表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

僕と彼女

 僕と彼女の交流の始まりは、どんな風だっただろう。

 僕達はこの学校に入って初めて出会った。それまで接点はなかった。これは確かである。

 ということはつまり、僕達の関係には始まりがあったはずなのだけれど。少なくとも僕の記憶からはさっぱり抜けてしまったらしい。



 関係の始まりは覚えていないが、相手を認識した瞬間なら覚えている。


 彼女と初めて喋ったのは、確か四月の終わりだった。

 僕は当時、クラスメートの尾根という奴と一緒に下校するようになっていた。

 独りぼっちだった僕に声をかけてくれたのが、可哀相だったからなのか向こうも寂しかったからなのかは分からない。

 僕は、卒業までずっと一人で登下校というのもありかな、と思っていたのだけど、一緒に帰るのもそれはそれで楽しかった。


 そんな尾根が彼女を連れてきた。同じ部活なのだと説明されたと思う、たぶん。

 僕と彼女は、初対面なのにとても話が弾んだ。久しぶりに、ただ思ったことそのままに会話をした。

 駅に着くころには――僕らは全員、電車通学である――二人の間に尾根が入り込めないくらいに、とても仲良く喋っていた。

 なんというか、波長が合っていたのだと思う。僕は彼女以外に初対面でこんなに気負わずに話せた人がいない。だからすごく驚いたし、彼女もすごく驚いた様子だった。



 そんな感じで、僕の中では、人生で五指に入るくらいには重要な出会いだったのだけど、残念ながらこの思い出も彼女は覚えていないという。

 それが判明したのは、出会ってから二年経ってからだ。

 僕も結構他人に対して淡白な方だが、彼女を見たら気のせいな気がしてくる。それほどまでに彼女は対人スキルが足りていない。社交性がないわけではないのだけど……ちょっとそういう面があるのは否定できない。


 ま、そんな曖昧な感じで始まった彼女・内戸うちとかいと僕・門地かどち玄陽くろひによる日常を、だらだらと綴ってみたいと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ