僕と彼女_2
先日、内戸は僕にとってどんな存在なのか、と尋ねられた。
そう訊いてきたのは、クラスメートの仁原だ。
話の流れで訊かれただけなので、そんなに重い場面でもない。僕も何も考えずに答えようとした。が、しっくりくる答えが出てこない。
「内戸……? なんだろう……」
「そんなマジに訊いたわけじゃねーよ? 何、本気で好きなの?」
「いやいや、違うけどさ」
知人か、と問われればイエスと答える。友人か、と問われてもイエスだ。
恋人ではないし、恋愛感情を向けたり向けられたりもしていないと思う。
親友、というやつなんだろうか。
でも、小説なんかで出てくる「気持ちをわかり合う」「お互いを知り尽くしている」なんてことは一切ない。何か特別な契りを交わした覚えもないし、共通の目的意識もない。
「じゃあそもそも親友って何なの」
そう声をかけた内戸は、もんもんと考える僕に呆れているようだった。
「確かに。内戸、親友の定義って何?」
「『定義』って何?」
「あ、うん、何でもない……」
訊き方が高度すぎた。
「ま、内戸が特別枠ってことは確かなんだけどさ」
「へえ」
「趣味が一致するでも性格が一致するでもないのに、こんなに喋る相手って初めて」
「へえ」
「一緒にいて安心するとか、いないと落ち着かないってわけでもないのに。なんでかよく一緒にいるよね」
「へえ」
「……聞いてないでしょ」
「『僕たちってずっと仲良しだよね』ってとこまで聞いてた」
「それ言ってない」
考えるだけ無駄な気がしてきた。もう友達ってことでいいや。
とりあえず内戸に『定義』って言葉を叩きこんでおこうと思った。
会話が多くなったせいか画面が白く感じますね。