大きく、手が長くて木の枝を伝って逃げる。

 とか

 見た目まんまヤマアラシだが、大きさがゴルフボール程しかなく集団で木の枝にしっぽでぶら下っている。

 とか

 後、鳥を一度も見ていない。この辺りにいないのか、この世界に生息していないかはわからないが。


 虫の大きさも非常識だ、……細かく言うのはよそう。ちょっと疲れた。


 他、植物の植生とか種類は解らない。


 赤むらさき色したウツボカズラもどきは見たが、地球にだっているかも知れない。

 木の洞から跳び出す、きのこっぽい何かだってそうだ。


 だから、総合的に判断してここは異世界。もしくは異星だろう……たぶん。


 身に付けているものはそのまま、よって何らかの方法で移動したであろうことは分かる。


 だが原因は不明。


 とりあえず生存に向けて行動を開始しよう。


 俺は別に死にたがりではない。


 ここいらの捕食者の獲物になりたくはない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ